帰ってからアルバムを探した 自分の部屋にないことは知っていたのでリビングをうろついていると母さんが来た
「どうしたの?知鶴 なにか探してるの?」
「中学のアルバム探してて…」
「中学ね…確かあそこの棚に入ってたと思うわよ」
母さんが指を指した所はテレビ台の隣にある本棚だった
見てみようかと思ったが時計の針は11時をすぎていたため、時間が空いた日に見ようと思いすぐ自分の部屋に戻った
〜第6章〜
「今日ははやく帰れる日だな…」
最近では彼女の話を聞くのが日課になってきている はやく時間過ぎないかな…
「星宮 今日翔也来てるか?」
翔也と同じ部活の子だった
「あ…そういえば来てないな」
いつもは少し早めに来るのに…どうしたんだろうか
そんなことを考えていると担任から連絡があった 最近風邪が流行っているから気をつけて欲しいとのことだった 翔也は風邪か…なおさら今日は暇な一日になりそうだ
下校の時間になったけど彼女は来ない 風邪を引いてしまったのだろうか…
「連絡してみるか」
そう思いスマホを手に取り彼女に連絡してみる でも病人だからな…できる限りスマホを使わせたくない やっぱやめよう よし今日は家に帰ってゲームをするか………
彼女から連絡が来ていた
{今日は学校に来れなくてごめん 家に親いないから看病して欲しい}
文面から伝わってくる なんかヤバそうな感じ…これはお見舞いに行くしかないよな…
「ゲームしたかったけど…仕方ないな」
彼女の家は帰る途中で知ったから多分わかる…確かここだった気が…
ピーンポーン
「あ!来てくれたんだ〜うれしー」
彼女の家のチャイムを鳴らすとパジャマ姿の彼女がでてきた 想像していた通りモコモコのパジャマを着ている
「これ リンゴなんだけど…好きだっけ?」
「好きだよ!ありがとう!」
連絡の文面よりも元気そうでなんだか安心した
「じゃあ僕はこれで…」
帰ろうとした途端急に彼女が僕の服の袖を掴んできた
「待って 連絡した通り看病してよ 私の親どっちも仕事で今日帰ってこないんだよー」
看病なんてしたことが無いんだけど できるだろうか…心配だ でも彼女を1人にさせる訳にはいかないよな…
「じゃあお邪魔します…」
「お邪魔されまーす!」
初めて彼女の家に入った けれどなんだか見覚えがある…これがデジャビュ現象か
「なにしたらいいの?りんごの皮むきとか?お粥ぐらいだったら作れるよ」
「じゃあ…お粥作って!知鶴くんの手料理食べてみたかったんだよねー 」
彼女の家は意外と綺麗だった てっきりもうちょい服とか散らかっているのかと…
「キッチン借りるね」
「はーい!」
えぇと確かお粥は…
「はい どうぞ」
なかなかにいい出来だと思う 口に合うといいんだけど…
「美味しそう…いただきまーす! あっつ!」
「まぁ出来たてだからね」
熱そうに食べている 猫舌なのだろうか
「美味しい?」
「うん!美味しいよ!」
食べっぷりがいいから見ていて飽きない ベット上で食べてるから零さないか心配だけど
「あのー知鶴くん? そんな見られたら食べづらいんだけど…」
「え あぁごめん」
つい見惚れてしまっていた 部屋をぐるっと見渡してみた
「あれ…」
「どうしたのー?」
勉強机の上に彼女の幼い頃の写真が飾られている その写真の彼女はとにかく笑顔で、両手でダブルピースをしていた
そして隣には知らない男の子がいる
「この写真って…」
「あー見られちゃったかー!恥ずかしい!」
「いつの頃の写真なの?」
「うーん5歳ぐらい?確か幼稚園の写真だった気がするから 隣にいる子は私の幼なじみ♪」
幼なじみ…確か彼女の好きな人も幼なじみだった気が
「好きな人も幼なじみじゃ…」
とっさに言ってしまった
「察しがいいね知鶴くんは そうだよ この子が私の好きな人!まぁ今と顔は全然違うけどね!」
小さい頃から全く同じ顔の 人はいないだろう 男の子なら尚更
勉強机に飾るぐらいには好きなんだな…彼女に彼氏が出来たと聞いたら僕は部屋で悲しむと思う
「ご馳走様でしたー!」
彼女の好きな人について考えこんでいたらいつの間にか完食していた
「食器洗うね」
「それぐらい自分でするから 大丈夫!お粥の効果か知鶴くんと話したからかわかんないけどだいぶ良くなったから!」
彼女の顔色がだいぶよくなった 多分明日には風邪も治っていることだろう
「じゃあもう帰るよ」
「えーもうちょっと一緒にいよーよー」
「今もう7時だよ?」
もうそろそろ帰らないとまた母さんに怒られる 一応手紙は置いといたけど
「うーんじゃあ仕方ないね」
「またね知鶴くん!」
元気な声 笑顔で明るい彼女にはもう風邪を引いて欲しくないなと思いながら彼女の家を出る
今日は星が一段と輝いて見えた
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