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コックピット内にヨマリからの通信が入る。
ハイパーターミネーターをデジタイズするから、受け取って!
ハイパーターミネーターは、空中にワイヤーフレームで出現した。
それは、実体化し、ゴーレムの指先のアタッチメントに結合。ユニバーサルコネクトか。
ヨマリは言う。
『ハイパーターミネーターは、出力を3倍から1000兆倍まで設定できるの。最小出力は圧力でエネミーを気絶させるくらいね。60億倍で、出力速度が光速度。チュパカブラを亜空間に飛ばしたアレよ。だけど、1000兆倍なら・・・』
なんだって? 1000兆倍? そんなことが出来るのか。だが、1000兆倍のハイパーイオンエナジーは、一回しか使えない。そして、全時空が、…8秒間歪曲する。むかしSF映画で見た超超光速度スピード・レベルテンで、時間移動が可能になるというアレか・・・。
だが、それしかない。DAAHEMNはアイ・ビームを放つ! 私は、1000兆倍にセットしたハイパーターミネーターをぶっ放した! つぎの瞬間、私は脱出ポッドでゴーレムを離脱!
ゴーレムのウイングが、光り輝く青い鳥の羽のような、そう、大天使ラファエルの羽のようなウイングに変化したように見えた。
ポッドの窓から見えた光景…。
大天使のウイングを生やしたゴーレム・ユニットが、ゴールデン・兜DAAHEMNを抱きかかえた。ハイパーターミネーターの最大出力によって生じたワームホールの中へ、2体は吸い込まれる。タイムワープ現象だ。2体は別の時間へとトキを超える! この巨大なワームホールなら、そう、少なくとも30万年を超えるだろう・・・。(倉夫の日記より)
倉夫は朝日の中で目覚めた。
そこはバンクーバー・チャイナタウンのモーテルだった。
かたわらには、ヨマリが居た・・・・・・・・・・。
倉夫:「ヨマリ、時空の歪曲のあと、どうなったんだっけ?」
ヨマリ:「微妙な時間軸のずれが起きたわ。覚えてない?」
倉夫:「そうだね、あのあと、ずっと記憶の混乱が起きたまま、五月になった…」
ヨマリ:「そう。私たちと、ザ・ドッグは、気がつくと、…このバンクーバー・チャイナタウンにいたのよね。」
ザ・ドッグは床にスフィンクスのように座って、2人をじっと見ている…。
ヨマリはアンダーウェアを脱ぎ水着に着替える。その上にグランジなジーンズを穿いた。
「ビーチに行こ! さあ! 倉夫!」
FIN
PS…….太古。地球上空。ゴーレムとDAAHEMNが1つの巨大な氷の隕石になっている。それは、今、南極に落下していく。雪のしぶきをあげて、氷の隕石は落下、そして氷に埋まった。3人のホモサピエンスが、氷の下に埋まったものを見て、もの思いにふけった・・・・・・・・・・。
EPISODE II
そのとき、ヨマリは父のことを考えていた。ヨマリは、地球の星野ビレッジにいた。彼女のボーイフレンドの倉夫は火星での調査の為、地球を離れている。ヨマリはひとり、星野ビレッジ名物の鍬ソバをランチに食した。それはたいへん旨かった。ヨマリも自分の率いるレースチーム『チーム・ヨマリ』の仕事があるのだが、メカニックが几帳面で、やや神経質のオヤジなので、ひそかに星野ビレッジに逃げてきているのだ。ヨマリは、AD-3295年にこの星野ビレッジで生誕した。だが、それほど小さい頃の記憶があるわけではない。ヨマリの父は仕事柄、引っ越しが多く、ヨマリも付いて行って移動したから、子供時代の記憶が混乱しているところもある。だが、ヨマリはそれを楽しんだ。ヨマリの曽祖父と祖父は、両者とも失踪している。
ヨマリは星野ビレッジ名物・鍬ソバを食しながら、村上春樹のTVピープルを斜め読みしつつ、思った。
「彼らはもともと冒険家気質だった。曽祖父は東南アジアの古代遺跡を発掘しているときに遺跡に記された時間移動技術を発見、それでタイムマシンを製造し、さらなる技術革新の為、バルダット社を設立した。失踪したあと、風の噂では、120歳で帰天したという。祖父はそのバルダット社を受け継いだが、85歳のとき失踪、その後、バンコックに住んだという噂もある。祖父は風の噂では90歳で天に召された。父は祖父が80歳のときに儲けた息子だ。え、80歳で? と、思うかも知れないが、たまにあること。アメリカの大俳優アルパチーノも80過ぎで子を儲けた。祖父が80のときの、彼の若い恋人の子が、わたしの父タカクラだ。その恋人さんは当時20代だったようだが、子を置いて、フランスの有名アクターの元に走り、そこで結婚したそうだ。祖父は80歳で、バブーバブーの連れ子を持つ身となった。だが、ほどなくして或る30歳の女性と出会い、祖父は再婚した。なぜ、『再婚』かと言えば、祖父は33歳から35歳までの足かけ3年間、結婚していた時期があるからだ。だが、その結婚では子を儲けることはなかった。」
そしてヨマリは、星野ビレッジのカフェのパーキングに愛車Xパジェロ3333Xを停め、そこから見えるランドスケープを味わった。そこから見えるランドスケープは、スイスの山々のようであった。ヨマリは何度かスイスを旅しており、デジャブのような懐かしさを感じた。静けさと、山々と・・・。ここはヨマリの生誕地ではあったが、多くの時間を過ごしたというわけではない。ヨマリは思う。人生いろいろだと。それはダ・ビンチの時代からそうだった。レオナルド・ダ・ビンチも多くの場所を渡り歩いたひとだった。ヨマリは祖父と父の関係について思いめぐらす。
「祖父は風変りだったかもしれない。おもしろいひとだ。祖父は、しかし、なぜか85歳で失踪。5歳の息子と35歳の妻を残して・・・。しかし、生活にはまったく困らないだけの資産も残して失踪したのだ。35歳の妻は、その後もバルダット家に残り続け、血の繋がらない息子であるが愛情いっぱいにタカクラ・バルダット(私の父)を育てた、23歳で独立するまで・・・。父は22歳の頃、はじめての恋人ができたという、だが、私はそのひとのことは全く知らない。かなりの年上だったようだ。すべてのことは過去になっていく。そして、だんだんおぼろげになる。私のメモリーがちゃんとしているかも分からない。完璧だとはいえない。思い違いや、記憶違いもいっぱいあるだろう。まあ、だいたいこういうファミリーヒストリーだということだ・・・。父のことに関してメモリーが他よりもおぼろげに成りがちなのは、職業柄、父はいくつかの名前を持ち、場に応じて使い分けていたからでもある。彼は現役を外れるまで、一種の仮面生活者であった。いまは、52歳のとき結婚した母とイタリアにいることが多い。」(*ヨマリは両親が同棲していたときに生まれている。両親は共に52のトキに小さな結婚式をあげた@イールカフェ・デ・マーレ)
**ヨマリは、西暦3333年、38歳でバルダット社を受け継ぐが、祖父の失踪から68年間、じつは祖父の失踪は公表されていなかった。祖父は、自分そっくりのAIアンドロイドを用意していたのだ。そのAIアンドロイドが68年間、CEO業をやっていたのであるが、やはり、もともとのモデルが失踪癖のある男だったため、このアンドロイドもまた失踪してしまった。そしてヨマリに白羽の矢が立つのだ。ヨマリ・エクス・バルダット新CEOにとっては、曽祖父と祖父の記憶は混在・混乱しているため、まったく新しい企業としてバルダットを造りあげねばならぬ使命があり、第二創業期に入ったといえる。ヨマリはひとり考え事に集中するために、秘密ベース『レックマナーM1』に居ることも多い。
VALDAT CORPORATION HISTORY:
AD3140…ヨマリの曽祖父・バルダット創業者生誕
AD3170…バルダット・コーポレーション創業
AD3180…ヨマリの祖父誕生
AD3260…創業者帰天(うわさ) / ヨマリの父・タカクラが誕生
AD3265…CEOだった祖父(85歳)が失踪
AD3265-AD3333…AIアンドロイド祖父がCEOをつとめる
AD3333…アンドロイド失踪 / ヨマリがCEOになる / 第二創業期へ
レックマナーM1:
レックマナーM1は、ヨマリの祖父が建造した地下秘密ベースだ。その正確な位置は明らかにされていないが、マケドニア共和国(現・北マケドニア)にあるとされる。スコピエ市郊外か…。
ベース内には祖父のライブラリーが保存されていて、そこには数々の謎めいた書籍が置かれている。ヨマリは時々、それらを読書する。中には、祖父自身が世界旅行・調査のとき書き記したダイアリーなどもある。ふと、ヨマリはその1つを手に取った。そこには秘密のマケドニア正教会・地下聖堂にあった碑文が書き写されていた・・・・・・。
「神を超えて、この世の諸事を愛するは罪。恨むは罪。けなすは罪。名誉を貪るは罪。栄光は神へ。人と和睦していない、は罪。憤怒は罪。欲深く、けちは罪。主なる神の憐みなくしては生きられぬ。業務を怠るは罪。心の思ひを含めて、貞潔でない思ひにかられるは罪。 ・・・・・・・これらの思ひを胸に、先へすすめ。」