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その日曜日、早めに昼食を済ませて晶子がクリーニングから戻って来たばかりの制服をバッグに入れようとしているところへ、掃除機を下げた母親が部屋に入って来た。
「もう出かけるのね晶子。じゃあ、掃除機かけとくから床を片付けといて」
母親は晶子が制服を手に持っている事に気づいて訊く。
「あら、制服着て行くの?」
晶子はどぎまぎしながらとっさに答える。
「あ、ああ。クラブの先輩たちと一緒に資料探しに行くから、学校の制服で来てって言われてて」
「あらそうなの。部活の用事なのね。じゃ、掃除機ここに置くからね。玄関出る時に声かけてちょうだい」
母親が一旦部屋を出て行き、晶子は手の中の制服とベッドの上の私服を交互に見つめてため息をついた。
「ううん、これはどうしようもないなあ。制服着たまま行くしかないか」
晶子は結局制服を着て、電車で渋谷へ向かった。電車の中で、周りの若い男たちがちらちらと制服姿の晶子に視線を向けて来るのが、急に意識された。晶子は心の中でつぶやいた。
「今まで考えた事もなかったけど、男の人ってこういう格好の女の子が好みなのかな?」
カンナがメール添付で送って来た地図をスマホの画面で見ながらその場所へたどり着くと、5階建ての瀟洒な外観のビルだった。
3階の写真スタジオの入り口のドアは開け放たれており、晶子が顔を中に入れるとすぐにカンナが見つかった。声をかけるとカンナが満面の笑顔で走って来た。
「おお、晶子。来てくれたか、助かるぜ」
そしてカンナは晶子が制服を着ているのに気付いた。
「あれ? 自分で着てきたのか?」
晶子は家を出る直前の母親とのやり取りをカンナに話した。カンナも苦笑しながら言う。
「そういう事か。そりゃおばさんにばれると、あたいもまずいな。けどさ、晶子」
「ん?」
「だったら着替えの私服をバッグに入れてくりゃよかったじゃん」
「あ! ほんとだ。あわてたから思いつかなかった」
「ま、いいや。撮影会は1時間半だから、その間あたいと服をとっかえっこしときゃいいさ」
「え? ここで着替えるの?」
「あっちに更衣室あるから。よし、時間ねえから行くぞ」
カンナは晶子の手を引っ張って強引に奥の小部屋へ連れて行った。
コメント
1件
うわ、晶子かわいいな😄 あわてて制服着たまま来ちゃって、しかも替えの私服も忘れるって…。カンナに「バッグに入れてくりゃよかったじゃん」って言われて「ほんとだ」って気づくやりとり、息ぴったりで思わず笑った。母とのやりとりもリアルで、制服姿に周りの視線が気になる描写も「あーわかる」って感じでした。撮影会どうなるのか、着替えのとっかえっこも含めて続きが気になります!
宇津Q
2,015
#いじめ
るあ🩵🦊🌙
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