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「もう大丈夫・・・怖くないだろう?何の夢を見たの? 」
背中を長い事さすっていた柚彦が、静かに聞いた、彼女はただ黙ってうなずいた
「俊哉に・・・」
彼女の血の気の失せた唇から、ひとりでに漏れた声だった、柚彦の手に緊張が走った
「俊哉?・・・君の前の旦那だね? 」
鈴子はこくんと頭を上下させた、一時の沈黙のすえに柚彦は静かな口調で聞いた
「どうしてそいつに追いかけられたの?」
「私を・・・捕まえるために・・・俊哉は・・・俊哉に逆らったから・・・懲らしめようとしたの・・私を・・・ 」
「君を懲らしめる? 」
柚彦は彼女をいっそう強く抱きしめた
「それどういう意味なの?よかったら教えてくれる?」
「・・・罰すること・・・私が上手に出来なかったから・・・」
今こそずっと知りたかった、彼女が自分との性的関係を拒む理由を打ち明けてくれる時だと柚彦は悟った、ここは落ち着いて慎重にいかなければ
「鈴ちゃん・・・僕のエンジェル、それは夢の話?それとも実際にそういうことをされていたの?」
「実際に・・・されていたの・・・・ 」
彼女の震えは収まっていた、しかし柚彦の胸に顔をうずめたまま、こちらを見ようとはしない
「・・・終わったあとは・・・いつも腑抜けのようになって・・・まるで傷ついた肉体はどこかに置いてきて別の空間を漂いながら・・・めちゃくちゃになった自分の体の残骸を眺めている・・・そんな奇妙な状態に陥ったものなの・・・」
鈴子はかぶりを振った、嗚咽がこみあげ肩を震わせている
「これ以上言えないわ・・・ 」
「言えるさ・・・どんなことでも話してもらった方が僕は嬉しい 」
「でも恥ずかしくて・・とても話せない」
彼女は顔を覆い、またシクシク泣き出した、柚彦は優しく彼女を揺すった