呪霊降濁

上海の戦いが終わり、透は一時的な安堵の時間を迎えていた。しかし、その平和は長く続かない。突然、世界が揺れ、空間そのものが歪み始める。建物がねじれ、地面が波打つかのように変形する。空には裂け目が現れ、異常なエネルギーが渦巻いている。

百鬼は険しい表情を浮かべる。「これはただ事じゃない。空間そのものが歪んでいる…」

透は歪みの中心を睨む。「これが…次の敵の仕業か。」

現れたのは、呪詛の王に仕える新たな幹部、異能「空間歪曲」を操る者だった。彼の術式により、空間が自在に変形し、攻撃が読めない状態にされる。敵の姿は不明瞭で、常に歪んだ空間の中で消えたり現れたりする。

透の反撃: 透は敵の動きを見極めようとするが、歪んだ空間の中ではどこから攻撃が飛んでくるか予測がつかない。透の攻撃は空間の裂け目に吸い込まれ、全く効果がない。

白川の策略: 白川は冷静に状況を分析する。「空間が歪んでいるだけなら、根源を叩けばいい。」彼は自身の術式「無限拡散」を改良し、敵の歪曲する空間に干渉することを試みる。

白川は自身の異能で空間歪曲を中和し、敵の手を封じる。その一瞬の隙を狙い、透たちは一斉攻撃を仕掛ける。しかし、敵は次々と空間を折り曲げ、攻撃をかわしていく。絶え間なく変化する空間に、透たちは次第に追い詰められていく。

「空間の支配者だって？ そんなの、俺がぶっ壊してやる！」白川は狂ったような笑みを浮かべ、さらに力を解放する。彼の力は空間そのものに干渉し、敵の術式を無理やり崩壊させる。

敵の空間歪曲が崩れ、周囲の現実が正常に戻る。白川は嘲笑しながら、最後の一撃を浴びせる。空間が静かに元に戻り、歪んだ世界が解消される。

「これで終わりか。」透は呟きながら、周囲を見渡す。「まだ先がある気がする。」

百鬼は頷く。「この敵は、ただの前触れに過ぎない…次はもっと強力な敵が現れるだろう。」

透たちが空間歪曲の敵を倒してからしばらく経った頃、新たな脅威が姿を現した。時空を自在に操る呪詛の幹部が現れ、現実の流れを歪め、時間と空間を混乱させる。

異常な雲が広がり、時計の針は不規則に回り続ける。時間が止まったり、逆行したりする奇妙な現象が周囲を襲う。

神風は冷静な表情で敵を見据える。「時空を操るなんて、面倒なやつが来たな。」

現れたのは、呪詛の王の幹部「時空操作」の使い手。彼は時間を巻き戻し、未来を一瞬だけ覗き見しながら攻撃を繰り出す。そのため、どんな攻撃も予測されてしまい、透たちは苦戦を強いられる。

神風の決意: 神風は一歩前に出て、仲間に背を向ける。「ここは俺に任せろ。時空操作なんて大したことない。」彼はいつもの軽口を叩きながらも、その目には決意が宿っている。

敵は余裕たっぷりに笑う。「お前の動きなんて、すべて見えている。無駄だ。」

神風は幾度となく攻撃を仕掛けるが、全ての動きを未来視によって読まれ、時間を巻き戻されてしまう。その度に神風の攻撃は無に帰す。

「じゃあ、未来が見えるなら、次はどうだ？」神風は自信満々の笑みを浮かべながら、相手の動きをあえて先に読み、時間を巻き戻されたことを逆に利用し始める。

時空操作の使い手は戸惑いを隠せない。「何をしている…？」

神風は攻撃を何度も繰り返し、敵が未来視でその動きを読むように仕向ける。だが、その間に彼はあえて自分の攻撃を変えず、相手に油断させていく。ついに敵が「読めた」と確信した瞬間、神風は全く別の攻撃を仕掛け、敵の予測を裏切る。

「未来を見ても、心までは読めないだろ？」神風はその一瞬の隙をついて、時空操作の敵に一撃を加える。

神風の攻撃は見事に的中し、時空操作の使い手は倒れる。「俺の異能…完璧だったのに…」

神風は息を整え、仲間に振り向く。「これで一丁上がりだ。やっぱり最強は俺だな！」

透は苦笑しながら頷く。「お前の異能は確かにすごいが、最後は気合で勝ったな。」