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――Scene 01:開かれた檻の鍵
楽屋の空気が、どこかおかしい。
ライブを終えたばかりで、照明の熱と歓声の余韻がまだ身体にまとわりついてるのに、それとは違う熱が、喉の奥でじんじんしていた。
🎼☔️「……っ、まずい……」
フェロモン抑制剤――
ポーチに入れたはずの薬を探す指が、焦りで震える。
どこにもない。さっき着替えたときに、落としたかもしれない。
🎼🍍「こさめ……何してるの?」
その声を聞いた瞬間、心臓が跳ね上がった。
入り口に立っていたのは、こさめの専属マネージャー――なつくん。
🎼☔️「な、なつくん……ごめん、ちょっと……薬、忘れてきちゃって……っ」
🎼🍍「薬?」
なつくんが扉を閉め、カチリと鍵の音がした。
まるで、檻に閉じ込められた小動物みたいに、こさめは動きを止めた。
🎼☔️「なつくん……?」
🎼🍍「今日がヒートの兆しが出る日だって、わかってたよ。
でも、あえて何も言わなかった。お前がどうするか、試してたんだ」
🎼☔️「……試して……?」
🎼🍍「お前が“自分の意志で俺を求めてくるか”ってね。
でも、やっぱりΩってのは、身体のほうが正直だ」
ゆっくりと近づいてくるなつくんの視線が、熱い。
マネージャーの顔じゃない。
アイドルの管理者でもない。
獣みたいな目。
🎼☔️「やだ……だめ……ここ、楽屋だよ……?」
🎼🍍「だから?」
こさめの身体が、壁に追い詰められる。
背中がぶつかって、小さな音がした。
首筋に視線を感じて、ぞくっと震える。
🎼🍍「ここがどこだろうと関係ない。俺のものが、発情してるってだけで――十分だろ」
🎼☔️「っ……こさめは、アイドルだよ……こんなとこで、汚されちゃ……」
🎼🍍「汚さないよ。
ただ、お前が誰のものか、ちゃんと身体に覚え込ませてやるだけ」
そして、なつくんは、懐から小さな金属製の道具を取り出した。
それは、手錠だった。しかも、ただの手錠じゃない。アイドル用のブレスレットに偽装された、静音の特殊製。
🎼☔️「なっ……なに、それ……やだっ、離して……っ!」
🎼🍍「暴れると、もっと強いやつにするよ?」
言葉に冷たさはなかった。むしろ優しさすらあるのに、ぞっとするほど怖い。
気づいていたのか。こさめがずっと、なつくんの“優しさ”を少し怖いと思ってたことに。
カチリ、と音を立てて、手首に嵌められた。
左右の腕が頭の上で固定されて、身動きが取れない。
🎼☔️「……や、だ……恥ずかしいよ、こんなの……っ」
🎼🍍「うるさい」
次の瞬間、首筋に唇が触れた。
舌先が熱を探すように這って、耳の後ろまで舐めあげられる。
🎼☔️「やだぁ……やめてよぉ……っ、こんな、熱、ばれちゃう……」
🎼🍍「バレてもいいよ。
どうせ、このあとお前は、俺の家に“監禁”される予定だったし」
🎼☔️「……え……?」
🎼🍍「お前が薬を忘れたのも、ヒートが来るのも、
俺がスケジュール空けたのも……全部、計画通り。
だから、安心して堕ちて」
なつくんの手が、腰を撫でる。
熱のせいで、そこはもうぐずぐずに濡れていた。
言い訳も、恥も、全部無意味になる。
🎼☔️「お願い、こさめのこと、壊さないで……っ、アイドルなの……まだ……」
🎼🍍「お前は“俺のもの”だよ、こさめ」
そして、ヒートの匂いに包まれながら、
楽屋という檻の中で、アイドルはマフィアに飼われるΩへと、変わっていった。