「ん……っ、……ぅ、う……っ」
彼の大きな手の中で、自分の乳房が自由に形を変えられていると思うと、言いようのない感情に駆られる。
(変なの……、おかしい……)
ただ体に触られているだけなのに、くすぐったさと気持ちよさの中間の感覚が私を襲い、甘えたような高い声が漏れてしまう。
それに、体を動かしてもいないのに呼吸が乱れて、本当に謎で堪らない。
「あっ!」
ゴチャゴチャ考えていた時、涼さんが布越しに乳首を軽く引っ掻き、ゾクッとした気持ちよさに襲われた私は大きな声を漏らしてしまった。
とっさに両手で口元を覆ったけれど、もう遅い。
「気持ち良かった?」
真っ赤になってコクンと頷くと、彼は私の頬にキスをして言う。
「じゃあ、もう少し弄ってみようか。気持ちいい事はいい事だから、恥ずかしがらなくていいからね」
恥ずかしい事に決まってるのに、オープンにそう言える涼さんは凄い。
彼はまたカリカリとキャミソール越しに乳首を引っ掻き始め、私の首筋にキスをし、チロリと舐める。
耳に近い場所に顔があるので、ときおり吐息が掛かるとビクッと肩をすくめてしまう。
知らずと緊張して体に力を入れていたけれど、涼さんはそれを宥めるように私の二の腕を撫で続けていた。
「ん……っ、ん、ぁ……っ」
乳首を引っ掻かれるたび、ムズムズとした感覚が全身を襲い、身をよじらせて逃げ出したくなるし、お腹の奥が甘く疼いて堪らず、勝手に腰が動いてしまう。
「待って……っ、おかし、……の……っ」
「ん? どうおかしい?」
優しく尋ねる涼さんに、私はハフハフと呼吸を荒げて訴える。
「体が……っ、私の許可なく変になろうとしてる!」
思った事をストレートに口にすると、涼さんは静かに笑み崩れた。
「やっぱり恵ちゃん、面白いね」
「……色気なくてすみません……」
イチャついている間に「面白み」なんて求められていないだろう。
慣れていないとはいえ、つくづく自分の色気のなさが嫌になる。
落ち込んで言ったけれど、涼さんはクスクス笑ってから髪を掻き上げ、「いいや」と微笑む。
「そういう所が魅力的だって言ってるんだ」
「う……」
私がネガティブに捉えている事のすべて、涼さんにとっては大した事ではなくなってしまう。
こういうのをスーパーポジティブと言うのかもしれないけど、不思議と押しつけがましくないし、とても自然体だ。
(だから魅力的なんだろうな)
そう思っていた時、涼さんは私の腰に手を掛けて尋ねてきた。
「……下は触らないほうがいい?」
尋ねられ、彼が触れたいと望んでいる場所の事を思い、ドキッと胸を高鳴らせる。
(……どうしよう……)
感情のまま突っ走るなら、このまま押し流されて涼さんに愛されたい。
でも、尋ねられた事で少し冷静になり、もう一人の自分が「初対面なのにすぐ体を許していいの?」と問いかけてくる。
逡巡していると、涼さんは私の頭を優しく撫でて言った。
「怖いならしない。興味があるなら途中まででもいいから、体験してみるのもありだと思う」
「……途中まででもいいんですか?」
「勿論」
「物凄く中途半端なところで『やっぱりやめる』って言っても……、怒らない?」
「怒らないよ。もっと信頼して」
涼さんは微笑み、私の手を握ると自分の胸板に掌を押し当ててきた。
彼は私を見つめ、穏やかな声で言い含めるように言ってくる。
「俺は心の底から、恵ちゃんを大切にしたいと思っている。絶対に裏切らないし、傷つけない」
綺麗な飴色の目に見つめられ、私は震えながら俯き、ポソッと言った。
「……じゃあ、もう少ししてみます」
「分かった。……脱がせても大丈夫? 着たままのほうがいい?」
意見を求められるとやっぱり恥ずかしいけれど、協力していかないと。
「……脱いでも……、大丈夫……」
蚊の鳴くような声で伝えると、涼さんは「ん」と頷いてパジャマのズボンを下着ごと下ろした。
「…………っ」
そのあと、パジャマの上とキャミソールも脱がされる。
一糸まとわぬ姿になった私は、ドキドキバクバクと胸を高鳴らせ、両手で胸元を覆って横を向いた。
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