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【7/7 七夕】
蓮 🖤『翔太くんまだ?』
緊張しているのか翔太くんは朝からリビングと寝室を行ったり来たりしている。
何度目かの着替えを経てやっと落ち着いた。
翔太💙『この洋服で大丈夫?変じゃない?』
蓮 🖤『普段通りで大丈夫だよ?似合ってるいつも通りカッコいいよ』
〝カッコいい〟に気を良くしたのか、ようやく食卓に着いた。
ふたりで〝頂きます〟を言う朝。
当たり前が当たり前ではない日々に感謝をするように手を合わせて翔太くんが〝幸せだね〟そう言って朝食のウインナーを頬張った。
蓮 🖤『やばい翔太くん急いで迎えの車が来ちゃうよ』
僕らの新たな1ページが刻まれる日。
お互いの指に光るリングを見つめる。
不安そうな顔をした翔太くんが俺の腰に腕を回して抱きついた。
何も喋らずギュッとシャツを掴んでる。
蓮 🖤『1人じゃないから大丈夫。きっと上手くいく。そうでしょ?』
翔太💙『うん』
七夕前夜。翔太くんとデートした。
撮影終わりの翔太くんは、メイクの残る綺麗な顔立ちのまま現れた。
翔太💙『ごめん遅れた///メイク落とす時間がなかった』
ちょっぴりまだ仕事モードの翔太くんは、お兄さんぽい口調だ。白シャツにジーパン、サングラスをかけてキャップ帽を被ったラフな格好で凄くカッコいい。ついつい見惚れてボーっとしてしまった。
翔太💙『蓮?どうした?』
蓮 🖤『いや・・・破壊略半端ないね。カッコいい翔太くん』
翔太💙『えっなぁに?どうしちゃった?』
だんだんと、いつもの可愛い翔太くんに崩れてきている。不思議な人だ。
先に2人で食事を済ませると目的の場所に着いた。
俺たっての希望で、どうしてもここへ来たかった。
蓮 🖤『ごめんね。忙しいのに無理言って』
翔太💙『蓮となら何処へでも行くぞ///仕事なんかクソ喰らえだ』
仕事大好きな癖に可愛いな。
蓮 🖤『本物見せてあげられなくてごめんね』
翔太💙『そんな事気にしてるのか?東京じゃ無理だろ・・・こう言うのは気持ちが大事なんだ』
カウンターに立った翔太くんは手慣れたように〝大人2枚〟と言うと俺を手招きして中へ入っていく。
半月型のソファーに寝そべると、今夜は七夕前夜だと言うのに完全貸切だった。
帽子とサングラスを外してカゴに入れると〝あぁ〜〟と伸びをしてソファーにダイブした。
続いて俺もソファーに身体を預けた。
上映時間まではまだ10分もある。
翔太💙『俺がナレーションしてやろうか?蓮。俺一通り覚えたぞ!』
白い歯を剥き出しにして笑ってる。俺が緊張している事に気付いた翔太くんの顔色が変わった。
蓮 🖤『翔太くん・・・』
翔太💙『何も言うな!お前・・・嫌だ嫌だよ?』
・・・?何か勘違いさせたようだ。
蓮 🖤『あのね・・・』
翔太💙『嫌だ嫌だ・・・なんで俺が星見ようとすると嫌なことばかり起きるんだよ!何も喋るな』
耳を塞いでソファーの端に蹲っている。いつか見た光景に思わず吹き出してしまった。目を丸めて驚いた様子でこちらを見上げた。
蓮 🖤『それ、3回目なんだけど///翔太くん別れるとかそう言う悲しい話じゃないないんだけど?聞いてくれるかな?』
翔太くんは俺の方に向き直すと〝いい話?〟と不安そうな顔を俺に向けた。〝ん〜どうかな?きっと翔太くんは喜んでくれると・・・俺は思ってる〟
翔太くんは靴を脱いでソファーの上に正座をすると〝いいよ言って〟と言い背筋を伸ばした。
俺も靴を脱いで同じように正座すると、翔太くんの手を取った。2人の指輪が煌めいている。
蓮 🖤『どうしてもココで言いたくて。指輪を貰ってくれたこの場所で///』
翔太💙『うん//明日七夕だね』
蓮 🖤『うん、俺の願い聞いて貰いたい』
最初、翔太くんは驚いた顔をしていた。想像していない俺からの願い事に一度怯んだ。
不安なのは十分に理解できる。俺だって不安だ。
でも2人のこれからには必要な事と思えるし、舘さんから散々言われ続けた〝覚悟〟の答えがそこにはあった。
蓮 🖤『まだまだ未熟で頼りないけど、俺を信じてこれからも一緒にいて欲しい。だからもう泣かないで』
翔太💙『ううっう゛…うん』
初めてふたりで見る、満点の星空。
飛び込んでくる景色を瞼に焼き付けるように、お互いの涙を拭いながら、天の川に願い込めた。
蓮 🖤『いつか絶対、本物の天の川見に行こうね』
翔太💙『うん』
照💛 『で?話って何?』
いつもより早めに集合するように声をかけられたメンバーが揃うとリーダーが先陣を切って声を発した。
緊張しきりの2人が、手を繋いでみんなの前に一歩出る。
蓮 🖤『俺たち付き合ってます。一緒に住んでる』
ラウ🤍『えっ言っちゃうんだめめカッコいい』
大介🩷『ラウールお前知ってたの?』
康二に関しては、魚みたいに口をパクパクさせて放っておくとそのまま泡を噴きそうなくらいに驚いている。舘さんと阿部ちゃんも、まさか皆んなに公表するとは想像もしていなかったのか、目を丸くして俺と翔太くんを交互に見ている。
翔太くんは緊張して、普段では考えられないくらいの握力で、俺の手を握り締めている。
辰哉💜『付き合ってるって?恋愛感情があるって言う事で合ってる?』
蓮 🖤『はい。翔太くんを愛してます』
照 💛『ちょっと見てるこっちが恥ずかしいよ///そんな・・・すげぇな蓮カッコいいよお前。困った事があったら何でも相談に乗るからな』
翔太💙『これ今どうなってる感じ////蓮?』
普段メンバーには見せない甘ったるい声色で、俺のシャツを引っ張る翔太くんを見て皆んな驚いている。
大介🩷『なに?翔太めっちゃ可愛いんだけど・・・』
顔を真っ赤にした翔太くんはすかさず俺の後ろに隠れた。
蓮 🖤『急にすいません。でも皆んなに知っておいて貰いたくて。家族みたいな存在のメンバーに隠してるみたいで嫌で。翔太くんが不安な時とか相談に乗ってあげたりして欲しくて・・・すいません押し付けがましいんですけど』
どこからともなく拍手が起きた。
辰哉💜『えっとおめでとう?翔太、蓮。お幸せにね』
康二🧡『素敵すぎんふたり・・・ぁあ〜おれのしょっぴーが』
ラウ🤍『おめでとう//翔太くんに飽きたら俺もいるからね。めめ』
物凄い勢いで俺のお腹に腕を回した翔太くんは、ラウールを牽制するように抱きつくと睨みつけながら大きな声で叫んだ。
翔太💙『俺のだから蓮は////誰にもやらないぞ』
大介🩷『可愛いすぎる翔太///チューしようぜ。おいで翔太』
翔太💙『んっ……////』
何でこうもすぐに唇奪われるんだこの人は・・・
蓮 🖤『佐久間くん💢翔太から離れて』
公表したところ、返ってメンバーの翔太くんを見る目が変わった気がする。なんかイヤらしい目で見られてる気がするのは気のせいだろうか・・・
涼太❤️『やるね蓮!カッコいいよお前の〝覚悟〟俺も見習わなきゃな』
亮平💚『翔太おいで///良かったね翔太怖かったでしょ頑張ったね』
翔太くんと阿部ちゃんは抱き合って泣いていた。皆んなが俺ら2人を祝福してくれた。
男と女の狭間で悩んだり、嫉妬したり、浮気したり。紆余曲折あったけど、全ての試練が2人の絆を深くした。
翔太くんが一番大事な大切な人たちが集まるココは俺が守らなきゃいけない大切な場所だ。
探し求めてきた〝ユートピア〟は一番身近にあって、ずいぶんと遠回りしてしまった。
この9人が集まるこの場所が
ふたりの理想郷〝ユートピア〟だったんだ。
大介🩷『悪りぃ翔太ボールとって』
翔太💙『下手くそ、お前さっきから遠くへ蹴りすぎなんだよ』
今日は郊外の佐久間くんの知り合いの貸別荘へメンバー全員で来ている。
芝生のある広場でサッカーをして遊んでいると食事の準備ができたとふっかさんが呼びにきた。
康二🧡『ほな戻ろうか?』
翔太💙『蓮もご飯作ったの?』
俺の腕に纏わりついて、ちょこちょことついて来る。
佐久間くんが後ろから翔太くんを追っかけてきている。 何やら大分だけど、翔太くんとお近づきになろうとしている。油断ならない。
蓮 🖤『俺はほんの少しだけね。殆ど舘さんが作って持ってきたんだよ』
翔太💙『涼太のご飯なら間違いないなぁ。亮平が手伝ってない事を祈る』
俺たちがメンバーに公表して程なく、阿部ちゃんと舘さんも皆んなに付き合っている事を公表した。驚いていたけど皆んな嬉しそうだった。
大介🩷『翔太手を洗いにいくぞ』
翔太💙『おう』
配膳の手伝いをしていると、翔太くんが居ない。見渡すと佐久間くんも居ない・・・油断した。
コテージを見回すけどみあたらない。
康二🧡『ふたりで手洗ってたで。過保護すぎるでめめ』
結果を見て今の言葉をもう一度聞いてみたいものだ。慌てて洗面台へ向かうと・・・うん食べられてる。
蓮 🖤『佐久間💢離れろ』
大介🩷『にゃはっ流石蓮、もう見つかっちった』
翔太くんに覆い被さっていた佐久間くんは舌舐めずりをしながら離れると腕を取って翔太くんを起こした〝翔太続きはまた今度ご馳走様〟といって手をひらひらさせた。
蓮 🖤『今度はありませんよ💢いい加減にして。翔太おいで大丈夫?』
翔太💙『うん////』
蓮 🖤『何顔赤くなってんのよ?』
〝ごめんなさい〟と俯きながら俺の腕にしがみ付いた。頭を撫でて〝本当に大丈夫?〟と言うと元気よく〝うん〟と返ってきてなんだか複雑な気分になった。早速、照兄に相談したくなった。
皆んなで幾度となく囲んだ食卓も、今は違った景色に見える。リビングに9人座ってお酒片手にいつものように好き勝手自由に飲み食いしてる。
翔太くんは、舘さんの作ったご飯を頬張り、口についたケチャップを舘さんが綺麗に拭き取った。
お腹いっぱいになった翔太くんは俺の膝枕で横になり、頭を撫でると幸せそうに口角を上げた。
隣に座る阿部ちゃんが愛おしそうに 翔太くんの髪を梳くと、眩しそうに目を開けた。
視界に飛び込んできた俺を見るなり指輪を嵌めた左手で俺の頰に手を置き引き寄せるとキスをして2人見つめ合って笑った。
みんなが冷やかしの言葉を浴びせ顔に熱が籠った。
翔太💙『蓮可愛い』
仕返しとばかりに、長くて深いキスを翔太くんに返すと顔を真っ赤にして腕で顔を覆った。
次の瞬間ハッとした顔をした翔太くんは、俺の首にぶら下がると
翔太💙『蓮////凄い正夢だよ!最高に幸せだ!大好き蓮♡』
そう言ってもう一度キスをした・・・
♡ 完 ♡
あぁ〜 100話 無事に完走。感無量です。
長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。
およそ3ヶ月に渡って書き綴りました。
拙い文章にお付き合い頂き本当に感謝しております。
おまけのお話もUP予定 101話目ですね。
101話目をもって最終話とさせて頂きます。分かりづらくてすいません。
〝もうひとつのユートピア〟は引き続き悪ふざけをしながら書いていきます。
そして、新たに違う連載も執筆中です。 こちらも読んで頂けると嬉しいです。 UP日は未定。
また、新しい作品でお会いできる事を楽しみにしております。
花凜💙
コメント
15件
終わってしまうのは凄く寂しいですが…楽しませていただきました!ありがとうございました🖤💙めめなべ最高です😊
楽しいお話をありがとうございました😊
101話はいつだろな???🤗