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衣都「…………」
🧹「…………」
衣都(き、気まずい……)
深夜。日付がもうすぐ変わる頃。私は特務部の麻波さんと歩いていた。
🧹「お前」
衣都 「!……はい」
急に話しかけられ肩が跳ねる。ストーカーの件もあり、意外にも敏感になっているらしい。
🧹「皇坂が来たらどうするつもりだったんだよ」
麻波さんは前を見たまま。皇坂さんが来ていたら?来ていたら…
衣都「……特には何も考えてませんでした。麻波さんが来てから時間に気がついたので」
🧹「そーかよ」
麻波さんは短い返事をしたあとまた最初へ逆戻り。長い沈黙が当たりを包む。
衣都「!?」
そう思っていると急に腕を引かれる。すると麻波さんにハグをするような形になってしまった。状況が呑み込めないでいると後ろから舌打ちが聞こえた。振り向くとナイフを持った知らない男性が立っていた。
🧹「お前、あの男知ってるか?」
衣都「い、いえ。全くもって」
🧹「良かったな。今日俺と帰って。じゃなきゃお前殺されるか連れてかれてたぞ」
だんだん状況がわかってきた。彼はきっと最近私に付きまとっているストーカーなのだろう。ただ、なぜナイフを持っているのか分からない。今までのストーカーの人達はまだ凶器などは持っていなかった。
男「ねぇ……その男…誰?」
男「どうして僕以外の男といるの?おかしいよね。うん、おかしいよ。浮気?浮気してるの?君は僕のものでしょ?ねぇ、なんで?…………もしかして……そうだ!そうだよ!!君はその男に囚われているんだね!!そうしか有り得ない!!だって君が僕以外の人といるわけが無いもの!!待っててね!直ぐに君を助けるからね!!」
🧹「お前……ほんと厄介なやつに絡まれるな」
どさくさに紛れ、スマホを渡される。
🧹「そこに恩田の連絡先がある。電話して、この状況を話せ。あいつならすぐに来る」
衣都「で、電話?この状況でですか?」
🧹「早くしろ、お前に怪我をさせると他の奴らに怒られんだよ」
衣都「…分かりました」
パスワードは予め解除されていた。アプリを開き通話ボタンを押すと恩田さんはすぐに出た。
🌍『どうした?』
衣都「あ、あの」
🌍『代理?麗じゃないのか』
衣都「えっと…今ストーカーと鉢合わせしまして…」
🌍『わかった、すぐに行く。場所は?』
衣都「えっと……」
🧹「Aporia本部!!」
🌍『了解した。直ぐに向かう』
通話が切れる。特にこちらの状況も聞かず直ぐに来てくれるとのこと。それにものすごく安心した。すると誰かに抱き抱えられた。いわゆる”お姫様抱っこ”と言うやつだ。ストーカーかと思い警戒したがそれは麻波さんだった。
衣都「えっ、ちょ」
🧹「落とされねぇように気をつけろよ」
そのまま、麻波さんは走り始めた。私は落とされないように麻波さんに捕まる。少し経つとAporiaの前に着いていた。そこにはもう車で来たと思われる恩田さんがいた。
🌍「あとは任せろ。麗は弥代さんと中に入れ。鍵は持ってるな」
🧹「持ってる」
恩田さんと麻波さんは短い会話をする。そして私と麻波さんだけ中に入った。
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男「お、お前も衣都ちゃんを辛い目に合わせているやつか!!」
🌍「それはお前だろう。弥代さんは怖がっていたぞ」
男「う、うるさいっ!僕は見守っているんだ!!衣都ちゃんが危ない目に遭わないように…!!」
🌍「現在危ない状況だろう」
男「だ、黙れぇ!!」
男はナイフをこちらに向け走ってくる。ただ、恩田には脅しにもならない。男の腕を掴み手をはたいてナイフを落とす。そのナイフを足で蹴り、遠くへやった。そのまま男を背負い投げし、拘束する。
男「くそっ、離せ!!」
🌍「離さない」
恩田は手首と足首を縛り壁の方へ転がした。
🌍「逃げるなよ」
そう言い残して本部に入った。
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