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「そう言えば現実世界に帰りたい時は、糧の花を摘むといいよ」
「勝手に取っちゃっていいの?」
「うん、だってこんなにいっぱい生えてるし」
「それとも水中世界の住人以外が取ったら枯れるとか思ってる?」
そう言いながら私を見る空くん。
まぁ、確かに一瞬その考えは思いついたが…
「その顔、図星かな?」
「安心してよ!枯れないからさ」
そんなことを言いながら空くんは笑顔を
私に向ける。
が、何だか違和感を感じた。
「じゃあ私、もう帰るね?」
「うん!またね!!」
またね?
あぁ、
私がまたすぐに会いに来ると思ってるのかな。
「うん、またね!」
そう言いながら私はプチッと青い彼岸花…
いや、糧の青花を摘んだ。
途端、目の前が眩しくなり思わず目を瞑った。
目を開けると、
また私はいつものようにベッドの上に居た。
身体は、服は、少し冷たくなって。
手には青い花があって。
そういえば現実世界の空くんに、
この花を見せたらどうなるんだろう。
まだ夜にはならなさそうだし、
行ってみようかな。
そう思い、私は空くんの家に向かった。
いつものようにピンポーンという音と共に
チャイムを押すが、返事は無かった。
「お出かけ中かな..」
そんなことを呟いていると、
急に辺りがあの水中世界と同じような景色に
変わった。
「ぇ..?」
線路が水中世界の入口のようなもの
なのにも関わらず、
今、私はなぜだか水中世界に居る。
しかも私が居る場所は、あの青い花の花畑。
そこに誰かの姿があった。
目を凝らしてみるに、空くんだった。
しかもよく見ると寝転がっているようだった。
近づいて見てみるに、
祈りを捧げるような手の形。
そして青い彼岸花を握っていた。
空くんの姿、なんだか幼い気が…
そんなことを思ってると
「月は糧の青花の言葉って何か知ってる?」
と後ろから空くんの声が聞こえ、
思わず振り返る。
なんだかいつもと違う雰囲気を漂わせた
空くんが居た。
「花言葉..?」
「分かんない..」
だって前、調べたもん。
青い彼岸花は存在しない架空の花だから
花言葉は無いって。
「想い出して、すぐ忘れて、また。」
「そんな感じの花言葉だと僕は思ってるんだ」
淡々とそう告げる空くん。
何かあったのだろうか?