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すまない先生の手のひらには、もう2粒の錠剤が無くなっていた。

その瞬間、すまない先生は口を抑えた。

「すまない先生!!」

ガラス越しで叫ぶ“生徒”の声が聞こえた。けれど、誰の声かは分からない。

頭が、体が、心臓が、潰されているように痛い。

心臓の音がやけに耳元で聞こえる。

身体中がまるでマグマのように熱い。

「ゴホッ・・・ゲホッ・・・」

すまない先生の口からたくさんの血が溢れる。

「すまない先生!!」

と、少年と少女と赤子が駆け寄る。すると、

「アハハハハハハハハハハッ!!まさか自分で2粒飲むなんて!!馬鹿だなぁ!」

と、博士は大笑いする。そんな笑い声を聞きながら、すまない先生は意識を飛ばした。

✵✵✵✵✵

・・・すまない先生の体が動かない。少年は知っていた。

・・・誰よりも知っていた。これは、

“死”だ。

「・・・すま、ない先生・・・」

そうこぼすだけでも一苦労だった。目の前のすまない先生は目を固くとじ、まるで人形のようだった。すると、一つだけのドアが開く。そこからは博士や取り押さえられているそのすまない先生の仲間が現れた。

「本当にこいつは馬鹿だなぁ。よくこんな約立たず共を庇ったものだ。まぁ、どちらとも毒だがな」

「なっ!それならどちらを選んでも死ぬのは決まってるじゃない!!」

そう少女が叫ぶも博士は大笑いする。それにブチッと何かが切れた

「・・・取り消せ」

「は?」

「・・・取り消せって言っているんだ。屑」

と、少年は博士を睨みつけた。その睨みは恐ろしい程の殺意と怒りに満ちていた。今まで反抗などしなかったNo.1に、博士は少し怖気付く。だが、すぐ笑い、答えた。

「なんだ?お前は能力を使いこなせない癖に、使いこなせないお前が私に指図するな!」

と、博士は持っていた銃を少年に向け、撃ち抜く。少年は床に転がされた。

「ハハハハハッ!私に逆らうからだ!!」

少年のメガネがからんっと音を立てて地面に落ちる。

それを見た途端、博士は顔を真っ青に染める。

少年は風を纏い、空へと浮遊した。

黄金に輝くその姿は、まるで“神様”のようだった。

✵✵✵✵✵

ドガンッドガンッ

と、爆発音が響き渡る。辺りは倒れている人と瓦礫まみれ。

その中でふわりと空を飛んでいる少年は、今も逃げている博士目掛けて金の弾丸を発射する。

着弾すると、床が少しえぐれる。

それを見ていたブラックはそれを見ながら

「・・・まるで、“ウィザー”のようですね」

そうポツリと呟いた。

そんな少年の姿を少女と赤子はただ心配そうに見ていた。少女と赤子の近くには、倒れたすまない先生が。

ふと、ピクッと瞼が動いていた。

空白の宝と新しい宝物

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