呪霊降濁

海氷の上にそびえるソビエト領モンゴルの牢獄。暗く冷たい牢内で、透と景井は脱獄の計画を立てていた。だが、透には別の疑念が頭をよぎっていた。 「なあ、景井。俺が真犯人だとされてる理由を教えてくれないか？」

景井は淡々と答えた。「簡単だ。お前が一番便利だからだよ。俺が天才ゲーマーXを装って、透が裏で動いていたという筋書きにしておけば、誰も疑わない。俺も逃げられる、お前も生き残れる。理にかなってるだろ？」

透は冷静を装いながらも、心の中では焦りが募る。このまま景井に利用され続ければ、命どころか名誉も失うことになる。

景井は続けた。「それに、お前が囮になってくれたおかげで、俺はブラジルに潜り込めた。だが、そろそろ次のステージに進もうじゃないか。」

透は眉間に皺を寄せ、景井を見据えた。「ふざけんな。俺はお前の駒じゃない。」

景井は笑いながら答えた。「駒じゃない？ それなら今から証明してみせろよ。この牢獄からの脱獄は、狂気と知恵の勝負だ。お前がどれだけやれるか、楽しみにしてるよ。」

その瞬間、彼らは牢の氷を溶かし、脱獄への第一歩を踏み出した。