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16 - 第16話 十種の魂

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2024年11月21日

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夜の帳が降り、風が冷たく吹き荒れる中、加藤清政は再びその「十魂」を引き出す決意を固めていた。東海道を支配し、幕府の力を衰退させるために、彼は何度もその力を使ってきたが、今日はそれがどれほど危険であるかを十分に理解している。だが、もう後戻りはできない。

加藤の前に立つのは、雅也率いる「黒潮団」。その数は少ないが、雅也の異能とその冷徹な戦術が一層手強く、加藤の戦士としての誇りが傷つけられた瞬間、彼の「十魂」が目覚める。彼はまだ完全にその力を使いこなすことはできていないが、今日こそがその時だ。

「そろそろ、引き金を引くべきか……」加藤の唇がわずかに震えた。彼は手に持つ六魂の武器、天雷剣を握りしめ、心の中で呟いた。

雅也は冷静だった。加藤が異能を使うことを承知の上で、その力を引き出させるつもりだ。彼は言葉を発することなく、すぐさま戦闘態勢に入る。

「雅也、戦場は命を奪う場所じゃなく、ただの通過点だ。」加藤が口を開くと、優雅に天雷剣を振るった。

その瞬間、空気が変わった。静かだった風が突如として暴風に変わり、雷鳴が遠くで轟く。天雷剣が空を切ると、稲妻が加藤の体に宿った。彼の周囲に雷が集まり、その力は加速度的に増していく。

雅也は瞬時に反応し、風狼刀を抜き放つ。風を操り、雷の力を打ち消そうとしたが、加藤の力は予想以上に強力だった。

「来るか……」雅也は冷静に息を吸い込み、瞬間的に距離を取ると、加藤の雷をかわしながら攻撃を仕掛ける。しかし、加藤の目には冷徹な光が宿り、その動きをしっかりと追っていた。

加藤は、その目で雅也の動きをしっかりと見極める。だが、雅也の攻撃が再び迫った瞬間、彼は無意識に心の中で呟いた。

「これで終わりにしよう。」その言葉と共に、加藤は今まで抑えていた異能を解放する。

冥獣魂が、加藤の背後に巨大な影を現し、死者の魂が呼び覚まされる。過去の戦士たちの霊が、加藤の戦いに力を貸し、戦場を支配し始める。雅也はその異能に驚愕し、一瞬だけ動きを止めた。

「これが……十魂の力か。」雅也は驚きながらも、次の瞬間には立ち向かおうと必死に攻撃を仕掛けるが、加藤の力はすでに全ての隙間を埋めていた。

時空魂の力を使い、加藤は瞬時に消え、雅也の背後に現れる。雅也が反応する前に、加藤の剣が彼の脇腹に深く突き刺さった。

「……くっ。」雅也の体が震えた。

その刹那、加藤の表情が険しくなった。「やりすぎた……」彼の目に痛みが宿った。彼の周囲に現れた死者たちが、加藤を見守るように立っていたが、その姿は彼をさらに追い詰める。

「……不死魂を使おう。」加藤は自分に言い聞かせるように呟き、傷口を目の前で癒し始めた。体内の血流が回復し、裂けた肉が急速に繋がっていく。しかし、それでも加藤の心は穏やかではなかった。

「この力が本当に僕を救ってくれるのか……?」加藤の心の中で過去の記憶がよみがえり、両親を殺したあの日の出来事がフラッシュバックしてきた。異能が暴走し、無意識のうちに手にかけてしまったその手を、今も抑えることができない。

その時、雅也が冷ややかな目で彼を見ていた。「どうした、加藤? お前の異能も、所詮は力に過ぎないのか?」雅也の声が冷たく響く。

加藤はその言葉に返すことができず、ただ剣を握りしめる。

加藤の異能が全開となり、再び空間が歪み、雅也を取り囲んでいく。風、雷、死者、時間、全てが加藤の手のひらの中で操られ、戦場に無限の威圧を与えていく。

「これが……お前の力か。」雅也は冷徹な表情でそれを受け止めながらも、その手に力を込める。戦いはまだ終わらない。

加藤と雅也、二人の異能者の戦いは、もはや単なる勝敗を超え、命を賭けた壮絶な戦闘へと突入する。


【十魂って何!?】

「十魂」は、加藤清政が持つ異能であり、通常の「六魂」では成し得ない力を誇る。異能の中でも最も高度で、複雑かつ危険な能力であるため、持ち主にとって大きなリスクを伴う。

六魂とは

「六魂」とは、武器や人間の体内に宿る異能の力を指し、一般的に以下の6つの魂が存在するとされる。

天雷魂:雷の力を操り、空気中の電気エネルギーを集めて爆発的な攻撃を放つ。

風狼魂:風を操り、風速を自在に操ることで切断や破壊を行う。

水竜魂:水の力を駆使して、液体の形態を操り、相手を捕らえたり、攻撃を繰り出す。

火狐魂:火を操り、その威力を増幅して爆発的な炎を生み出す。

土獣魂:大地の力を操り、地震や岩を動かして物理的な攻撃を行う。

雷竜魂:空中で雷を集め、竜のような形にして襲いかかる攻撃的な異能。

これらの「六魂」は、異能として最も普遍的で、各異能者がそれぞれの「魂」を使いこなすことによって、戦闘能力を高めている。

十魂の誕生とその力

「十魂」は、単なる「六魂」にとどまらず、さらにその上を行く特異形態である。この異能は、六魂を基盤にして、さらに「異能の魂」を二つ加えることで成立する。

加藤清政の「十魂」

加藤が持つ「十魂」は、以下の四つの異能をも宿している

冥獣魂:死者の魂を引き寄せ、その力を借りる。過去の戦士や武士の魂を使い、戦闘において驚異的な力を発揮する。

破邪魂:防御や障害物を無効化する力。相手の能力や魔法を打ち消し、純粋な力で切り裂くことができる。

不死魂:一度切り裂かれても、瞬時に傷を癒し、再生する能力。時間の経過により回復するため、倒すのが極めて難しい。

時空魂:時を一瞬止めたり、移動する能力を使いこなす。加藤は短時間だけ時間を操作し、空間をねじ曲げることができる。

十魂の危険性

「十魂」は、強力な異能ではなく、その力を完全に制御することが難しいため、使用者にとって非常に危険である。特に「冥獣魂」や「時空魂」のような異能は、精神負担を伴い、過度に使用すれば使用者が精神を壊す恐れすらある。

加藤清政は力を使いこなすことができたものの、過去に異能を制御できなかったために両親を無意識に殺してしまったというトラウマを抱えている。このため、「十魂」を使うたびに記憶と向き合うことになり、戦いが進むごとに精神的な苦痛が増していく。

また、「十魂」の力は時間とともに劣化していく特性もある。つまり、使い続けることでその力は次第に失われ、最終的には完全に消失する可能性もある。それでも、「十魂」を使用することで得られる一時的な強さは圧倒的であり、そのため加藤は多くの戦闘でこの力を頼っている。

十魂の戦闘における利点と限界

利点:迅速で強力な攻撃を可能にする。特に「破邪魂」や「冥獣魂」により、強力な防御力を持つ相手にも致命的な打撃を与えることができる。「不死魂」により、戦闘において倒されることがほぼない。これにより、加藤は他の戦士と比べて極めて長く戦い続けられる。

限界:力を使う度に精神的に深いダメージを負う。そのため、「十魂」を使いすぎると、戦闘後に加藤は精神的な崩壊を起こし、次第に制御が効かなくなる。使い続けることで力が減少し、最終的には異能が消失するリスクがあるため、無限に戦うことはできない。


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