ぼんやりと目を開けると視界いっぱいにあべちゃんのパジャマが映る
ひんやりした朝の空気に身じろぎすると、少し低くて優しい声が降ってくる
「翔太、おはよう」
声に導かれて頭を上げると、おでこに柔らかく口付けされる
【疲れてるだろうけど、良かったらうちに来ない?俺は翔太と一緒に今日を終わりたい】
昨日の夜、北海道を旅立つ前にあべちゃんのアイコンがメッセージを知らせた
ライブ終わりだし仕方ないかなと考えつつも、2人の誕生日の真ん中の今日を、このまま1人の家に帰るのは、ほんの少し寂しいと思っていたから、一気に気持ちが晴れやかになった
【うん、行く】
すぐさま返事をして、みんなにバレないよう、こっそりとあべちゃんの方を伺い見れば、優しい瞳と目が合った
「……あれ?なんで?」
抱きしめられて朝を迎えたことに昨日の夜の記憶を引っ張り出す
確か昨日は、2人とも疲れているしちゃんと休もうと、とあべちゃんの腕枕は断って2人で並んで眠りに着いたはずだ
「どうしたの?」
「並んで寝たんじゃなかったっけ?」
「ふふ覚えてないの?ねぼすけさん」
「え?おれ?」
「翔太、夜中にトイレに起きたでしょう?部屋に戻ってきた時に、自分で俺の腕を引っ張り出して中に収まってきたんだよ?」
「…………え、うそ」
寝起きの頭を頑張ってフル回転させるけど、トイレに起きたことさえ思い出せない
「…………全然、覚えてないんだけど」
「じゃあ無意識だったんだね、かわいい」
俺の頭を撫でながら、あべちゃんは嬉しそうに微笑んでるけど、俺は恥ずかしさでパンクしそうだ
「……うわ、まじか」
「ふふ、みみ、あっつ」
「……ほんと、むり」
恥ずかしさで俺の耳を触るあべちゃんの胸に顔をうずめるけど、あべちゃんは変わらず楽しそうに笑ってる
「なんで?俺は嬉しいよ。翔太は俺の腕の中が安心するってことでしょ」
「………それは、……そうだけど」
「それに、俺もすごくよく眠れたし」
「……そうかよ」
優しい声でストレートに紡がれる愛情に、いたたまれなくなって、でも嬉しくって、顔をうずめたまま、ぎゅうっとあべちゃん抱きつくと、同じように抱き返された
「翔太、大好き」
「ん、俺も」
あったかくて気持ちよくって大好きな腕に包まれながら、誕生日はどうしようかなとぼんやりと考えた
コメント
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あら、💙雄みあるね。 バランスむずいよねぇ🥺