テラーノベル
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つかであきひろ
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エルザ:ガルディニア帝国の新米皇妃。陛下の過保護ぶりに嬉しい悲鳴を上げている。ギルベルト:ガルディニア帝国の皇帝。結婚してエルザへの独占欲と溺愛がさらに悪化。ノヴァ:神竜。普段は人間のイケメン姿。夫婦のバカップルぶりに呆れつつ居座る。「……あの、ギル様。さすがに朝食をあーんしていただくのは、恥ずかしすぎます……!」ガルディニア帝国の最高峰、皇帝夫妻の私室。朝の柔らかな光が差し込むバルコニーで、私は顔を真っ赤にして身をよじっていた。なぜなら、私の夫である皇帝ギルベルト様が、私の腰をがっちりと抱きすくめたまま、特製のベリージャムがたっぷり乗ったパンケーキをフォークで私の口元へと運んでいるからだ。「何を言うんだ、エルザ。君は昨日、帝国の東側にある広大な荒野をその身一つで瑞々しい緑へと変えてくれた。我が国の皇妃でありながら、世界の救世主でもある。その愛しい手が疲れてしまわないよう、私がすべて口に運ぶのは夫として当然の義務だろう?」ギル様は眉一つ動かさず、至って大真面目な顔で、とんでもない甘いセリフをのたまう。その美しい銀色の瞳には、私への底なしの愛と、少しの狂気すら感じるほどの独占欲がギラギラと輝いていた。【ギルベルト・ガルディニア】状態:新婚ホヤホヤ・愛妻家(重度・過保護の極み)本心:『ああ、朝日に照らされるエルザが眩しすぎる。可愛すぎてこのまま公務をすべて放り出し、一日中ベッドの中で愛でていたい。というか、公務の書類を作ったやつは誰だ。燃やしたい』(……ギル様、本心がどんどん物騒になっています……!)私の最高位鑑定スキル『万物看破』は、結婚してもなお、夫の歪みない(むしろ歪みきった)溺愛ぶりを鮮明に映し出していた。恥ずかしさに耐えかねて、私は観念して小さく口を開ける。「ん……もぐ……おいしいです……」「そうか。お前の喜ぶ顔が見られるなら、料理長を昇給させて正解だったな」満足そうに私の髪を愛おしそうに撫でるギル様。レムリア王国では、薄暗い地下室でカビの生えたパンを食べさせられていた私。それが今や、世界一の贅沢と、世界一の過保護に包まれている。幸せすぎて、時々これが夢なんじゃないかと不安になるほどだ。『おい皇帝、朝から主を困らせるな。それから我の特製レアステーキの焼き加減が甘いぞ。主が淹れてくれたお茶の繊細な風味を邪魔しているではないか』呆れたような低い声が響く。テーブルの向かい側に座っているのは、漆黒の長髪を雑に結わえた、彫刻のように整った顔立ちの美青年。――神竜ノヴァだ。普段は手のひらサイズのミニ竜として私の肩に乗っているけれど、皇宮の中では魔力を消費して、この人間の姿(超絶イケメン)で過ごすことが増えていた。【暗黒神竜・ノヴァ】状態:胃もたれ気味(人間の食事とお熱い夫婦のせいで)本心:『主の淹れるお茶は世界一だ。だがこの皇帝、毎朝毎晩主といちゃつきおって。我という偉大な神竜が目の前にいるのだぞ。少しは敬え』「ノヴァ、擬態しているとはいえ人間の姿で私の妻に気安く話しかけるな。お前の分のステーキがあるだけありがたいと思え。……エルザ、やはりこのトカゲは庭の犬小屋にでも移籍させよう。君との新婚の時間を邪魔されたくない」「トカゲとは失礼な。我は世界を滅ぼしかけた滅びの神竜だぞ! 主、この男を鑑定してバグとして修正してくれ!」「二人とも、朝から喧嘩しないでください!」私はクスリと笑いながら、二人の間におかわりの特製クッキーの皿を置いた。ギル様はノヴァに冷たい視線を送りつつも、私の淹れたハーブティーを嬉しそうに口に運んでいる。ノヴァも文句を言いつつ、クッキーを幸せそうに頬張っていた。賑やかで、優しくて、最高の毎日。私を捨てたレムリア王国がどれほど飢饉で苦しんでいようと、もう私には関係のないことだ。私の居場所は、間違いなくここにあるのだから。しかし、そんな温かな空気は、部屋の扉が激しく叩かれたことで一変した。「失礼いたします! ギルベルト陛下、エルザ皇妃殿下! 緊急の報告がございます!」入ってきたのは、顔を青ざめさせた帝国の隠密頭(スパイのボス)だった。ギル様は一瞬で皇帝の「冷徹な顔」へと戻り、鋭い視線を隠密へ向ける。「騒々しいな。エルザとの朝食を邪魔した理由を聞こう」「はっ……! 遥か東の大国、そして大陸最大の宗教国家である『ロストリア聖帝国』より、親善大使と称する一団が我が国の国境を越えました。彼らは聖騎士の軍勢を引き連れており、間もなくこの皇宮へ到着いたします!」「ロストリア……あの傲慢な宗教国家がか。親善大使というわりには、兵を連れてくるとは物騒だな。奴らの目的は何だ?」隠密はゴクリと唾を飲み込み、恐る恐る私と、そして不機嫌そうに目を細めるノヴァを見やった。「彼らの狙いは、レムリア王国を滅ぼした『偽りの聖女』であるエルザ皇妃殿下の弾劾……そして、エルザ殿下が不当に従えているとされる『滅びの神竜』の強制的な引き渡しにございます……!」「――何だと?」ギル様から放たれた凄まじい威圧感(殺気)で、部屋の温度が急激に下がった。バルコニーに咲いていた花々が、その風圧で一瞬で散っていく。『ふん……またあの忌まわしい国の人間か。懲りない奴らだ』ノヴァが人間の姿のまま、低く冷たい声で呟いた。その瞬間、私の『万物看破』が、ノヴァの胸の奥にある「古い傷跡」に隠された、驚くべき過去のステータスを捉えたのだった。
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