テラーノベル
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スタート!!!!
保健室のカーテン越しに、やわらかな光が差し込んでいた。
昼休みのざわめきも、ここまでは届かない。
翔太はベッドに横になり、天井を見つめている。
世界はまだ不安定で、色も淡い。
でも、さっきよりずっと楽だった。
理由は、はっきりしている。
「……ずっと、いんの?」
小さく問いかけると、すぐ隣から声が返ってきた。
「当たり前でしょ」
阿部は椅子に座ったまま、微笑んでいた。
ノートも教科書も閉じて、ただ翔太を見ている。
「無理して来なくてもよかったのに」
翔太は目を逸らす。
ツン、とした声。でももう、拒絶じゃない。
「無理してないよ」
阿部は静かに言う。
「一緒にいたいだけ」
その言葉に、胸の奥がじんわり温かくなる。
翔太は少し困ったように息を吐いた。
「……そういうこと、簡単に言うなよ」
「簡単じゃないよ」
阿部は真剣な目で続ける。
「翔太だから言うんだ」
沈黙が落ちる。
でも、気まずさはなかった。
むしろ、心地いい。
しばらくして、翔太がぽつりと呟く。
「なぁ、阿部」
「なに?」
「俺さ……色が見えるの、正直まだ怖い」
声は震えていた。
「戻っちまったらって思うと……」
阿部は、ゆっくり立ち上がり、ベッドのそばに来る。
そして、そっと翔太の手を包んだ。
「大丈夫」
低く、落ち着いた声。
「戻っても、また一緒に探そう」
翔太は驚いたように目を見開く。
「……離れないってこと?」
阿部はうなずく。
「うん。離れない」
その瞬間、翔太の視界に、はっきりとした色が灯った。
阿部の輪郭が、柔らかな光をまとって見える。
「……ずるい」
翔太は小さく笑った。
「そんなこと言われたら、信じるしかないだろ」
阿部も、少し照れたように笑う。
「じゃあ、信じて」
二人の手は、自然に重なったまま。
離れない。
逃げない。
ここが、今の翔太の**ぬくもりの場所**だった。
🌙 × 💙
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