【このお話について】
完全オリジナル。
(似ているものがあるかもしれませんが)
『お話→解説』みたいな感じでかいてみようと思ってます。
結構長いですが、最後まで読んでくれると嬉しいです。
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【見ている】
「眠…」
俺の名前はコウタ。ごく普通の会社員。
起きたばかりの俺は洗面所に顔を洗いにいった。
それからだ、俺の身の回りにおかしな事が起きはじめたのは。
「冷たっ…」
今は冬、水がいつもより冷たく感じる。
早くふかふかのタオルで顔を拭こうと思って顔をあげた時__
「うわぁっ!!」
鏡に黒髪の長い女の人がうつった気がしたのだ。
びっくりしすぎて、近くにあった歯ブラシが手にあたって遠くにとんでいってしまった。
その歯ブラシをもとの位置に戻しながら、
朝起きたばかりで寝ぼけていたのだろうと、今は怖がりの自分を励ますようにした。
だが、それからも不思議な事が続いた。
風呂の排水溝に長い黒髪が絡まっていたり、天井裏から音が聞こえたり……
さすがに怖くなった俺は、会社の休みをとって除霊で有名な寺に行った。
「はぁ~~~っ!!…よし、これで大丈夫ですよ」
寺の僧侶さんは、俺の話を聞くとすぐに除霊してくれた。
これで安心して生活できる……そう思って俺は久しぶりに友達を家に招いた。
そのあとはお酒飲んだり映画見たりして、久しぶりに羽を休めた感じがした。
仕事で疲れていたっていたのもあるけど、最近おかしなことが立て続けに起こったからなぁ…
そういえば、友達と一緒に写真撮ったんだった。
うまく撮れてるかな?
そう思ってさっき撮った写真を見てみた。
「おっよく撮れてる!また呼ぼうかな…って、え?」
俺たちがうつっている写真の横には、あの日いつか見た黒髪の女の人がうつっていたのだ。
なんで…除霊してもらったのに!
本気で怖くなった俺は風呂にも入らずベッドに潜り込んだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
その日の夜、俺は突然目が覚めた。
時間は…まだまだ朝になりそうにない。
もう一度寝ようとしたとき、重苦しい感じがした。
なんだろうと体を起こそうとすると、目の前にあの女の人がいた!
「っ!」
俺は悲鳴をあげる間もなく女の人に首を絞められた。
間違いない、俺はあの女の人の顔を見た。
あいつは、俺がフッた『ユリカ』……
あいつ…確か自殺したって…
もしかして、ユリカの霊は俺がフッた事を恨んで殺しに来たんじゃ…!
「絶対…絶対に許さないんだから……!」
ユリカは手に込める力をいっそう強くする。
苦…し‥
そのあと俺は気絶した。
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(あっ、俺生きてる?)
目覚めると、いつもの見慣れた風景がひろがっていた。
お花畑でも、大きな川の目の前にもいないし。
やっぱり夢だったのかな…
そう思いながら、洗面所に向かった。
だが、夢じゃなかった。
鏡には、首に手の平のような痣が残っている俺がうつっている。
夢じゃない…!
俺は急いであの寺に向かった。
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「むぅ、そんな事が…」
僧侶さんは気難しそうに腕を組んだ。
「そうなんです…もう俺、気がおかしくなりそうで……写真もあります!」
俺は僧侶さんに例の写真を見せた。
「……この写真からは、霊特有のものが感じません」
僧侶さんは、しばらく写真とにらめっこしたあと、そう言った。
「でも…」
僧侶さんはそう言ったが、俺は信じきれない。
こんな…今にも誰か殺しそうな目をしているのに?
「大丈夫、霊はいませんし、除霊も成功していますよ」
「そうですか……では、この人は?」
俺はあの写真にうつっている女の人を指差した。
「それは普通の人間ですよ、貴方のお仲間ではなくて?」