テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
びび
1,528
#山中柔太朗
Freesia
6,081
透過
2,689
リクエストありがとうございます…!
どれか1つでも心に残ればなぁ、と思います!
佐野勇斗が38.7℃の高熱で倒れ、吉田仁人がつきっきりで処置室に籠もり、必死の介抱を続けていた、あの日の裏側。
(※詳しくは、21.太陽の沈む場所、をご覧ください)
総合診療科のナースステーションは、過去最大の危機を迎えていた。
「太ちゃんっ。はやちゃん、大丈夫なんかな……。じんちゃんも、つきっきりやし、今日のお医者さんゼロやん! 俺、どないしたらええねん……」
半パニック状態で書類を抱え、目がぐるぐる回っているのは新人薬剤師の曽野舜太だった。
大型犬のようにオドオドと太智の周りをウロウロしている。
「しゅんちゃん、落ち着け! 深呼吸!」
太智は舜太の肩をガシッと掴み、目を見つめさせた。
「大丈夫、ドクターがおらんでも俺らが現場を止めたらあかん。佐野さんも仁ちゃんも戦っとんねん。……ここは俺らで回すで」
「う、うんっ!!」
頼もしい太智の言葉に、舜太の瞳に一瞬で光が戻る。
「……とはいえ、マジでヤバい」
太智は頭の中で瞬時に現状を整理する。
柔太朗も先日の低血糖からの病み上がりで、体調は万全じゃない。
つまり今、このナースステーションの司令塔になれるのは自分しかいないのだ。
「じゅう! お前は病み上がりなんやから無理すんな!出来る範囲でカルテの整理と定期投薬のチェック頼む!」
「はい、了解です。太ちゃんも無理しないでね」
「勿論!しゅんちゃんは他科からの処方箋のダブりチェック!分からん処方あったら全部俺に持ってきて!」
「オッケー任せて!」
的確な指示を飛ばしながら、太智自身は電話対応、他科との調整、患者のバイタルチェックへとワッセワッセと駆け回る。
「はい、総合診療科です! あ、外科の先生? 佐野も吉田も今、緊急処置中で手離せないんですよ〜。指示出しですか?代わりに僕がプロトコル通り受けるんでFAX送っといてください!」
バチンと電話を切るや否や、今度は不安そうに処方箋を見つめる舜太の元へ駆けつける。
「しゅんちゃん、どうした?」
「あ、太智さん! この小児の抗生剤の量、体重換算するとちょっと多くて……でもドクターに確認取れなくて……!」
「どれ……あー、これ前の小児科のカルテ参照して計算し直したな。小児科の師長に俺から一本電話入れとくから、吉田さんに言ってしゅんちゃんは調剤進めてええよ!」
「太智さん……! 神……!」
パニックになりかけた舜太の頭をワシワシと撫で、安心させる太智。
他科からの理不尽な問い合わせも、太智の鋭い看護アセスメントと持ち前の口の上手さでバッサバッサと切り抜け、ナースステーションの混乱を完全にゼロに抑え込んでいく。
「ふぅーーーっ! なんとか午後の外来枠、乗り切ったぞ……!」
夕方、ようやく静まり返ったナースステーションで、太智はドサッと椅子に深く腰掛けた。
「太ちゃん、ホンマにすごすぎ。俺、太ちゃんおらんかったら今頃倒れてた……」
舜太が尊敬の眼差しで温かいお茶を差し出してくる。
「ほんと。医者不在で現場をノーミスで回すとか、太ちゃんじゃなきゃ無理だよ」
「え〜本当に〜??」
「太ちゃん、ちょっとクネクネしすぎかも…」
柔太朗が引きつつも深く頷いた。
その時、休憩室のドアが静かに開いた。
点滴を終え、ようやく少し顔色の戻った勇斗と、疲れ果てた様子の仁人が出てくる。
「……みんな……すまん、俺のせいで……」
申し訳なさそうに頭を下げる勇斗と、目元を押さえる仁人。
そんな二人に向かって、太智はニカッと太陽のような笑顔を向けた。
「なーに言っとんねん! ドクターが倒れた時くらい、俺らに任せとき!……でもな佐野さんも、吉田さんも。無理は禁物やで?」
「反省します…」
大忙しで駆け回り、汗だくになりながらも誇らしげに胸を張る太智の背中。
それを見た勇斗と仁人は、心から救われたように「……サンキュな、太智」と呟くのだった。
コメント
3件
ありがとうございます😊とても素敵な物語です✨️ だいちゃんの「ここは俺らで回すで」がとても素敵かっこよかったです😭 今回もとても素敵です✨️ 次のお話しも楽しみにしています😊体調不良には気おつけてくださいね、
第28話読了! 太智、ここで司令塔として大暴れしてるの熱すぎた🔥「ドクターがおらんでも俺らが現場を止めたらあかん」って、もうリーダーの鑑やんな。 舜太パニクってるとこワシワシ撫でて落ち着かせるのも、他科からの問い合わせバッサバサ切るのも、プロの貫録って感じで。 最後にニカッと笑顔で「俺らに任せとき!」は胸熱ポイント!