第6話←michiruさん
阿部のことが大好きで、片想いした何年間もの間燃え続けた炎、そして目黒との関係を知って一度消したはずのその炎が、再び目黒の思いがけない不在によって燻り出して、焦って、俺は失敗した。
こんな身勝手な気持ちなんか伝えなければ、阿部と友達以上恋人未満でいられたのに、その可能性を自らの愚行で潰してしまった。
阿部に嫌われた
その事実が、俺の胸に重くのしかかる。
目黒が戻るまでの間、翔太が片時も阿部のそばを離れない。翔太がいない時は翔太に言いつけられたのか、ラウールがそばについている。
俺は、阿部に謝ることすらさせてもらえないのか。
目黒の言葉が胸に刺さる。
『阿部ちゃんは岩本くんを信頼してたよ』
してた、か。
翔太やラウールといる時の阿部は遠目から見ても穏やかで、相変わらず少しやつれてはいたけれど、やはり綺麗で俺が守りたい阿部だった。見つめていると、失ったものの大きさにうっかり涙が出そうになる。
💙「おい!照!!」
ぼーっとしてたら、目の前に翔太の顔があった。
💛「…もう反省してるって」
💙「そんな話したいんじゃないよ」
翔太は手をひらひらさせて、言った。
💙「もう明日めめも帰って来るし、俺たちで前祝いしようぜ」
💛「なんで翔太と?てか、何の前祝いだよ」
💙「いいから、サウナ行こ。そして、焼肉行こ」
半ば強引に連れ出され、俺たちは夜の街へと繰り出した。
サウナで汗を流し、身も心もスッキリして、翔太と焼肉を食べた。ビールも飲んだ。
思ったより楽しかったし、スッキリした。翔太は終始明るく、笑っていた。つられて俺も久しぶりに笑った。阿部の話には一度もならなかった。
あの事件以来、なんとなくメンバーに距離を置かれていたので、翔太と話して久しぶりに救われた気がした。
帰り道。
タクシーを拾おうと通りに向かったら、翔太に袖を引っ張られた。
💛「?」
💙「ちょっと」
翔太が顎をしゃくって、暗い路地裏を指す。
左右に人がいないことを確かめた翔太が、いきなり俺にキスしてきた。
小鳥の挨拶のような、軽いキスだった。避ける隙もなかった。
💛「翔太?」
💙「ははは。バーカ。冗談だよ」
立ち去る翔太の目に一瞬光るものが見えた気がした。翔太はそのまま走って、明るい通りの雑踏の中に消えた。
翔太のキスは不思議と不快ではなかった。
そして、翔太があれほど必死で俺から阿部を守っていた理由について考えてしまった。
俺のこの考えは自惚れてるだろうか?
失恋で冷え切った心が、ほんの少し灯された気がした。
明日。目黒が帰って来る。
喜ぶに違いない長い恋煩いの相手のことを考えると、嬉しくもあり、悲しくもあった。
そして、俺にできることはもう何も残されていなかった。
→第8話
michiruさん
コメント
9件
しょっぴーはそっちだったんだね‼️しょっぴーはあべべへの想いがあるのかなーと思っていたけど、なるほど、だからひーくんの気持ちを知っていたんだ……みんなそれぞれ辛いんだね 早く帰ってきて(-🙏-)
えぇ〜😍 この展開は✨✨✨ 続きが楽しみですぅ💛💙💛💙