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「馬鹿だなぁ…」
苦笑しながらそう言った。
静まり返った場が、再びあの空気に戻る。
「⋯ちょ!なんで、笑ってんのよ⋯。これでも真剣なのよ?」
と、焦っていてどこか困ったかのような顔だ。
そんな彼女にどこか面白く感じた。
「いや別に。ただ、あの天野がそんなこと思ってたなんて⋯ってな。 」
「⋯⋯⋯これは私でも、悪いと思ってるのよ」
3拍開けて、続けた。
「だから⋯ごめんなさい」
天野は昔からプライドが高く、自分に非があっても謝らない。
自分の弱みを頑なに認めない⋯そんな奴だった。
そんな天野が今こうして何ヶ月ぶりに顔を見せに来てくれて、頭を下げている。
ちゃんと応えてやらないと酷⋯か。
「別に気にしてないし、天野は悪くない 」
「⋯で、でも中学の時のせいで噂が広まって」
「⋯⋯四季がいつも1人でいる⋯」
「いつも1人でいるってなぁ、それは中学の時と変わらないだろ?」
「⋯それはたしかに、そう⋯」
これは自分で言ってて悲しくなるな。
「たしかに入学時は影響があった。
でも最近は、いちいちちょっかいを出してくる輩もそうそう居ない 」
「最近は⋯って!前まで噂のせいでなにかあったってこと?」
「噂⋯噂はあまり関係がないから兎にも角にも気にしないでくれ 」
「天野には関係の無い話だ、それじゃ。俺は食べ終わったのでおいとまさせて頂く」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ⋯!!」
後ろからなにか聞こえたが聞こえてないフリをしよう。
質問には答えたし、嘘も付いていない。
もう充分だろう。
にしてもあいつ、知ってたんだな。
そろそろいい頃合いだ。
教室に戻ろう。
――案の定⋯か。
「ねえねえ凛ちゃん?」
中庭から帰ると4限目の時のアイツ、遠江穂波とその囲いが澤井凛の机に群がっていた。
「やっぱりあれ、サボりだよね?!」
「ちょっと足蹴っただけで走れなくなるとか有り得ないんですけど〜!!」
どうやら2限目での体育の時間の話をしているようだ。
後ろから見ている為ところどころ聞こえづらく、表情も見えない。
ドアから徐々に人が集まっていき、やがて5限目を迎える頃だ。
「じゃ、夜12時にまた会おうね、凛ちゃん♪」
「少しでも遅れたり、来なかったりしたら…」
「どうなるかわかってるよね?」
今夜の12時か。