テラーノベル
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雪月❄️
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ディナータイムが終わり、ホテルの最高級レストランの厨房には、心地よい疲労感と静寂が戻っていた。
渡辺「はぁ、今日も疲れた……」
若き天才シェフとして厨房を仕切る渡辺翔太は、カチッとした白いコックコートの袖をまくり、調理台に寄りかかって一息ついていた。鋭い眼を少し緩め、額の汗を拭うその姿は、凛としていながらもどこか無防備だ。
そこへ、バックヤードの扉を開けて、真っ白なリネンや新しいアメニティのタオルの束を抱えた男が静かに入ってきた。ハウスキーピング担当の宮舘涼太だ。客室やシアターを黙々と、そして完璧に美しく掃除し上げることで有名なスタッフ。いつものハウスキーピング用のジャージ姿だが、その一挙手一投足には職人らしい丁寧な所作が宿っている。
宮舘「翔太、今日もいい匂いがするね。美味しい料理の香りと、君自身の甘い匂いが混ざり合っている」
渡辺「うるさい、涼太。仕事しろよ」
宮舘からの真っ直ぐな言葉に、渡辺はふいっと顔を背けてツンとした態度を取る。幼稚園からの幼馴染。家の中でも仕事場でも、宮舘の前ではどうしても素直になれないのが渡辺の常だった。だが、宮舘はそんな渡辺の態度をすべて分かっているかのように優しく微笑んだ。そして、渡辺の横をすれ違う一瞬、コックコートのポケットの中に、冷たい金属の塊をわざと音もなく滑り込ませて、そのまま何事もなかったかのように去っていった。ポケットに手を突っ込んだ渡辺は、それが翌朝からVIP向けに貸し切られる予定の、最上階ロイヤルスイートルームのマスターキーであることに気づき、トクンと心臓を跳ねさせた。
渡辺「……まじで、あいつ何考えてんだよ」
廊下を早足で歩きながら赤くなっている渡辺のすぐ後ろ。アメニティの特製バスソルトが詰まった段ボールを抱えて歩いていたポーターのラウールが、静かにその目を爛々と輝かせた。
ラウール(……きた!! 清掃員が天才シェフのポケットにマスターキーを忍ばせる深夜の密会合図……! 幼馴染という名の特級呪物BL、最高すぎる。僕、ちょうど最上階の客室にこのアメニティを届けるところだから、絶対に同じフロアから離れない……!)
ポーターのラウールは、脳内の腐男子メーターを限界まで振り切ると、足音を完全に消して、渡辺の数歩後ろから最上階へと向かうエレベーターに滑り込んだ。深夜四時。静まり返ったロイヤルスイートルームのドアを、渡辺は預かったマスターキーを使って静かに開けた。部屋の中は、すでに完璧に清掃が終えられており、月明かりに照らされたキングサイズのベッドの横で、宮舘が新しいアメニティのバスソルトやソープを棚に並べながら、静かに待っていた。カチャリ、と渡辺が内側からドアを閉めて鍵をロックする。
渡辺「なんの用だよ、涼太。わざわざ鍵まで残してさ」
ぶっきらぼうに言う渡辺に、宮舘はゆっくりと振り返り、一歩、また一歩と距離を詰めてきた。いつもの穏やかな幼馴染の空気感はそこにはない。大天狗(※妖怪ではありません、ただの強引なハウスキーピングです)のような、男らしい色気と剥き出しの独占欲がその瞳に宿っていた。宮舘は渡辺の目の前に立つと、そっと手を伸ばし、白いコックコートの襟元に優しく触れた。
宮舘「今日もお疲れ様、翔太。一生懸命に厨房で戦う君の姿、本当に素敵だったよ。……だから、頑張ったご褒美をあげなきゃね」
宮舘の大きな手によって、コックコートの白いボタンが、一つ、また一つとゆっくり外されていく。
渡辺「ちょ、涼太……っ、待てって……!」
宮舘「待てないよ。今日、他のスタッフと親しげに味見し合っていただろう。僕は掃除をしながら、ずっと翔太を他の誰にも触らせたくないと思っていたんだ」
顔を真っ赤に染めて動揺する渡辺の耳元に、宮舘は深く、深く顔を寄せ、低く甘い声で囁いた。
宮舘「……It’s showtime.」
それは、ツンツンとした料理人の仮面を完全に剥ぎ取り、幼稚園からの長い時間を超えて、渡辺翔太という一人の男をすべて愛し尽くすための、真夜中の開演の合図だった。宮舘はそのまま、渡辺のコックコートを肩から滑り落とすと、補充したばかりのアメニティからふわりと漂う高級なラベンダーやミントの香りに包まれる中、渡辺をシーツの上へと優しく押し倒した。
渡辺「ん……ぅ、涼太……」
いつもは素直になれない渡辺が、宮舘の男らしい腕の中で完全に翻弄され、その服の袖をぎゅっと掴んで熱い吐息を漏らす。
ラウール(……はぁぁぁ、尊すぎて最上階から飛び降りたい! 幼馴染のコックコート肌蹴(はだけ)させからのスイートルーム監禁ハグ、ポーターの特権(リネン用のワゴン車の陰)から最前列で拝ませていただきました。この極上のシーツの上のショータイム、今夜の日記に永久保存……!)
部屋の入り口にあるクローゼットの死角に身を潜め、完全にポーターの気配を消してそのすべてを網膜に焼き付けていたラウールが、音もなく涙を流しながら大興奮していることなど、二人は知る由もなかった。きらびやかなホテルの静寂の裏側で、誰もいない静かな特等室の中、2人だけの濃密なショータイムは、朝の光が差し込むまでどこまでも甘く熱く、続いていくのだった。
遅くなってしまいごめんなさい🙇♀️
コメント
1件
はる。だわ。今回もめっちゃ良かった…! 渡辺がツンデレすぎて最高にかわいいし、宮舘の「他のスタッフと味見し合ってただろ」って嫉妬理由が料理人でちゃんと設定生きててニヤケたわ。ラウールのポーター特権からの腐男子全開実況プレイもツボった。It's showtime. の決め台詞、痺れるね。遅れなんて気にすんな! 待った甲斐あった🔥