🐼side🐼…「」🎤…『』
本当に欲しいものほど手に入れるのは難しい___…誰かがそう言っていた
……そして俺は今、その言葉の意味を身をもって実感している。
深く、碧く、美しい。彼の真っ直ぐなその目を見た瞬間に、_これを手に入れたいと思った。
…思った、…のだが。
「どうしたもんかねぇ…」
思わず声に出てしまう。
深夜2時。昼を主な活動時間とする いわゆる”いい子ちゃん” な聖職者なら普通は寝ている時間だ。薄暗く静まり返った教会には明るい月明かりが射し込んでいる。
…きっと夜な夜なこの教会に一人で入り込んでいるのがバレれば、あの口うるさい大神官様は黙っていないだろう。__自分だって最近洗礼受けに来てる奴に絆されかけてるくせに…
まあそれはさておき、これは俺が自分の本性で過ごすことの出来る貴重な時間なのだ。そんなことでやっと見つけたこの休息の場所を手放す訳にはいかない。
それにここは、彼と…_”きんとき”と会える唯一の場所なのだ。
彼を手に入れるには、まずは俺のことを好きになってもらわないといけないのだが…。 それはなかなか難しい。
…何故なら彼は、”吸血鬼” だから。
吸血鬼と聖職者は関わってはいけない、なんていうくだらない言い伝えが伝え続けられて早数百年。
今でもそれは俺たちの世界に深く根付き、吸血鬼と聖職者はお互いに忌み嫌う存在である。
そんな世界に生きる彼が、人間を、…ましてや聖職者の俺のことを簡単に好きだと言ってくれるはずもない。
そもそも、この世界では吸血鬼と人間の間に恋愛感情が生まれること自体が珍しいのだ。吸血鬼といえば血を好み、人間を襲い、殺すことを快楽とするのが普通である。
…それなのにあの子からは血の匂いが全くしない。
それになによりも…____
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