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注意!
※今後のストーリーでは、「殺し屋ゾム」と「ゾム」が出てきます。違いは仕事モードか、そうでないかです。
気をつけてご覧下さい。
…翌日…
~G国の屋敷内~
俺はあの後、屋敷の地下に連れて行かれ、 そこにある1室が俺の部屋だと案内された。
そして、今日から仕事が始まる。
ーゾムの部屋ー
バーーーン!!(ドアが開く)
ユタイズ「おはよ~!!」
ユタイズ「今日はまず、国の周りの盗賊を片付けて貰うよ!」
ユタイズ「街に来る商人が襲われて、困ってるんだって!」
殺し屋ゾム「分かった。」
ユタイズ「おかえり~!」
ユタイズ「じゃあ次は◽️▪️国の……」
殺し屋ゾム「了解。」
…22時……
ユタイズ「今日はまだ夜の仕事はしなくて良いから、早く寝てね!」
ユタイズ「今日はまだ昨日の今日で緩さ抜けきってないだろうし、加減してあげてるけど」
ユタイズ「明日も同じ量だったら、分かってるよね?」
ユタイズは、俺に近づき、圧をかけてくる。
殺し屋ゾム「……ああ。」
俺が返事をするとユタイズはドアの方へと歩いていった。
ユタイズ「じゃ、おやすみ~!」
ユタイズ「愛してるよ♡」
バタン……(ドアを閉める)
殺し屋ゾム「………。」
ゾム「…はぁ~、疲れた」
ゾム「チッ…何が愛してるや、気色悪い」
ゾム「吐き気がするわ」
ゾム(勝手に部屋入ってくんなよ!)
ゾム「チッ…」
ゾム(脅されへんかったらあんな奴の元に戻らなくてよかったのにな……)
ゾム(そういえば、あの少女今どこにおるんかな)
ゾム「アイツの事やから素直に帰さんと思うけど…」
ゾム(……クワイ教会か。)
ゾム(懐かしいな……)
俺は昔、クワイ教会におった事がある。
あの頃の俺はまだ幼くて、まだ文字の読み書きを覚えたばっかの頃だった。
ゾム(先生は親のいない俺を引き取って育ててくれたんや)
俺の両親は5歳の頃、家で死体になって転がっていた。
理由は今でも分からんけど、俺の一家は貴族やったし、いつかどこかで恨みをかって殺されても仕方ないと思っとった。
ゾム(両親が俺と会話するのは必要最低限やったから居ないことが当たり前で、悲しくも無かった。)
でも、算術もできへん子供1人で生きていくなんて厳しくて死に惑うばかりだった。
そんな時先生と出会った。
ゾム(先生がおったから俺は今も生きていけてるんや)
クワイ教会は、1人になっても生き残れるようにあらゆる武術を教えていた。
元々、戦うことが好きだった俺は、すぐに誰にも負けない力をつけることができた。
すると教会の先生も、友達も皆、それを見て「 凄いね、カッコいいよ!」ってよく褒めてくれた。
俺はそんなクワイ教会の皆が大好きやった
ある日俺が街でお使いから帰って来ると
教会は盗賊に燃やされて、ボロボロになっていた。
教会には地下があったから皆無事だった。
けど、教会の資金は全部失くなってしまって
先生は、「また復興させるために頑張ってくる。」と言って姿を消してしまった。
行き場を失くした俺らは盗みでしか生きていけなくなって
毎日隠れて過ごす日々になった。
そんな生活に嫌気がさしたほとんどの子は荒れ狂い、他者を傷つけるようになった。
逆に俺はその様子を見て落ち着き、自分が皆を守らなければという使命感を持つようになった。
俺は、喧嘩しているところには必ず仲裁に入って成敗したり、皆から相談にのったりしていって
皆がクワイ教会におった時のように戻って欲しいと願うようになった。
そうしていくうちに皆はクワイ教会の頃のように俺へ接してくれるようになった。
争いは完全には消えなかったが、友達同士での争いはほぼ無かった。
そんなある時、俺が街で盗みを働く場所を探していると
複数人の仲間が街の外れの、拠点とは別の方向へ向かう姿を見かけた。
俺は仲間がどこへ向かうのか、何をしに行くのか気になり、 好奇心でその後を追いかけた
それが間違いだった。
仲間を追った先には広い洞窟があった。
そこには、俺らが使っている拠点よりも沢山物があって、充実した暮らしができる環境があった。
仲間はそこを第2の拠点として使っているようで、街で持ってきたモノを集めて保管している様子だった。
俺はそのことを知らなかった。
その光景を見てショックを受け、それと同時に怒りも湧いてきた。
怒りのまま洞窟におった仲間へ直接話を聞きに行った。
すると、仲間は決まり悪そうにしながら苦笑いでこう答えた。
「俺ら正直、ゾムの事嫌いなんだよね」
「だから、ゾムから離れたくて」
「ゾムって喧嘩強すぎて怖いし…」
「ごめんね」
その言葉にショックを受け、訳もわからずただその場から逃げてしまった。
その後、戻ってきて隠れながら様子を見ていると
俺以外の他の仲間も次々洞窟に入って行って、拠点にいる時よりも楽しそうな声が聞こえてきた。
「そういえばさ、今日ゾムにここの拠点使ってることバレたんだよね~」
「えっ、大丈夫だった?」
「大丈夫、問題ないよ。」
「アイツ、俺らに甘いもんw」
「確かにw」
「その後、俺ら友達だろ?とか聞かれてさ~」
「ないないw」
「アイツと仲良くするのは力を借りたいからで、それがなかったら関わらなかったって!」
「それな!w」
「アイツがいると街のチンピラにも絡まれにくいんだよな~」
「アイツは良い盾になるよな!w」
「普通に、アイツ強すぎて引くしw」
「あんな奴と友達なんて無理でしょw」
「wwwwww」
洞窟からは俺を罵倒する声しかなくて、仲間やと思ってた奴らは俺を良いデコイとしか思っていなかった。
俺は裏切られた事で、心が荒んでしまった。
ゾム(でも、俺が人を信じれんくなったのはそのせいだけじゃない)
今では子供だったし仕方ないと思えるようになって、アイツらのことを恨んだりはしてない。
ゾム(あの時にユタイズに会ってしまったから。)
ユタイズに初めて会ったのはその洞窟直後で
仲間と思っていた人達の本心に傷つき俺が帰ろうとしたとき、背後からユタイズが俺に声をかけてきた。
「あのどろぼうの仲間ですか?」
そう聞かれて俺は「いいえ」と答えた。
俺の返事を聞くとユタイズは洞窟の中へ消えていった。
すると、洞窟の奥から聞こえた声がピタリと止み、静寂が続くようになった。
そこで俺は悟った。 アイツらは殺されたんやと
あの質問に「はい」と答えていれば俺はここに息をして立っていないだろうと思うとゾッとして吐き気がしてしまいそうだった
俺が洞窟の前で立ち往生しているとユタイズが出てきて俺にこう言った。
「君、俺の力になってくれない?」
突然の事で上手く返事できなかったが、なぜか俺はユタイズの仲間になる手筈が進み、ユタイズの手下になった。
それから俺はユタイズの手下として働いていくと
数ヵ月で右腕と呼ばれる地位までのしあがった。
周りからは批判され、襲ってくる奴もいたが、それも全部返り討ちにした。
しばらくして、ある資料に目を通したとき、クワイ教会の名前が書かれていた。
「クワイ教会復興!?」
そして、その前のページに「クワイ教会神父の暗殺計画」と書かれていた。
そこで俺は初めてクワイ教会を襲った盗賊はコイツらで、先生を殺そうとしていることを知った。
その事実を知り、俺はその日のうちにユタイズ達を倒し、牢屋送りにしてやった。
牢屋送りにされたら出所しても奴隷になるしか道はない。
そう思ってとった行動だった。
ゾム(でも、買われた先がこんな貴族やったなんて……)
ユタイズはまだクワイ教会に手を出す力を持っている。
ゾム(クワイ教会は俺の唯一の弱点や)
ゾム(弱点は捨てろというけど、そんな気はない。)
ゾム(先生がいたから俺がいるんや。守る為なら俺は嫌いな奴の元でも働いてやる!)
俺は再度心に誓い、眠りについた。