テラーノベル
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ロイド・フォージャーは、
違和感を数値化する男だ。
表情。
声の揺れ。
動線。
沈黙の長さ。
それらを無意識に分析し、
“異常”を切り分ける。
そして今——
そのレーダーに引っかかる 存在が1人いた。
ーーリナ。
正確には、
WISEのスパイ〈IRIS〉。
最近、接触頻度が増えている。
それ自体は不自然ではない。
後輩スパイが周辺警戒を強化するのは
よくあることだ。
問題は——
(…本部の動きと、
タイミングが一致しすぎている)
数日前から、
暗号通信の頻度が増えたり、
情報要求の粒度が変わったりした。
——まるで、
“家族単位”で再評価しているように。
「……」
ロイドは新聞を読む
ふりをしながら視線を動かす。
浴室では、
ヨルがシャワーの準備をしていた。
「ロイドさ〜ん!すみません、今日は
少し遅くなりそうです💦」
「いえ、大丈夫ですよ。」
いつも通りの会話。
いつも通りの距離。
だが——
(最近、ヨルさんに関する問い合わせが、
増えている)
WISEは、無駄な疑いを嫌う。
それでも動いたということはーー
(……誰か、不信に思ったか。)
その“誰か”が、
〈IRIS〉である可能性は高い。
ロイドは、視線を落とす。
テーブルの下で、
アーニャが足をぶらぶらさせている。
「ちち〜、きょうは
りなのおねーさん、くる?」
「今日は来ないと思うが」
「…うい。」
少し残念そうな声。
——だが、ロイドは聞き逃さない。
アーニャが「理由」を聞かなかったことを。
(……妙だな)
その夜。
アーニャが眠った後、
ロイドは自室で作業をし始めた。
通信端末を起動し、
暗号回線にアクセスする。
「〈黄昏〉だ。確認したい。」
『どうした』
「最近、本部が何かと“家族”に関する 情報を
欲しがっている。……何かあるのか。」
『………』
『任務遂行に支障はない。
そのまま続けろ。』
——質問への答えになっていない。
(……確定だな。)
ロイドは通信を切り、
椅子にもたれた。
〈IRIS〉は優秀だ。
感情で動くタイプではない。
……だが。
(もし、彼女が“知りすぎた”のなら。)
WISEは切る。
男だろうが女だろうが、容赦なく。
「……」
ロイドは、ゆっくりと立ち上がった。
翌日。
彼は偶然を装い、
〈IRIS〉に接触する予定を立てた。
“リナ”としてではなく、
スパイ・〈IRIS〉として。
(とにかく、確認が必要だ。)
彼女は 何に気づき、
どこまで報告したのか。
そして——
(フォージャー家を、どうするつもりだ。)
ロイド・フォージャーは、
黄昏として、冷静に判断する。
たとえ相手が、
信頼している後輩であっても。
——任務のためなら。
フォージャー家は今日も平和だ。
だがその水面下で、
確実に、何かが動き始めていた。
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こっちも監視しとくわ♡