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「今日は休みだと思います。仮に彼が家に居なくてもまだカギを持っているので入れます。通帳の場所とかもわかりますし……」

問題ないですと桜が答えた。


「じゃあ、早速行こうか?善は急げよ!」

姉ちゃんがソファーから立ち上がった。


「俺も行くよ?女の子だけじゃ危ないから。荷物もあるだろうし」

最初から行くつもりだった。

また桜が殴られても嫌だし、姉がケガするのも嫌だ。

まぁ、姉ちゃんならやり返すと思うけど。


「大丈夫です。一人で行けます。これ以上、迷惑をかけるわけにはいきません。遥さんも、蒼さんもありがとうございます」

そう笑って答える彼女だったが、小刻みに手が震えているのがわかった。

本当は恐いんだろうな。


「桜、俺が《《椿》》の時に少しは頼れって言ったよね?覚えてる?」

彼女は一瞬目を丸くしたが「覚えてます」と返事をしてくれた。


俺は桜の手に触れ

「こんなに震えてる女の子を一人じゃ行かせられないから。桜が嫌だって言っても一緒に行く」


どうしてこんな行動ができたのかわからない。

自分から女の子の手に触れるようなことは、今までしなかった。

仕事柄、誰かを慰めるってことはたくさん経験をしてきたけど、例え涙を流されようが何も感じなかった。

仕事だと思い、割り切ってきた。


だが今は違う。自分の感情で動いている。


「あら。珍しく優しいじゃない、蒼」

姉ちゃんもいつもと違う俺を見て、驚いているようだった。

きっとそれでも桜は遠慮すると思うから――。


「帰ってきたら、お礼をしてもらう。それでいいだろ?」

そんなモノは本当は要らない。

こうでも言わないと納得しないと思った。


「はい、わかりました。ありがとうございます。よろしくお願いします」

彼女は俺の手を握り返してくれた。


「じゃあ、ちょっと準備してきますね?」

自分の荷物を取りに姉ちゃんの使っていた部屋へ桜は戻って行った。


桜が部屋に入ったのを確認をし

「蒼、あんた一日で大分桜と仲良くなったみたいだけど……。変なこと、してないでしょうね?」

姉から耳打ちをされた。


「そんなことするわけないだろ」

一緒に寝たとか言ったら大騒ぎしそうだから、今は黙っておこう。


「ま、あんたがいた方が何かと便利だし、付き合ってくれてありがとうね」

姉がボソッと伝えてきた。


素直にそう言えば、可愛いと思えるのにな。

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