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#工場長
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「うへぇ~!」
ホテルの前でハイヤーから降りた私は、近くに停まっている車を見てそんな声を上げてしまった。
馴染みがある訳じゃないけれど、涼さんの車を見てエンブレムを覚えてしまった。
高級車ロールスロイスがホテルの前に停まっていて、どうやら空港まで送迎するための車らしい。
ホテル名は某〝都会のハンター〟を呼び出すための合い言葉みたいな名前で、自動ドアにもでかでかとロゴが描かれてある。
ウィーンと開いた中に入ると、今度はロビー(?)に真っ赤なフェラーリが展示されてあった。
どうやらホテル名も車に関係しているようで、ずいぶんな車好きのオーナーのようだ。
温泉と聞いていたので、和風な建物を想像していたけれど、コンクリート打ちっぱなしの内装はかなりスタイリッシュだ。
「大地が選んだっていうから、どんなお宿かと思ったら、現代的ねぇ~」
ちえりさんは周囲を見て言う。
「お兄ちゃん、あれでいて車好きだからねぇ~」
小牧さんが言い、屋内はクーラーが効いているけれど、パタパタと手で顔を扇ぐ。
その後、部屋に案内されたけれど、廊下もかなりシンプルで、コンクリート打ちっぱなしのシンプルな廊下に、組み木細工の引き戸がある。
こうやって見ると大きな平屋建ての建物に部屋があるように見えるけれど、実際はそれぞれの棟は独立しているらしい。
さっきのフェラーリの向かいにフロントのカウンターがあったけれど、私たちは構わず部屋に案内された。
皆さんと一旦お別れして部屋に入ると、いきなりダイニングテーブルがあった。
(珍しい作りだな)
そう思っていると、そこでウェルカムドリンクが出され、チェックインの手続きをとるようになっていた。
横手はお手洗いと洗面、内風呂になっていて、なんとアメニティはポーラだった。
チェックインが終わっていざお部屋に入り、私はテンションをぶち上げて声を上げてしまった。
「すっごーい!」
広々とした部屋の向こうに、青い海が見える。
室内には一段上がった所が畳敷きになっていて、ゆったりサイズのお布団が二つ敷いてある。
その前には半円状のソファとテーブルが向き合い、壁には液晶テレビがある。
角度的にベッドに寝ながらテレビを見られるのがいい。
ベッドの頭側の壁には、大きな正方形の絵画が掛かっているけれど、モダンアートというか、ブラウンの石畳を表したような物や、アイボリーの小さな正方形の大理石を敷き詰めたような不思議なデザインだ。
けれどコンクリートが剥き出しになっている部屋なので、そういう絵がマッチしている。
部屋は八十四平米、言ってしまえば四十六畳分あり、本当に広い。
ミコハウスもびっくりだ。
出入り口から見て、左手のデッキは露天風呂になっていて、なんとリモコンでガラス戸がウィーンと下がり、綺麗な海を見ながら温泉に浸かれる。
右手側のデッキにはテーブルセットがあって、尊さんいわく「車好きのオーナーなら、このデザインはなんだかランボルギーニっぽいな」との事だ。
確かにちょっと、鋭角なデザインだ。
そのさらに右手に、数段下りる階段があり、広々としたウッドデッキにはモダンなデザインの、赤い外用ソファセットがある。
加えてウッドデッキは断崖絶壁の上にあり、そのギリギリに赤いハンギングチェアがあるので、テンションぶち上がりである。
「すごーい! 景色独り占め! 海独り占め! 贅沢ー!」
ピョンピョン跳ねて喜んだ私は、尊さんにスマホを渡してハンギングチェアに座り、「撮って~!」とねだる。
「はいよ。三、二、一……」
興奮のあまり、私はそのあともデッキの手すりにもたれ掛かったり、ソファに座ったりなど、ポーズを変えて写真を撮ってもらった。
そのあと、勿論尊さんとツーショットで記念撮影する。
中に入って一旦落ち着いた私は、ウェルカムドリンクをチュルーと飲む。
「てっきり大浴場で女性陣で裸の付き合い……とか思ってましたけど、ここは徹底して一組のお客さんのプライベートを守ってくれる感じですね」
「……いや、大地の場合はそれよりも車好きオーナーのほうで選んだな……」
尊さんがボソッと言うので、私はクスクス笑う。
「ま、今日は移動で疲れたし、ゆっくりさせてもらいましょうか。個室の露天風呂に入りながら、海を見られるなんて最高!」
「確かに、個室露天風呂と海の組み合わせはいいな。この辺りの宿、インプットしとくよ」
「ピピピ」
私は尊さんのこめかみに指先を当て、メモリーに記憶させる。
コメント
1件
第842話、読了しました🖤 車好きオーナーのこだわりが詰まったホテル、めっちゃ素敵でしたね…! ロールスロイスに♡♡♡ーリの展示、そして打ちっぱなしコンクリ×高級アメニティのギャップがたまらないです。なにより84平米の個室露天風呂から海が見えるなんて、贅沢すぎてクラクラきます🥀 主人公の「すっごーい!」連発に、私までテンション上がりました。尊さんとツーショ撮ってるシーン、尊すぎてにやけました……🥹💘 次も静かに読みに行きますね🌙