テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
夜のコンビニ前。
袋を持ったまま、莉犬くんと並んで歩いてた。
【莉犬】「寒くね?」
【ころん】「ガチ、それな?」
自販機の前に、人影が見えた。
見覚えのある背中。僕は思わず声をかけた。
【ころん】「……あっきぃ?」
振り向いた顔が、思ったよりずっと静かだった。
【あっきぃ】「……ころんくん?」
【莉犬】「え、あれ、あっきぃじゃん!なにしてんの? こんな時間に」
私服で、リュック背負ってて。
時間も時間で。
ころん(……あ、これ、普通じゃない。
でも、聞いちゃダメなやつだ)
【ころん】「なにしてんの?」
【あっきぃ】「……ちょっと、外出たくて」
それだけ。
理由は言わないし、目も合わない。
【莉犬】「……」
莉犬くんも気づいたみたいで、何も突っ込まなかった。
【ころん】「てか、寒くね?」
【あっきぃ】「……ちょっと」
声が小さい。
家で大きい声、出せてないやつの声。
ころん(……今日、帰る場所ないな)
歩きながら、わざとどうでもいい話を振る。
【ころん】「今日の数学さ、プリント多すぎだよな」
【あっきぃ】「……うん」
【莉犬】「あっきぃ今日、放課後すぐ帰ってたから」
【あっきぃ】「……」
返事は短いけど、ちゃんと聞いてる。
僕の家が近づいたとき、自然に口が出た。
【ころん】「僕んち、すぐそこなんだけど」
【莉犬】「あ、ほんとだ」
【ころん】「寄ってく?」
【あっきぃ】「……いいの?」
その言い方が、胸にきた。
【莉犬】「いいに決まってるでしょ!」
【ころん】「むしろ来てほしいわ」
迷いが消えるまで、待つ。
【あっきぃ】「……じゃあ、少しだけ」
ころん(少し、でいい。今日はそれで)
家に着く。
玄関入った瞬間、あっきぃの肩が落ちた。
【あっきぃ】「……あったかい」
ころん(あー…)
【ころん】「はいはい、上がって」
【莉犬】「スリッパそこね〜」
【ころん】「基本親いないし、今兄ちゃん達いないからねー」
【莉犬】「騒いでも怒られないからw」
あっきぃと莉犬くんはソファに座って、
僕はキッチンからココアを出す。
【ころん】「ココアでいい?」
【あっきぃ】「……ありがとう」
湯気を見て、目が揺れた。
【あっきぃ】「……あ」
泣きそうなの、必死で止めてる顔。
【莉犬】「無理に喋らなくていいよ」
【ころん】「今日はここにいればいい」
それだけ言う。
ころん(理由なんて、今はいらない)
ソファで、三人並ぶ。
【あっきぃ】「……俺さ、っ」
【ころん】「うん」
【莉犬】「ゆっくりでいい」
【あっきぃ】「……今日は、帰らなくていいかな」
迷いと、怖さと、期待が混ざった声。
【ころん】「いいよ」
【莉犬】「全然」
考えるより先に出た。
あっきぃが、息を吐いた。
【あっきぃ】「……ありがとう」
ころん(ああ、これでよかった)
明かりの下で、あっきぃは目を閉じる。
【あっきぃ】「……怒られない場所、久しぶりだな」
【ころん】「そっか」
【莉犬】「今日はここ、居場所ね」
あっきぃが、小さく頷く。
【あっきぃ】「……うん」
ころん(今は”守る”だな)
俺は、スマホを裏返して置いた。