「聞いてくれよ!!兄貴が!!!」
「聞いてくれよ!!弟が!!」
「邪魔すんな兄貴!!」
「そっちこそ邪魔すんな!!」
突然ブルーとレッドがそう叫ぶ。それに、別世界のレッド、ブルーこと、ルブルム、レウムはぱちくり目を瞬きしていた。
「どうしたんだ?また、お前ら喧嘩したのか?」
そうレウムは聞いてくる。レウムはブルーに似ており、ころんとルブルムとは違う青と赤のオッドアイの瞳を転がす。
「「・・・今回は兄貴/弟が悪い」」
「「は???」」
そう、吐きこぼし、睨み合うレッドとブルーに、レウムもルブルムも顔を見合せ、苦笑いする。
「・・・にしても、お前らはいいよな・・・喧嘩とかしなさそうで」
そうブルーは唇を尖らす。現在、ルブルムがレウムを自分の膝の上に乗っけ、頭に顎を置いていた。そんなレウムは嫌がる素振りを見せず、首に手を巻いて抱っこされていた。
そんなブルーの呟きに、2人はまたキョトンとし、笑い、答えた。
「何言ってんだよブルーくん、俺らも喧嘩くらいはするぜ?」
「「は!?そんな仲良いのに!?」」
「仲良くても、喧嘩はするよ?」
「嘘だろ・・・」
思わずレッドはそうこぼした。そんな仲良いのに、喧嘩をするのか。と思ったのは内緒だ。
「・・・喧嘩って何したんだ?」
そうブルーが聞くと、2人はうーんと唸る。2人は顔も見た目も双子には見えないが、その考える素振りは、そっくりで思わず噴きかける。
「あれじゃね?俺らの合体技作ろうとしたら、水蒸気爆発起こって、2人とも怪我したやつ」
「あぁ、ブ・・・レウムが火傷を負って、俺が裂傷負ったやつ」
と、2人は袖をめくる。レウムは右腕が、ルブルムは左腕が。レウムの右腕は赤茶色に変色しており傷跡が少しケロイド化しており、ルブルムの左腕は手首から二の腕まで裂傷が。2人とも腕から手まで広がっており、いちばん酷い手はレウムはやや白色に。ルブルムは恐らく一生治らないほど深い傷跡が大きく。ブルーとレッドは思わず言葉を失った。
「俺ら、元々能力が強くて、だから、2人で合体技作ったらもっと強くなるんじゃって思って試したらこのザマだ」
「あん時、俺も兄貴もすっげぇ後悔したんだよな。兄貴に酷い怪我負わせて、俺もすげぇ後悔した」
「俺も、弟に火傷負わせて、すげぇ後悔した。その後、すこし気まずかったもんな」
「なー」
と、ルブルムとレウムはそう話す。ブルーはやっと言葉をこぼすことが出来た。
「・・・それで、喧嘩したの?」
「気まずくて口聞かなかっただけどな。まぁ、俺らにとっては喧嘩って言うものかもしれないな」
と、ルブルムはレウムの右腕を優しく擦る。レウムもルブルムの左腕に優しく触れた。
「でもやっぱり、すぐ謝った。」
「え?」
「気まずい状況が居心地が悪くてな、2人で同時に謝った時はおかしくてつい笑っちまった。」
「俺らは、生まれた時からずぅと2人だったからな。今更離れるなんてことは考えられないかな。」
と、ルブルムもレウムは互いの手を繋ぎ、指先を相手の指先に組む。こつんと額同士をくっつける。
双子なのに、恋人のように距離感の近い2人に思わずブルーは顔を赤くする。
「・・・それ・・・軽く依存じゃねぇの?」
思わずレッドがそう零すと、ルブルムはふはっと笑う。
「そうだな。傍から見れば、これは依存なのかもしれんな。けど、俺達はこれでいいんだ。2人で笑って、2人で泣いて、2人で生きて、死ぬことが、俺達にとっては幸せなんだ。」
そうルブルムはレウムを優しく抱き寄せる。そんなレウムはルブルムに抱きつき返す。
・・・共依存なのだろうが、どうしてか、それを嫌悪したりとかそんな気分はしない。むしろ、“少し羨ましい”
そんな少しどす黒い感情がジクジク溢れるブルーとレッドに対し、ルブルムは答えた。
「・・・だからさ、レウムそっくりなお前が悲しそうな顔すると、すっげぇこっちも悲しくなっちまう。だからさ、早く仲直りした方がいいぞ?」
「俺も、兄貴そっくりなレッドが悲しそうだと、俺も悲しいからさ、仲良くしようよ?たった2人の双子なんだからさ」
「「・・・・・」」
と、2人はかおをみあわせた。そして
「・・・ごめん、兄貴」
「いや、俺の方こそ」
と、2人は仲直りした。そんなふたりを見守る2人。ふと、レウムはルブルムに聞いた。
「・・・兄貴、ずっと俺の傍にいてくれるのか?」
「ん?嫌か?」
すると、レウムは首を横に振る。
「ううん、凄い嬉しい。」
「生まれたのが同じなら、死ぬのも同じだ」
「うん」
「まぁ、今は死ぬ気はないけどな」
「だね」
それは、傍から見れば歪んだ兄弟愛なのかもしれない。けれど、そんな歪んだ兄弟愛でも、2人からすれば心地よいのだ。
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