秘密
18時半、やっとの思いで家に着く。もう少し早く帰ってこれたが10分程翔太の家の前にいた。呼び鈴を鳴らすか、まだ帰ってきてないかもしれない、翔太の母にこの姿を見せるのは少し恥ずかしい…と自分でどうするのか葛藤していた。
まぁ諦めたけど。
玄関のドアをそっと開けた。気分が沈んでいる時はなぜかそうしてしまう。
足元に視線をやるとそこには知らないスニーカーがあった。
…誰か来てるのか?
その相手を考えず俺はリビングへと足を運ぶ。これが正解でもあり、間違えた選択だったなんてこの時俺はⅠミリも思わなかった。
ガチャ
宮舘「ただい………は?」
そこには俺が会いたくて会いたくて仕方がない翔太の姿があった。俺は嬉しくなりそれと同時に驚きすぎてしまい頭をドアにぶつけた。
宮舘「なんでしょぅたッッ……せんせいるの?」
声のトーンを上げないように、嬉しさがバレてしまう。“翔太”じゃなくて“先生”って呼ばなきゃ。いつもの冷静な俺でいたかったから。
渡辺『ちょっと聞きたいことあって』
俺に?何をだろうか。でも多分ここじゃ話しにくいだろう。俺は翔太を自分の部屋へと招いた。
宮舘「……なんですか?」
渡辺『敬語やめてよ』
宮舘「〜〜ッッ…むりっ…です」
だって今敬語をやめてしまったら顔がにやけてしまう。すぐ甘い声が出る。分かっているから絶対に、そんな事はできない。
渡辺『…』
宮舘「……?(困眉」
翔太は俺を見つめたまま固まっている。俺はそれと同時に表情が崩れた。不安なときや困った時は顔が崩れることは昔から知っている。今もその状態だろう。
でも翔大は俺の顔を見るなり少しの微笑みを見せてくれた。…そこから翔太は話し始めた。
渡辺『入学式おめでと』
『入学式おめでとう』この言葉が、翔太から聞けるなんて思っていなかった。だから嬉しくて嬉しくて、今にでも翔太に抱きつきたかった。でも、そんな微笑みもすぐに消え、真面目な時の翔太の顔へと変わった。
渡辺『でも…なんでこの高校に来たの?ここが不良学校ってことは進路相談でも話があったはずだよ?』
『しかも涼太は成績良かったし、もっと違うところに行けたでしょ…?』
ごもっともだ。翔太がここに来ることはたぶん望まないだろうと思っていた。でも翔太と一緒にいたかったから。
『中学で何かあった?』なんて…いつまでたっても俺が心配なんだな。俺もう高校生だよ?
渡辺『…それに…何?その格好』
低く強張った声。怖くて何も言えなかった。翔太に詰め寄られる。校則違反だってことは分かってる。でもこうでもしないとやっていけるか分かんなかったから。
今は…話したくない。ちゃんとした形でここに来た理由を言いたいから、滑らないように声を出さない。
てか普通に…恥ずかしいから、…
でも翔太の詰めは終わらない。
ドサッ!
宮舘「!?」
痺れを切らした翔太が俺を床に押し倒す。俺は怖くて尚更声が出なくなった。彼の目は、何かを狩るような目をしている。まるで“猛獣”でも狩るかのような目で……
翔太に隠し事が通用した覚え?ないに決まっている。翔太は昔から、絶対に俺の変化や異変に気がつくのだ。
熱があるのに学校に行こうとした日、親にもバレなかったのに翔太には一発で…
迷子になった時、帰り道がわからなくて泣いてたら翔太がすぐに来てくれた…
悔しい思いをしたときや悲しいことがあった時、いち早く気づいてそばにいてくれる…
なんで俺は貴方に隠し事が出来ないの…?
宮舘「しょ、翔太まって…!はな、…すからッ…」
俺は翔太に全て話した。高校に来た理由、何年もあえなくて悲しかったこと、こんな態度だったり格好だったり…包み隠さず全てを。
宮舘「…ごめんな……さいっ…」
渡辺『別に、謝れなんて言ってないよ。俺が心配だっただけ。でも…そっか笑』
『会えなくて寂しかったんだね?』 ポンポンッ…
宮舘「っ!ぅん…さびし”かった“ぁぁ…(涙目」
これまで我慢していた感情がすべて押し寄せていた。だってこんなに優しい言葉掛けられたら…俺の心が溶けてしまいそうだから。
渡辺『じゃあ久し振りにヤりますかっ笑』
ドサッ
宮舘「…へ?」
一度だけ…翔太とやった事がある。でもその時の記憶は曖昧だ。
いつヤッたか、どのくらいヤッたか…なんて覚えていない。でも今でのあの快感は忘れられない。
宮舘「…きもっ…ちぃ……ッ//」
渡辺『ふはっ…久し振りなのにこんなに感じるの?』
宮舘「らって……っ///」
「しょたっもっと……もっとおくちゅいて…//?」
渡辺『…明日どーなっても知らねーから……♡』
ビュルッ…
宮舘「なんれ…ぬいちゃったの……?♡」
渡辺『久し振りなのに中には入れれないよ、お腹痛くなっちゃうから』
宮舘「んっ……つぎは…なかにちょーらい?」
「しょたと…の…こども…欲しぃから…」 ボソッ…
渡辺『涼太?あれ……寝ちゃったか』
この言葉は翔太には届かなかったようだ。
でもよかった。
だって俺は…
翔太にΩであることを伝えていないから…
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