ヒーロー活動中に、彼女を見かけた。大きなリュックを背負い歩いている。
「(こんな遅くまで…。)」
自然と彼女を追っていた。彼女はカフェに入り窓際の席をとった。しばらくして頼んだものを持ち席に座ると、疲れた表情で外を眺めている。
「(やっぱり大変だよな、毎日…。)」
いつも笑顔で接してくれる彼女だから、つい心配してしまう。
「(任務中だぞ。しっかりしろ。)」
言い聞かせ、その場を離れた。
「先生、最近心絵先生と仲良いですよね??」
別の日、就寝時間前に寮を覗いた時に芦戸に聞かれた。動揺が顔に出てないか焦る。
「成績を共有してるだけだ。」
「先生が心絵先生と話してるの偶然みたんですけど、先生も心絵先生すっごく楽しそうでしたよ。」
他の女子達と相づちをうつ。ほんとに女子達はそう言うのに鋭い。
「お前達の作品が個性的で面白いって話してただけだ。」
「オレの作品、心絵先生褒めてなかったっすか??」
「皆それぞれ、上手いって褒めてたぞ。成績表が楽しみだな。」
上鳴まで入ってくると長くなるので、早めに話の流れを切り、毎度の如く早く寝ろと釘を刺して寮を出た。
「相澤先生、おはようございます。」
今朝は偶然にも、職員専用の玄関で一緒になる。
「おはようございます。」
「ヒーロー活動お疲れ様です。」
「ありがとうございます。まぁこっちが本業なので…。」
「教壇に立つ先生も様になってますよ。」
「ご冗談を。」
「あの、相澤先生。よろしければオペラ鑑賞なんてどうですか…??」
と彼女はチケットを見せる。
「すいません。ちょうどこのコンサートの警備担当を任されまして。」
「そうなんですか!?それはすごいことです!!じゃあどこかで会えると良いですね!!」
「はい。また誘ってください。」
「分かりました。ではまた!!」
会釈して普通科の職員室へ向かう彼女。やはり彼女の目元にはクマがあった。
「(昼公演だったな。確か…。)」
その日はさっさと仕事終わらせて、彼女と会う決めた。
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