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恋みくじ
席替えである人と隣になった。
ずっと好きだった人。
でも話かけるのは荷が重くて、
いつもそっと横顔を見つめるだけだった。
昼休み、その子から初めて話しかけてくれた。
初めてその子と話せた日。
ただの日常会話。
先生の話。クラスの話。
そんなただの友達とするような会話でも
心臓の鼓動が早くなり、頬が火照り、
帰り道までずっと熱かった。
でもあるときの放課後。
教室に忘れ物を取りに行った時だった。
その子が電話で話しているのが聞こえた。
「 そう、転校…決まったよ。 」
「 わかんないけど… 」
「 すきだった って伝えるよ。頑張るね 」
『 すきだった 』
いつ好きになったの?誰のことが?どんなとこが?
心には画用紙に黒のインクを垂らしたような
不安が広がった。
次の日、机にはひとつの手紙があった。
手紙はその子の字で書いてあった。
『 隣で嬉しかった。
ずっと好きでした。また会える日まで。 』
すきです。
その一言がなぜ言えなかったのだろう
頬に一筋の涙が流れた。
もうその子はいないのに。
そこにはその子の温もりを感じられた。
恋みくじから作ったストーリーです
雑︎