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贖罪の檻

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贖罪の檻

1 - プロローグ 招かれしもの達

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2025年07月01日

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暗い部屋。

照明の灯りは最小限。カーテンは締め切られ、壁には一枚の白い封筒が貼りつけられていた。


封筒には、丁寧な筆跡でこう記されている。


「あなたのような者こそ、真に裁く力を持つと信じています」選定者より


机の上に置かれたその封筒を、少女は静かに手に取った。


彼女の名は霧島ユナ。

十九歳。法学部に通う大学生。

並外れた推理力と記憶力、論理性により、教授からは「判事の卵」と評されていた。

だが彼女自身は、その称号に誇りを感じたことは一度もない。


正義など、幻想だと思っていた。


「……奇妙な招待状…」


中には、整然とした活字の案内文が一枚。


『模擬裁判を通じて、法と倫理を学び、実践する。

あなたはその適性を認められ、特別研修への参加を許可されました。

日程:10月28日~11月3日

場所:白楓島 法学研修施設』


白楓島。

地図には滅多に載っていない、かつて法務省の研修に使われていた無人島だ。


「……なぜ、あんな場所が?」


だがそれよりも、ユナの好奇心を強く刺激したのは、

同封されていた“名簿”だった。


招待された参加者はユナを含め、九名。

全員が、全国から選ばれた学生たち。

学業成績、論理試験、面接などを経た者のみが招かれる、いわば法学の精鋭。


その中には、彼女の名も、そして見覚えのあるいくつかの名前もあった。


「これは……偶然なの?」


違和感。

まるで選ばれたのではなく、狙われたかのような名簿。


彼女の中で、わずかに眠っていた警戒心が、静かに目を覚ます。


だがそれでも彼女は行くと決めた。

「真実」を知ることに、彼女の知性は抗えなかった。


扉が開く。

法では裁けぬ罪の、その檻へと。




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