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#高校生
第24話 「背番号の重み」
七月。
最後の夏が始まる。
甲子園には繋がらない。
それでも――
球児たちは、いつも通り白球を追っていた。
柳城高校。
部室前には、新しい背番号が並べられていた。
三年生にとって、最後の番号。
静かな空気の中。
福間監督が名前を呼んでいく。
「1番」
エースが前へ出る。
「2番」
「小早川」
「はい!」
啓介は前へ出る。
受け取った背番号を、じっと見つめる。
三年間。
苦しかった。
悔しかった。
でも――
この番号を背負って、最後の夏を戦える。
その重みを感じていた。
「今年の柳城、かなり強いらしいぞ」
校内でもそんな声が増えていた。
だが福間監督は浮かれさせない。
「勘違いするな」
背番号発表後、全員を集める。
「強いチームが勝つんやない」
「最後までやり切ったチームが勝つ」
誰も喋らない。
「今年は特別な夏や」
「だからこそ、野球できる時間を無駄にするな」
その言葉に、全員が頷く。
数日後。
大会組み合わせ抽選。
会場には各校主将たちが集まっていた。
小早川は柳城の帽子を被り、静かに席へ座る。
周囲には強豪校の主将たち。
西陵学園。
福岡学院。
大牟田第一。
以前なら緊張していた。
だが今は違う。
(勝つ)
ただそれだけだった。
抽選結果。
柳城高校の初戦は――
県立南筑高校。
堅実な守備のチーム。
簡単な相手ではない。
抽選後。
校門前では、おっちゃんとおばちゃんが待っていた。
部員たちが通う、お好み焼き屋。
「おー!決まったか!」
「今年はいけるばい!」
部員たちにジュースを渡していく。
「油断したら負けるぞ」
おっちゃんが笑いながら言う。
「はい!」
小早川も少し笑う。
地域の人たち。
OB。
学校。
いろんな人が、柳城を応援していた。
夜。
グラウンド。
最後の自主練。
小早川は一人、ホームベース後ろへ座っていた。
静かな球場。
そこへ福間監督が来る。
「緊張しとるか」
「少しだけ」
福間監督は隣へ立つ。
「それでええ」
少し沈黙。
「小早川」
「はい」
「お前は、この三年で変わった」
啓介は黙って聞く。
「でも、まだ終わっとらん」
福間監督はグラウンドを見る。
「最後まで、柳城の捕手をやれ」
その言葉に、小早川は静かに頷いた。
夏の夜風が、静かに吹いていた。
そして――
柳城高校、最後の夏が始まる。
第24話 終
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