テラーノベル
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勇斗の活動休止を宣言してから、勇斗との連絡が途絶えてから半年が経とうとした。
あの日から俺はいい意味でも悪い意味でも変わらなかった。
気力のない歌とダンス
光を失った目
自分でも感じていた。
世界が真っ黒になったあの日から。
舜太side
あの日から仁ちゃんは分かりやすいように落ちた。
以前よりも細くなった体
どこかに置いていってしまったような表情
合わない視線
日常会話なんてものは無くなった。
「なぁ仁ちゃん、今日の夜空いとる?夜ご飯でも食べへん?」
「ごめん。」
「そっかぁ…じゃまた空いてる日一緒に食べよーな!」
淡々とした会話だけだった。
ただ、俺たち以外の前ではちゃんと笑顔で、変わらない歌声とダンスで
"アイドル"としての吉田仁人は続いていた。
でも俺には分かるんよ、
みんなで楽しく活動していた時の仁ちゃんやないんよ、
歌声もダンスも話し方でさえ
全部が違くて、全部が足らなかった
勇斗が。
なぁ勇ちゃん、早よ戻ってきてよ
このままじゃ仁ちゃんが壊れてまうよ…
更に月日が流れ、仁人はあれからなにも変わらなかった。
俺たちはというと、勇斗がいないM!LKを徐々に受け入れ始め、各々の仕事と向き合った。
もちろん、佐野勇斗の存在を忘れたわけでも、消したいわけでもない。
ただ勇斗がもう一度戻ってきた時、以前と何も変わらない居場所でいたかった。
舜「なぁ太ちゃん…仁ちゃん大丈夫やと思う…?」
太「ん〜…何とも言えん」
舜「なんか仁ちゃんみてると、消えちゃいそう…」
部屋の端に腰掛ける仁人に視線を移した。
俺が仁人を見かける時は常にスマホを見ていた。
SNSを開けば話題は"佐野勇斗"ばかりで、見れば辛いものばかりだと思うが、どうやら仁人はSNSを見ていたわけではなかったらしい。
ふと画面が視界に入った時、見ていたものは勇斗とのLINEだった。
LINEを送るわけでもなく、ただ内容を永遠に見返していた。
その光景に余計に胸が締め付けられた。
俺も太智も柔太朗ももちろん辛い。
だけど1番辛いのは仁人だろう。
それはここにいる仁人以外の誰もがわかっていた。
太「イベントの時もライブの時もずっとキョロキョロしてたんよね。きっと勇斗を探してたんだと思う。」
舜「そうよな…連絡は安定に届かへんし、、柔ちゃんは,,?」
柔「…。俺も、、届かない…」
舜「ほんまに戻ってくるんかなぁ…」
太「勇斗いないとほんとダメだね俺たちって…笑」
ほんまにそうよ。
勇ちゃんがおらへんとなーんも進まへんのよ。
せめて、せめて返信してや
グループに戻りたくないんなら、別に戻らんくてもいい
戻れなんて強く言わへんから
俺たちに会いに来てよ
舜「ほんまどこにおるんかな…」
to be continued…
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