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黒猫ている
しめさば
#独占欲
「それより祭りに備えて、新鮮な魚を確保したいのニャ。ホウトン村の横のアクラ川は汽水域で、海の魚も多少は入るニョだけれど、完全に海だけの魚は捕れないのニャ。だから新鮮な魚を出来るだけ確保してから行きたいのニャ」
おいおい。
そうは思ったけれど、釣りそのものは好きだし別にかまわない。
ただ一応、釣りの前に確認しておこう。
「魚以外にホウトン村に持って行った方がいいものってありますか? 野菜とか」
「ホウトン村は農業と畜産、漁業の村ニャ。でも猫獸人は肉食だから、野菜はほとんど食べニャいニャ。だから野菜は売るほどあるのニャ。それでも足りなければ山菜も採れるのニャ」
「他に用意する物はないんですか?」
「ニャいニャ。インガンダ・ルマさえ忘れなければ、基本的に問題ないニャ。向こうで魚を獲る場合も、エサを持って行く必要はないニャ。村の養漁場ではエサにさらし芋を練ったものや、川エビの小さいのを使っているのニャ。どちらも村で簡単に手に入るのニャ」
ミーニャさん、俺の考えを完全に先回りしている気がする。
そういえばミーニャさん、事務屋としても優秀なのだった。
それくらいの事は考慮済みでも不思議ではない。
「あと、もし出来ればホウトン村に今日のうちに着いた方がいいのニャ。基本的に祭りは明日からニャけれど、今日から前夜祭は始まっていると思うのニャ。それにインガンダ・ルマには半日漬けるレシピもあるのニャ。今日の明るいうちに行けば、その仕込みも出来るのニャ」
「指定日時配送依頼は、24日の朝10時でしたけれど」
「刺身と焼き物はそれでいいのニャ。祭りの主役は刺身なのニャ。でもインガンダ・ルマが3本以上あるニャら、漬けと漬け焼きが欲しいのニャ。もちろん早く出した分も、指定日時配送依頼達成と同じ扱いをするのニャ。
あと前夜祭はインガンダ・ルマが食べられない代わり、養魚場の魚を大放出するのニャ。前に食べた草食いと同じくらい大きくて、もっと丸々太ったのを出すのニャ。出来ればあれをエイダンに、前にやっていたタレを塗って丸焼きにして欲しいのニャ。
あとついでに言うと、あそこは夜の方が獲れる魚が大きいのニャ。泊まるのも、今日からで全然問題はニャいニャ」
ミーニャさんはどうやら、最初にミーニャさんが家にやってきたときに作った、マスグーフを食べたい様だ。
それに俺も、夜の方が獲れる魚が大きいと聞くと……
仕方ない。
ミーニャさんの思惑通りとなってしまうけれど、今日中にホウトン村へ行くとしよう。
魚を確保するために、釣りもして。
ということで、ジョンに確認だ。
「ジョンは今日中に出ても大丈夫か?」
「用件や依頼は入っていない。家に帰って荷物を取ってくれば大丈夫だ」
なら、事実上は決定だ。
「それじゃ市場で釣りながら食べられる昼食を購入して、ジョンとミーニャさんの荷物を収納、釣りをして、ホウトン村へ向かうという日程でいいですか」
「わかった」
「問題ないニャ。ニャら市場へ行くのニャ」
そんな感じで、まずは市場へ向けて出発。
ただし昼食については、少し考えた方がいい。
少なくとも魚関係のメニューは、避けたほうがいいだろう。
以前クリスタさんが、こんなことを言っていた。
『ミーニャは魚メニューですと食欲が壊れます。ですから冒険者ギルドで用意した食事は全て、魚介類を使わないよう配慮したのですけれど』
昼食を魚メニューにした場合、ミーニャさんの食欲スイッチがONになって、釣った以上の魚が消費されてしまう可能性がある。
それでは釣りをする意味が無い。
だからミーニャさん対策として、今回は俺が昼食メニューを決めさせて貰おう。
「今日買っていく昼食のテイクアウトは、釣りで手が汚れても食べられて、何なら片手でも食べられて、両手が必要になった時でもその辺に置いて問題ない、袋入りの奴にしませんか」
ごく自然な感じを意識して、そう申し向けてみる。
「確かに釣りをしながらなら、その方がいいだろう」
「私もそうするニャ」
よしよし。
ということで俺が向かったのが、菓子パンメインの店『モンプロムント』。
ここの看板商品は、良い棒というシリーズの菓子パン。
直径8cm長さ30cm程度の細くて長いパンの中に、甘いクリームとかチーズとかジャムとかが入っている。
「これなら紙袋に入っているし細いから、多少汚れた手でも持って食べられます。袋がしっかりしているので、両手が必要な事態があれば、その辺に置いても大丈夫です」
ということで、俺はクリーム味を1本、ジョンがチーズ味を1本、ミーニャさんがクリーム味、チーズ味、ベリージャム味の3本を購入。
「それじゃ家に寄って荷物を収納した後、釣り場に向かいます」
「今日は何処で釣るのニャ」
「港にしましょう。あそこが一番釣りやすいですから」
そういう事でジョンの家、そしてミーニャさんの家に寄って、荷物を収納。
俺は基本的に家財道具のほとんどを収納したままなので、家に寄る必要はないのでパス。
着替えだの武器だの防具だの貴重品だのを収納した後、3人で港へと向かう。
なお俺は歩きながら、並列思考を使って収納内で工作をしている。
今回作るのは直径80cmくらいの円筒型リール。
俗にタイコリールと呼ばれる形式のもので、スピニングリールと比べると遙かに原始的。
糸をただくるくる巻いて巻き取る、それだけの構造のリールだ。
次の作戦には、このリールがあった方がいい。
なぜなら……
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