#2
――私達、魂はお腹が空かない。
その為、朝は自由行動となっている。
自由、といっても何もすることがないのだが。
「はあ……」と、思わずため息が零れる。
もう、天井を眺めるのも飽きた。
久々に街に行こうと、ヨロヨロと立ち上がり、
服を着替えドアノブを開けた。
――すると。
「あわわわわ……どうしましょう…」
――背丈が高く、ベージュの色のストレートヘアがよく似合う女性が、すぐそこに居た。
どこか困っているようだが、私は見ず知らずの困っている人を助ける程のお節介じゃない。
「そこの貴方!」
そう通り過ぎようとした時、呼び止められた。
ゆっくりと振り向くと、相手はなにか言いたげな表情をしてモジモジしている。
「あの…なんですか?」
あまり会話をすることに気が乗らないので手短に済ませて欲しいところだ。
「あのね……」
それに続けて彼女はそう言った。
「実は凄く凄く凄ーく大切な物を落としてしまって……」
「大切な物、ですか」
「ええ。もし良ければなんだけど、一緒に探して欲しいのよ。あ、無理しないで大丈夫よ!全然断ってもらっても大丈夫だから。」
断ってもらって大丈夫…と言われても、断れる訳が無い。
まあ、どっちみち、結局することが無いのだ。
手伝うくらいなら大丈夫だろう。
「分かりました」
「本当?!」
にぱー。物凄い笑顔を向けられると、もう後戻りは出来ない。
「……はい」
そう短く答え、その女性と共に街に出掛けた。
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