TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

しっかり眠れば、朝もしっかり頭が冴える。


それはとても当たり前のことだけど、そう過ごせなかった経験を持つ人間にとっては、とてもありがたいものだ。

……毎日毎日、悪夢を見てしまう――とかね。


今日からはアイーシャさんと話した通り、『野菜用の栄養剤』を作っていくことになる。

まずはクレントス中にある素材を集めて作って、そのあとは冒険者たちが採集してきた素材を使って作る……という具合だ。


作ること自体は簡単だけど、素材のやり取りや納品があるため、私は錬金術の工房をひとつ借りることにした。

その工房は、以前訪れたことのある場所なんだけど――



「――師匠!」


「あ、レティシアさん。お久し振りです」


私が工房に入ると、すでに知った顔が3人いた。

その中で、声を掛けてくれたのは私の弟子……とは言っても会うのは2回目だけど、活発な感じの錬金術師の少女だ。

……2週間振りくらいかな?


「お久し振りです! 王国軍との戦い、私のところにも師匠の武勇伝が伝わってきましたよ!

魔星クリームヒルトと戦ったって……!」


「いやいや、結局は他の人が倒しましたからね? 私は近くまで付いていっただけです」


「そうなんですか? それでも錬金術師が戦えるだなんて、とても信じられません!」


「錬金術って、極めれば凄いんですね!」

「さすが神器の魔女さま!!」


レティシアさんの言葉に、隣の錬金術師たちも好き勝手に追随する。

戦場では魔法が主体だったから、錬金術を極めても戦いにはあんまり――というツッコミは胸にしまっておこう。


「ま、まぁ……そうですね。錬金術は可能性に満ちていますから……」


「さすがです、師匠!」


「――っと、それは置いておいて。

今日はここで『野菜用の栄養剤』を作る予定になっているんですけど、みなさんは何を?」


「はい、今日は師匠のお手伝いをするように言われて来ました!」


「何でもお申し付けください!」

「いろいろとご指南ください!!」


「む、そうなんですか。

でも今回は大量に捌いていかなければいけないので、何か教えるのはまた次の機会にしたいんですけど――」


「「「分かりました!」」」


うおぅ。今いるのは3人だけど、無駄に息もぴったりだ。


レティシアさん以外の2人は年上の男性で、性格も素直な感じ。

単純作業とか肉体作業ばかりになりそうだけど、この人たちなら我慢してくれるかな?


「ところで師匠、用意できる分の素材は搬入が終わっていますよ!

私たちは参加していませんが、夜中にクレントス中からかき集めたそうです!」


「え、夜中に?」


「中には文句を言う人もいたようですが、これからの食事情に関わることですからね。

早く作って、早く農家さんに届けて、早く農作物を作ってもらって――ということかと思います!」


……確かに、一刻を争う問題だからね。

1日や2日遅れたところで致命的にはならないけど、早く終わらせれば、それだけ作物が早く収穫できるのだ。


「それではもりもり作っていきますか。

みなさんにお願いすることは決まっていませんが、進めながら決めますね」


「「「はい!!」」」


うーん、返事が何とも気持ち良い。

それに報いるためにも、私も頑張ることにしよう!




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




バチッ


「……っと、こんな感じかな」


素材をあるだけ使って、100個ほどの『野菜用の栄養剤』を作ってみる。

例のごとく、作るのは一瞬だ。


「相変わらず、師匠の錬金術はよく分からないですね。

何でこう、一瞬で作れてしまうのでしょう……」


「……世界がそう出来ているから?」


「おぉ、何とも深いお言葉です!」


私のこのスピードはスキルのせいだから――つまり現実的にこうなっている、だから世界のせい……となるわけだ。

元の世界では、この世界で言う『スキル』なんていうものは存在しなかったからね。


「アイナ様。素材の量の割に、これだけしか作れないのですね……」


そう聞いてきたのは、錬金術師の男性の1人だった。


「そうなんですよ。効果が高い薬だから、量があまり作れないんです。

でも少量で高い効果がありますし、これで大丈夫だと思いますよ」


「なるほど、そうだったんですか!」


「ふふふ♪ 師匠に死角などあるはずな~いっ!!」


何故か自信満々に言い放つレティシアさん。

やめてください。フラグを立てるの、やめてください。


「それはそれとして、今日の作成分は終わってしまいましたね。

これから何をしましょう」


「師匠……。まだ30分も経っていないんですけど……」


「まぁまぁ、本番は明日からということで!

ところで急いで素材を集めたっていうことは、急いで配りたいってことですよね?

誰がどう配るとかって、もう決まっているんですか?」


「その辺りは聞いていませんが、昼過ぎにアイーシャ様の遣いの方が取りに来るそうですよ」


……昼過ぎかぁ。

まだ2時間以上あるから、それを待つのも時間の無駄かな……。


さて、それまで出来ること……、出来ること――


「……あ、そうだ。それなら簡単な説明書でも作っておきましょうか。

使い方を知らずに、バシャーって使われたら無駄になっちゃいますし」


「確かに、農家さんに届く間に伝達ミスがあるのは避けたいですね。

さすが師匠、死角がない!」


「あはは。それではその準備をお願いします」


「「「はい!!」」」



――とは言うものの、レティシアさんに何も言われていなかったら、何も浮かばなかったかもしれない。

説明書の作成は彼女の立てたフラグを避けようとした結果だから、実はレティシアさんのおかげだったりするのだ。


「……いやぁ、私の弟子は気が利くなぁ」


「え?

えーっと、褒められました? やったー!!」


不思議そうな顔を見せてから、レティシアさんは良い笑顔を見せた。

やっぱり笑顔が一番だ。みんながそんな顔をできる日が、早く来てくれると嬉しいな。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




昼過ぎまでに、全員で説明書を50枚ほど作成することができた。

説明書とは言っても簡単な内容だし、スピード重視だから文字は少し荒れているけど、この時点においてはきっと百点満点だろう。


「アイナさーん!」


「あ、エミリアさん。どうかしましたか?」


ひと段落して休憩をしていると、扉の外からエミリアさんが現れた。

昨日酒場で絡まれたこともあり、工房の外をルークとエミリアさんに護ってもらっていたのだ。

……この二人の護りは、なかなか突破できないからね。


「あの、アイーシャさんの遣いという方が見えられたんですが」


「お、来ましたか。

聞いた話によれば、その方に今日作ったものを納品するそうなんです」


「そうなんですね!

えーっと、あそこにある荷物ですか? 重そうですけど、取りにきてもらいます? こちらから持っていきます?」


「持っていきます!」

「持っていきましょう!」

「仕事をください!!」


「うわぁっ!?」


エミリアさんの質問に、錬金術師の三人衆が元気良く答えた。

今日やったことは説明書を書くだけだったから、仕事が足りなかったのだろう。


「みなさん、お元気ですね!

それではアイナさん、遣いの方にはそのまま待ってもらいます。

外に出てすぐのところにいますので、そこまで持ってきてください!」


「分かりました。

それではみなさん、よろしくお願いします!

……ゆっくりで良いので、落とさないようにだけ気を付けてくださいね」


「「「はい!!」」」



……今回の『野菜用の栄養剤』はそれなりの距離を運ばれるだろうし、容器のことももう少し考えても良さそうかな?

ガラス瓶だと、たまに割れちゃうこともあるし……。


容器本体ではなくても、例えば梱包材みたいなのを作ってみるとか?

元の世界で言うところの『ぷちぷち君』みたいなやつ……。


『付箋』もダグラスさんには好評だったし、もしかして『ぷちぷち君』も喜ばれるのでは……!


……あと、久し振りにぷちぷちしたいというのもあるかもしれない。

あれって正直、クセになるからね……。

異世界冒険録~神器のアルケミスト~

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

46

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚