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コメント
2件
ラウちゃんめちゃめちゃキュンキュンさせれてるじゃん😏🤍❤️
僕の彼女はとってもかっこいい。
料理もできて、ダンスも上手で、痛みにも強い。おまけに天然なところもあるので、面白い。とっても魅力的な人で、僕はいつも誰かに取られちゃったりしたらどうしようって、心配になる。
でも、いつでも僕に優しくしてくれるし、好きだよって言ってくれるから、僕はその言葉と分けてくれる温もりに泣いてしまいそうになる。大好きで大好きでたまらない。
僕もおんなじくらい、いや、それ以上に大好きって伝えたくて頑張ってるんだ。
でも、最近ちょっと悩みがある。
それを聞いて欲しくて、僕はめめをご飯に誘った。
「ねぇ、めめ。 …僕って、いつまで経っても子供なのかな?」
「は?急にどうした?」
「だてさんね、いつも僕に優しくしてくれるんだけど、なんていうか、、すごい甘やかされてる気がするんだよね…。それこそ、僕が中学生の時と今とで、だてさんの感じがずっと変わってないというか…」
「冷たくされるよりはいいんじゃないの?」
「でも、ちょっと落ち込むんだよー!だって僕、これでもだてさんの彼氏だよ!?しかも、僕もう21歳だよ!? …もう大人なのに…。」
「んーと、、大人の頼れる男として見られたいってこと?」
「そう!そうなの!どうやったらだてさんにドキドキしてもらえるかな?」
「だてさんのツボがわかんないもんなー…とりあえず片っ端からやってみたら?」
そう、僕の彼女であるだてさんは、いつもかっこよくて、大人で、優しくて、僕もそれに追いつこうとするんだけど、いつもうまく行かない。
この間も、少しバランスを崩した僕を、転ぶ前に抱き抱えて支えてくれた。「大丈夫?」と聞きながら、見つめてくれる表情がかっこ良すぎて、僕がときめいてしまったくらいだ。
そうじゃなくて!僕がだてさんをメロメロにしたいの!
めめにアドバイスをもらおうと、少し切り口を変えて聞いてみる。
「そうだよねぇ…。めめはいつもどうしてるの?」
「ん?」
「めめはどんな時に佐久間くんがきゅんってしてるって思う?」
「お前、、知ってたのか」
「うん、バレバレだよ。隠せてると思ってたの?お互い顔に出過ぎ。」
「マジか…。」
めめは少しショックを受けている様子だった。
佐久間くんと付き合ってることは、メンバーのみんな知ってると思うけど、本気でバレてないと思ってたのか…。すごいな。
いつも二人だけの世界を作り出してニコニコしてるんだもん、そりゃ誰でも気付くでしょ。
「それで、どうなの?佐久間くんはどんな時にときめいてると思う?」
「それは大介に聞けよ。でもまぁ、いつもうるさいけど、ハグしてキスしたら真っ赤になって黙るかな。」
「へぇー!そうなんだ!なんか意外!そういうの結構弱いのかな」
「まぁ、意外とそういうの好きっぽいからね、なんていうかロマンチックなやつ?」
「僕もやってみよう!ハグとキスか…。」
「お子ちゃまラウールくんにできんの?」
めめにケラケラと笑いながらからかわれて、少しムキになる。
「できるよー!ぎゅーっていつもしてるし、ちゅーもしたことあるもん。」
「ふぅん?今付き合ってどのくらいだっけ?」
「んとね、僕が20歳になった時だったから、もう一年くらいかな。」
「…は?マジで?」
「え?うん。」
「キスってどういうやつしてんの?」
「ん?口つけてちゅーってするやつ」
僕がだてさんとのあれこれをめめに伝えていくたびに、めめの顔がどんどん曇って行く。なにかおかしい部分があるのだろうか。
「だてさんもだいぶ我慢してんだろうな…」
めめがぼそっと独り言のように呟いたその言葉が、頭にこびりついて離れなかった。
「え!だてさんが我慢してることがあるの!?なに!教えて!」
「んー、まぁ、それはまた今度伝えるよ。段階踏んでいこうぜ。まずデート誘え。そんで目一杯かっこよくエスコートしよう。頼れる男になりたいんだろ?」
「うん…。」
だてさんが、なにか我慢していることがあるなんて、、と不安に駆られたけれど 、なんでも知ってるめめの言う通り、順番通りに頑張っていくことにした。
デートかぁ。久しぶりだな。楽しみ。
どこに行こうかたくさん考えて、最終的に遊園地に行こうと決めた。
だてさんは意外とそういうの好きみたいだし、エスコートできる瞬間がいっぱいあるし、何よりも、遊園地には、そう、お化け屋敷がある。
ここで、わぁっ!って驚くだてさんを僕が守るの。
うん。完璧!
だてさんも遊園地行こうってOKしてくれたし、あとはその日を待つだけ!
すんごい楽しみ!!
毎日カレンダーにバツをつけて、デートの日が来るのを楽しみに待っていた。
そして、当日。
お家までだてさんを迎えに行く。
めめからは「とりあえず、手はずっと繋いどけ。狭いところを通る時は腰を抱け。気持ちを伝える時は、さらっといつもの子供っぽい感じで言うんじゃなくて囁け。あと、名前で呼べ。」と言われている。
そういうの今までしたことがなくて、うまくできるか心配だけど、だてさんにもっと好きになってもらうために頑張ろうと気合を入れて、だてさんのお家のインターフォンを鳴らした。
ドアから出てきただてさんは、とってもおしゃれで思わず見惚れてしまう。
あ、いけないいけない!僕がどきどきしてどうするんだ。あと、名前呼ぶ!
「おはよう!楽しみだね!」
「うん、おはようラウ。俺も楽しみにしてたよ」
「えへへ、嬉しい! …それから、」
先を続ける前に、だて…涼太くんの手を引いて抱き寄せてみる。
ふわっと優しく抱き締めて、めめに教えてもらった通りに耳元で囁く。
「涼太くん、すっごくかっこいいね。見惚れちゃった。今日は僕に全部任せて?」
…どうかな。どきっとしてくれたかな…?
涼太くんは何も言わずにずっと固まっていたかと思うと、下を向いて、
「…っ、、ありがと……」
とだけ言った。
反応がわからない…!相変わらずクールだなぁ…。めげずに頑張ろう。
涼太くんの手を引いて、遊園地へ向かった。
マスクをつけて、電車に乗る。
バレたりしないかな?と少しハラハラした。
電車は結構混んでいて、停車するたびに人が増えて行く。少しずつ狭くなって行くので、涼太くんの腰を抱いて、壁際に誘導した。痴漢とかあるかもしれないし、ちゃんと守らなきゃ。
突然、後ろから押されてしまって、思わず涼太くんがもたれる壁に肘をつく。
距離がぐっと縮まって、涼太くんを全身で覆っているような体勢になる。
顔が近付いて涼太くんの瞳に反射する風景が見える。綺麗な瞳。
……なんだか目が泳いでるけど大丈かな?
「涼太くん大丈夫?気分悪い?一回降りる??」
「ううん、だいじょぶ…っ」
「そっか、ならいいんだけど…狭くない?辛かったら言ってね?」
「うん、ありがとう」
なんとか人で溢れた電車もやり過ごして、目的地に到着した。
チケットをスタッフさんに渡して、ゲートをくぐる。
まずどこへ行こうかとわくわくしている様子の涼太くんに手を差し出す。
「はぐれないように、手繋ごう?」
「…っ、うん…。」
おずおずと差し出してくれる手を取って、ジェットコースターのある方へ向かった。
うまく行ってるのかな、、、やっぱり涼太くんのツボがわからないや…。
乗り物の順番待ちをしている間、涼太くんと色々な話をした。
最近食べに行ったご飯屋さんの中で美味しかったものの話、新曲のダンスについて、最近放送されているメンバーのドラマの話、いろいろなことを話した。
どこで誰が聞いているかわからないので、誰にも聞こえないくらいの声で、二人で内緒話をするみたいに。二人だけの世界になったみたいで、胸がきゅうぅっと鳴る。
色々な乗り物に乗って、お昼ご飯も食べた。
太陽が地面に近くなってきたところで、僕は涼太くんをお化け屋敷に誘った。
今日最大の戦いが今から始まる。
絶対に涼太くんに頼れる男って思ってもらうんだ。
スタッフさんから説明を聞いて、涼太くんの手を握ってから、中に入った。
中に入った途端に、自分で立てた作戦だけど、今だいぶ後悔してることに気付く。
すんごい怖い。ヤバい。どうしよう。暗闇の中で薄ぼんやりと見える破れた障子、通り道に所狭しと貼られたお札、垂れ下がったボロボロの布に顔が引き攣る。髪の毛みたいなものが顔にかかって背筋が凍りついた。
涼太くんは全然平気なのか、無表情で歩いていた。
曲がり角に差し掛かった時、白い服を着た女の人が立っていて、ビクッと体が跳ねる。何もしてこないよね?と不安に思いながらその女の人の前を通ろうとすると、その人は突然こっちを向いて断末魔を上げた。
「う”ぁぁぁぁぁぁああああぁぁ”…!!!」
「キャァァァァァァァアアアアアァァァ!?!?!!!?」
びっくりして、怖くて、叫びながら思いっきり涼太くんに抱き付く。
怖すぎる…。無理…。頑張って先に進まないと、、ここから出られないから、、!でも足がすくんじゃって動けない…。
涼太くんに縋り付いていると、涼太くんが僕の腕を軽く叩く。
「らう…顔つぶれてる……くるしい…」
「ぅあ!?ごめんっ!!!」
パッと腕を離して、目線を涼太くんに合わせる。
「ううん、大丈夫だよ。」
「痛かった?ほんとにごめんね…。」
やっちゃった…。これじゃあ全然ときめかないよね…。失敗した…。
落ち込む僕の目を見て、涼太くんがクスッと笑った。
「怖いの?」
「うん…めっちゃ怖い!!!」
「大丈夫。俺がいるんだから、怖くないでしょ?ほら、もう一回手繋ごう?」
「…うん。ありがとう」
差し出された手を握り返しながら、やっぱり涼太くんはかっこいいな、と思う。
落ち込むほどかっこいい。僕はまだまだ涼太くんに敵いっこない気がした。
半泣きの状態の僕の手を引いて、ぐんぐん前に進んでいく背中はとっても大きかった。
なんとかお化け屋敷から抜け出して、思わずその場にへたり込む。
ものすごく怖かった…。
涼太くんがしゃがみ込んで、僕の顔を覗き込む。
「大丈夫だった?」
「死ぬかと思った…」
「ふふふっ、可愛かったよ?」
やっぱり難しいな。もっと、大人になりたい。涼太くんを守れるように。
僕はまだ涼太くんに守られてばっかりだ。
今日のデートがうまく行ったのか、失敗だったのか、よくわからなくなってしまったけど、涼太くんと一日中二人っきりの時間を過ごせたことはとても幸せだった。
でも、やっぱりちょっと悔しくて、負け惜しみのように涼太くんの耳元に顔を近づけた。
「涼太くん、大好きだよ。僕、もっと涼太くんに好きなってもらえるように強くなるから、待っててね。」
驚いたように体を後ろに引いた涼太くんの耳は、赤く燃えるような夕日色に染まっていたように見えた。