将軍の息子を倒した後、雅也と加藤は深い息をつき、戦闘の余韻から解放されようとしていた。しかし、その瞬間、少女が静かに立ち上がった。
彼女の目には涙が浮かんでいたが、その奥には決意と狂気が宿っていた。彼女が手にしていた装飾品――異能を宿した呪具が、不気味な光を放つ。
「……兄様を傷つけたお前たちを……許さない。」
その言葉とともに、彼女の手の中の呪具が爆発的なエネルギーを放ち、形を変えた。それは、歪んだ形状の刃物となり、少女の手に吸い付くように固定された。
雅也が驚いた声を上げる。
「お前……それ、何をする気や?」
少女は涙をこぼしながら、刃を振りかざす。
「兄様ができなかったこと、私がやるの……!」
少女の動きは尋常ではなかった。刃から放たれる異能の力で、空間そのものが揺らぎ、雅也と加藤の身体を切り裂こうとする。
加藤が六魂を構え、なんとか一撃を防ぐが、少女の力は予想をはるかに超えていた。
「なんやこの力……このガキ、ほんまに異能の化け物やないか……!」
雅也も剣で応戦するが、少女の動きの速さに翻弄され、彼の肩が深く切り裂かれる。血が飛び散り、彼は膝をつく。
「くっ……これは、まずい……!」
加藤も次第に追い詰められ、ついには少女の刃によって腹を貫かれる。血を吐きながらも、彼は笑みを浮かべる。
「この俺が、こんな小娘にやられるとはな……」
一方、雅也も少女の放った異能の刃によって足を斬られ、倒れ込む。
「……お前、ほんまにこんなことしてええんか?これが、お前の望む未来か?」
少女はその言葉に一瞬動きを止める。しかし、すぐに涙をぬぐい、刃を再び振り上げた。
「私には、もうこれしかないの!」
その時、倒れた加藤がかすれた声で呟いた。
「雅也……俺が道を作る。お前は、次を頼む……」
彼の六魂が光を放ち、異能を全て集中させる。それは自らの命を代償にした最後の攻撃――「魂消滅(たまけし)」だった。
六魂の力が少女の刃を弾き、周囲を一瞬だけ静寂に包む。しかし、その代償に加藤の身体は光とともに消え去った。
雅也は力を振り絞り、少女の前に立ち上がる。
「加藤の命を無駄にはせえへん……お前も、こんなことやめるんや!」
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