魔法という現実世界では遠い存在を手に入れた俺はウキウキで街を歩いていた。
「魔法の試しうちは今度クエストに行った時にしてみるか!」
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武器屋に着いた俺は扉を開けた。
「ガチャリッ…」
そこには中世のような剣や斧といったとてもロマン溢れる空間が広がっていた。
「なぁなぁ!お前勇者だろ?こっち来いよぉ!」
「ん?なんだ?」
振り向くと、小さい子供が店番をしていた。
「ここの店にはよく勇者くるんだけど、お前だけ1人なんだな。なんだか可哀想…」
「ほっとけよ、1人なのがそんな悪いかよ…!」
…このガキボコボコにして泣かしてやろうかな。
無視して店内を歩いていると値段が目に入る。
「聞いていいか?剣ってこんなに高いのか?値札間違っては無いか?」
「うん!うちのおとんの商品は騎士団お墨付きだしあのオリヴィアさんも好んで使ってる武器と防具だからブランド品として高くなってるんだよ」
┈┈「”ミスリルアーマー”」【550000ペア】
「高すぎやしないか?……」
「うーん。それが嫌ならそこの隅っこの箱に入ってる失敗作のなまくらの粗悪品しかないよ…おすすめしないけどね。」
「お金ないし、しょうがないか…」
武器やら防具が無造作に置かれている箱を漁っていると気になる武器を発見した。
「お、おい。これってなんで武器に文字が書かれてるんだ?」
「あー…それはね、ルーン文字って言ってねぇ、武器に付けたい効果とかを書くとその効果がつくっていう代物なんだけど、おとんが練習台として使ったから大した効果はついてないよ。」
少し短いショートソードだが今のボロボロの剣よりはマシか。
「次は防具だな…。」
「ガサガサッ」
…どれもこれも重そうな防具ばかりで俺に合う防具は無さそうだ。
「次は防具が欲しいんだが、俺に合う軽い防具ってあるのか?」
「うちには軽い防具は無いかな。強いて言うなら手甲とすね当てくらいしかないよ。どうしても欲しいなら向かいの服屋さんに行くかオーダーメイドするしかないね…」
うん!この店のオーダーメイドとか想像つくぞ!やめておこう。
「分かった!とりあえずこの剣だけ貰っていいかな?」
そう言って剣を持っていく。
「お買い上げ〜!18000ペアになるぞ。」
「ゲッ!そんな高かったのか、値札が無かったから分からんかったぞ。」
魔法書買ったし、今日の宿代に食事代…どうしようか。
「…と言いたいけどおとんが勇者様に借りがあって優しくしろって言われてるから仕方ないが10000ペアで買わせてやる。」
「他の勇者に感謝しとくんだぞ。」
誰かは知らんがマジで助かった。
「ありがとな…その勇者に感謝しとかないとな。」
会計を済ませた俺は店を出る。
「ご贔屓に〜!」
そして向かいの服屋に行き、宿代等を引いた5000ペアで上下分厚い布で出来た布服を買うことが出来た。
「大分様になったんじゃないか?ふふん〜…」
今日のところは宿に帰って休もう。
…今ならどんな敵でも勝てそうだな。
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「黒き闇が災いを呼び起こし、再びこの地に漆黒よりも邪悪な存在が再臨する。」
事はまだ知るよしも無かった。