テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第5話:赫に染まる棘と、優しき嘘の境界線
荊棘を「夜の世界の王」として連れ去ろうと画策する茨木童子は、ついに強硬手段に出る。放課後の学校を結界で外界から遮断し、おどろおどろしい鬼の群れで包囲したのだ。茨木が冷酷に告げる。「お嬢様、さあ、その『黒い偽りの姿』を捨て、真なる御姿をお見せください!」(……ここでうちが本気を出したら、髪が赤う染まって、二度と人間に戻れんくなるかもしれん。……でも、みんなを見殺しにはできへんわ)荊棘が自分の黒髪を掴み、人間に別れを告げる覚悟を決めたその時、律が割って入る。「神酒さんダメだよ! 僕の後ろに隠れて!」律は荊棘を物陰へと突き飛ばし、そのまま一人で茨木の前に躍り出る。荊棘の視界から完全に消えた瞬間、律のタレ目から光が消え、神聖な白銀の呪符が展開する。「――下がってろって言っただろ、角無し。君がそこでお嬢様お嬢様って騒ぐせいで、彼女の心がどれだけ削られてるか分かってんの?」裏山を消し飛ばさんばかりの、天才陰陽師と最強の鬼による裏の頂上決戦が勃発。しかし、律の結界の隙間を抜けて物陰の荊棘へと襲いかかるはぐれ鬼。キィィン、と頭の中で何かが切れる音がした。「……うちの大事な学校で、何してくれてんの」爆煙の中から現れたのは、燃えるような真紅のウルフカットに、妖しく黄金に輝く瞳を持つ「赤髪の荊棘」だった。圧倒的な鬼の覇気で、荊棘は一瞬で鬼を素手で殴り飛ばす。荊棘の金の瞳に「化け物って、怯えられてまう……」と切ない絶望の色が過る。だが、次の瞬間、律はいつものタレ目に涙を浮かべ、「ひゃあぁぁ!」と尻もちをついた。「神酒さん!? 髪の毛が赤くなって……めちゃくちゃカッコよくなってますぅぅ! 新しい超能力ですかぁ!?」律は、彼女が「化け物」になったのではなく、ただの「すごい人間」として扱い、いつものヘタレ顔で泣きついてみせた。荊棘はふっと毒気を抜かれたように笑う。「……ふふ、アホらし。でも、おおきに、律」徐々に髪が元の黒色へと戻っていく荊棘は、はんなりと呟く。「……ほんま、手ぇかかる子ぉやわ。でも、うちはあんたがいてくれて良かったわ、律」
コメント
1件
**はる。** いやあ第5話、めっちゃ熱かった!律が「僕の後ろに」ってかっこよく割って入ったかと思ったら、直後のヘタレギャップで笑わせてくるのずるいわ(笑) 赤髪覚醒の荊棘も最高に映えるし、律が「カッコよくなってますぅぅ!」で化け物扱いせずに受け止めた優しさにグッときた。関西弁の掛け合いも自然で好き。この先どうなるか本当に気になる!作者さん、続き楽しみにしてます🔥