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「うっす!どうでしたか?!」
「お願いー><;」
「もしもアタリならすぐに持っていきましょ!」
つい先日、古代遺跡から持ち帰ったお宝の鑑定を
この魔技工房『三日月亭』に依頼した男女3人組の冒険者は、
目の前のカウンターに並んだ鑑定済みの依頼品を前に大興奮していた。
冒険者達にとって、遺跡からの神器発掘で一攫千金というのは夢である。
冒険者にも色々な仕事がある。
どぶ攫いや薬草採取などの雑用依頼
魔物の討伐や、その脅威からの護衛依頼
有事の際は探索救助・場合によっては傭兵業務までと幅広い。
だが、その中でも冒険者であればだれもが一度は憧れるのが遺跡探索だ。
その昔、まだこの世界に魔法が存在しなかった神話の時代
人はその持てる英知を結集し、都市を天空に浮かべ
星々の海をも渡る術を持っていた。
まるで、天地創造の神々の御技の如き伝承は荒唐無稽なおとぎ話とも思えるが
その実在を裏付ける物が、世界各地から発見される太古の遺跡群だ。
そして、その遺跡から発掘される遺物を人々はこう呼んだ。
【神々の時代の機械:神機】
遺跡から発掘された神機は、その素材が何で作られているかすら理解出来ない程
今の技術を遥かに超えた超々高度技術で作られており
遺跡から発掘された神機は国が研究の為、高額で買い取られる物も多い
遺跡探索を生業とする冒険者は殆どの場合これが目的である。
何故神機を国が欲するのか?
【魔具】は人が魔物を退ける為の力として産み出された魔法機械であるが
元々は魔物の脅威に対抗する為に人類が戦う為の力として生み出したとされる。
その後、水道・照明・加熱・冷却などの日常生活のインフラにまで
急速にその技術を多様化、発展・普及を遂げた背景には理由がある。
それは魔具が、今の人類による純粋な『無からの発明』では無く
神機を調査、解析する事で、既存技術と魔法の力を代用する事で模倣・再現して作られた物だからである。
その為、新たな神機、有用な神機の発見、解明はそのまま国の技術発展に直結する為
どの国においても遺跡から発掘された遺物は国の研究機関等が管理し、報酬により発掘を促進しているのである。
ここ、王都テストラも巨大な古代遺跡の上に建てられた都市であり
毎日、多くの冒険者達が遺跡に潜っている。
遺跡内には濃い魔素により自然発生したモノか
又はどこか別の入り口から入り込んだ魔物が異常進化した為か
非常に強力な魔物が出現する事がある。
そして遺跡自体も牙をむく。一部稼働している侵入者対策用のトラップ
何よりも未知の技術形態の殆どが機能を停止している環境である為
進む事すら様々な知識が必要となり、リスクが伴う。
その為、潜る階層によっては余程、護衛任務よりも危険度は高い仕事だ。
ここ、テストラの遺跡も、一体どれ程深くまで広がっているのか
既に都市が築かれ探索が開始されて100年近く立とうとしている今尚
何階層まで存在するのかも、その全容は未だ解明されていない。
セルヴィ達の三日月亭も街に数多く存在する魔具工房の一つであるが、
その名の通り、魔具の調整・改良・制作など始め
日々、冒険者達により数多くの発掘品が持ち込まれ解析も行っている。
今回訪れた冒険者達が持ち込んだ品もその1つである。
―――――
「で、結果はどうだった!
この形って”あの”ライルガンだよな!?」
まだあどけなさを残すリーダー格の青年が、
三日月亭の主、カイドに詰め寄った。
少しでも早く、鑑定結果が知りたくてたまらない様子だ。
「あー、率直に言うぞ、残念だったな今回はハズレだ」
三人に無慈悲に告げるカイド。
「まじ…かよ…」
「うわーっ>д<;」
「世の中やっぱり甘くないって事ね…」
先程までの盛り上がりは一瞬で吹き飛び
みな項垂れてそれぞれ落胆の声を上げる。
カイルは、意気消沈した彼等を意にも介さず続ける
「あのなー、そもそも稼働状態のライルガンってのは
過去第9階層以上の階では一つも見つかってない
加えて第10階層以下だって、年に1本でるかどうかってもんだ
上層でそんな簡単にゃ見つからねぇよ」
と、バッサリ切り捨てた。
彼らが今回持ち込んだ神機は【ライルガン】と呼ばれる兵器の神機である。
ライルガンは、少数ながらも世界各国で見つかっている兵器のひとつで
国によって形状は少し異なるが、最初に発掘されたライルガンの表面に
古代語で『RAIL.GUN』
と、古代文字が刻まれていた事に由来する。
それは開発者の名前なのではないか、地名なのではないか、など
研究者たちの間で様々な説が提唱されている。
専用の投射物を超高速で打ち出す古代の投射兵器で
その威力は、伝説級モンスターの分厚い鋼鉄の様な皮膚をも貫き
大岩すらも砕き、山をも削る程の、力を秘めている。
その為、最早ライルガンの威力は個人が使用可能な戦略兵器であり
保有する国は互いに人類同士の争いには使用しない事を明記した
国際条約を定め各国で厳重に管理している。
都市に配置されている衛兵や一部の冒険者達
そして王国の騎士達が装備している、似た形状の大筒状の武器
【スチームガン】という魔具武装は
炎の魔法を増幅・圧縮させ、水を瞬間的に蒸発
その際に発生した蒸気の力で射出物を打ち出す
という方法で、このライルガンの機能を疑似再現、模倣したモノである。
とは言え、スチームガンは、ライルガンの50分の1にも及ばぬ程度の威力しかない。
それでも、中型の魔物位なら一撃で仕留める程の威力である為
現在の人々には十分過ぎる程強力な武器の一つだ。
【魔具】と【神機】にはその稼動原理に決定的な違いが存在する。
それが、その威力の違いの理由でもあるが、魔具が、魔法の力、辿ると大気中のマナで動くのに対し
神機は、マナではなく、雷の魔法に近い性質を持つ、未知のエネルギーにより稼働して点である。
その為、今の人々にはそのエネルギー源を新たに産み出す事が出来ず
遺跡から持ち出した神機は基本的に使い切りであり、
発掘された時には、すでにエネルギーが枯渇してしまっている神機も非常に多い。
この様な背景から研究目的以外にも、使用可能な状態である神機は有用性の高さから
発見された場合は高額な値が付く事も珍しくない。
特にライルガンの様な国家が指定管理するレベルの兵器ともなれば
冒険者数人程度が一生困らない程度の金額は約束される。
「だが…」
項垂れる三人を前に、カイドがニヤリと笑う。
「エネルギーはすっからかんだが、こいつはかなり状態が良い。
国の研究機関にでも持っていけば
数週間分くらいの飯のタネにゃなると思うぞ?」
「マジっすか!!」
「まともなご飯タベレルー(´;ω;`)ブワッ」
「やったわ!暫くベットで寝れそうね!」
先程までの項垂れ具合はどこ吹く風、
三人は一瞬で元の活気を取り戻していた。
カイドはリーダーの青年に神機と遺物の鑑定の証明書を手渡す。
「んじゃ、これがうちの証明書だ。
研究機関に持ってく時には忘れんなよ」
「駆け出しの頃から俺らみたいなのでも
いつも面倒見てくれてありがとな!
次こそはあっと驚く様な物、必ず持ってくるぜ!」
「おう、だがあんま無理すんじゃねぇぞ、命あっての物種だ」
「わかってるって!心配いらねぇよ!」
「マタネー(^∀^)ノシ」
「ありがと、ナイスミドルな お・じ・さ・ま☆」
手を振りながら大通りへと去っていく三人組
カイドは、煙草を吹かしながら、彼等の姿が見えなくなるまで
黙って見送った。
遥か遠くまで、彼等の姿が見えなくなるまで。
* * * * *
古代遺跡都市・王都テストラ。
一攫千金を目指して、冒険者達が集まる街。