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「家、まだ変わってない?」
『…えっ?』
いきなり、私の家のことを聞いてきた先生に驚いて、思わずえ、と出してしまった。
『変わってない、です…』
「んじゃ、送ってくわ。」
『えっ!?』
は、!!?
どーゆー状況!?
『いや、大丈夫なんで!』
「じゃあお前はこの雨の中歩いて帰るのか?」
『…それは、』
たしかに、こんな雨の中一人で歩いて帰るなんて怖くて無理なのはあるけど、
それ以上に、先生の車で、先生の隣で
何時間も耐えられるわけないじゃん。
「オレは、お前の元教師なんだから。」
「送ってく必要はあるだろ。」
『……はい、』
“元教師” それは今、関係ないじゃん。
そんなこと言ったら、こうやって会ってるのも先生の車に乗せてもらってることだって
“元教師” だからなの?
エンジンをかけ、車がゆっくりと走り出した。
車の中はただただ、沈黙が流れてるけれど、雨の音のお陰で気まづくない。
『……ここでいいです、』
「は、?」
『家…近いんで、』
「いいよ。送る」
『…元教師、だからですか?』
「、、は?」
思わず、口に出してしまった。
きっと、気分を悪くしただろう。
嫌われただろう。
でも、それ以上に自分の頭からは、
“元教師”という言葉が消えない。
『送って貰ってるのも、こうやって会ってるのも、話してるのも、笑ってるのも…。』
『全部、元教師だからなんですか…?』
コメント
12件
どうする先生!!
切ない……