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「あいつとは知り合いなのか? フレア」


「もちろんよ。聞いていなかったの? あの子――ユリア=バーンクロスは私の妹なのよ」


「そうか。確かに、顔立ちは似ているな」


フレアは真紅の髪に、勝ち気そうな目をしている。

それに対して、ユリアの髪はオレンジ色だ。

火魔法の名門であるバーンクロス家は、赤系統の髪色を持つ傾向がある。

そして、気が強そうな雰囲気もフレアに似ている。


「それにしても、入学式で暴れるとはな。なかなか肝の座った娘だ。さすがはフレアの妹といったところか」


「褒められてる気がしないわね……。さすがの私も、入学式で暴れたりはしなかったじゃない」


「確かにそうだな。自信過剰のバカか、あるいはそれに似合うだけの実力を持つのか……。フレアの妹なら、後者であることを期待したいな」


「私もそう願っているけど……。それにしても、校長を襲撃するなんて……。バーンクロス家の品格に関わるのに。本当に何やってるのよ、もうっ!」


フレアは憤ってみせる。

だが、その声音には、妹を心配するような感情も含まれていた。


「へへっ。魔王サマ肝いりの学園と言っても、こんなもんかよ。オラオラ、センコーども! かかってきな!!」


ヘルルーガと名乗った女生徒が叫ぶ。

そして、彼女を壇上から引きずり下ろそうとしていた教師たちを殴り飛ばした。


「なかなかの身体能力じゃないか。なあ? シンカよ」


「確かに。でも、どこかで見たことがある気がする戦い方なんだよね。うーん……」


「ほう」


余は、首を傾げるシンカの横顔を眺める。

青色の髪がボーイッシュで美しい。

ヘルルーガと名乗る少女の髪は水色なので、少し似ていると言えなくもないな。


「さあ、もっと強くなりたい者はいねえか!? 遠慮なくかかってきていいぜ!」


ヘルルーガが叫び、教師たちを次々となぎ倒していく。


「くっ! いくら首席合格者とはいえ、この強さは何だ!」


「昨年度の成績優秀者”四将”に続き、今年もか……」


四将。

大げさな名前だが、昨年度の第一学年の成績上位4名に与えられた称号だ。

言うまでもなく、余、イリス、フレア、シンカの4人である。

魔王である余が、妻であると同時に配下でもあるフレアやシンカと並べられるのは少し不本意ではある。

が、さほど気にしないことにしている。

そもそも、全力は出さぬように抑えておるしな。


「思えば、昨年度の4人はまだ扱いやすかったか……」


「本来、優秀な者は傲慢さも併せ持つ傾向がある。特に、学生のうちはな」


「これほどの強さ。優秀さを喜ぶべきか、扱いづらさを嘆くべきか……」


「将来を担う人材を育成することは、陛下の願いだ。ここは教師である俺たちで抑え込むぞ!」


「「「おうっ!!!」」」


教師陣が意気込んでいる。

お手並拝見といくか。


「ケガをしたくなければ大人しくしろっ! 【炎嵐】」


教師のひとりが得意技を放つ。

なかなかの高威力だ。

生半可な防御魔法では防ぎきれない。

しかもそれでいて、致命傷は負わせないように術式が工夫されている。

それを目の当たりにして、余は感心する。


「ふむ。なかなかの使い手だ」


ただ高火力をぶっ放すだけであれば、二流の使い手でもできる。

だが、こうして工夫された術式というのは、難易度が高い。

魔力を多めに必要とする上、制御が難しく、しかも詠唱に時間がかかる。


「ディノスが認可した教師なんでしょ? 当然よ」


「それはそうだが」


余は魔王だ。

身分を隠してこの学園に通っている。

学園の教師陣の採用は、四天王や六武衆、あるいはその部下たちが判断している。

そしてその採用の最終認可は余である。

たった今なかなかの火魔法を発動した教師も、かつて書類で採用を認可した男だ。


「火魔法なんて、あたいには効かないんだよ!」


ヘルルーガが叫ぶ。

そして、彼女は拳に魔力を込めた。


「オラオラァッ!」


彼女が拳で火魔法を迎撃し、かき消していく。


「おおー」


余だけでなく、シンカも拍手している。

ヘルルーガは、なかなか面白い芸当ができるようだ。


「ば、バカなっ!?」


「あの威力の火魔法を新入生が無効化しただと!? それも素手で!?」


「違うっ! あいつは拳に氷魔法をまとっている!」


「な、何だとっ!?」


教師たちの間に動揺が広がる。


「へへっ。”氷結の戦士”ヘルルーガとはあたいのことだ! そしてこれがっ!!」


ヘルルーガは大きく跳躍する。

そして、彼女の左右の拳から水色のオーラが立ち昇る。

見ると、強力な冷気をまとった氷が拳回りに生成されている。


「くらいなっ!! 【獄氷爆華散】!!! 」


叫びながら、ヘルルーガが両手を突き合わせる。

すると、拳回りに生成されていた氷が砕け散り、教師たちを薙ぎ倒した。


「「「ぐわあああっ!!!」」」


悲鳴と共に教師たちは倒れる。


「ま、まだまだぁ!」


「いくら首席合格者とはいえ、学生に負けては陛下に顔向けできない!」


何人かの教師は踏ん張っている。

そこまで気負わなくてもよいのだが……。


ここの教師に期待していたのは、指導する力だ。

戦闘能力はさほど重視していない。

しかしだからこそ、こうして規格外の生徒が入学すれば制御できないのだな。


これは採用の最終認可者である余に責任がある。

もう少し様子を見て、必要であれば手を貸してやることにしよう。

最強魔王の学園無双 ~世界を平定したチート魔王は学園で無双し花嫁を探す~

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