テラーノベル
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神崎は拳銃を構えたまま、地下へ続く階段を見つめていた。
冷たい風が吹き上がってくる。
まるで地下深くから、誰かが息を吐いているようだった。
教祖は静かに手を差し出す。
「どうぞ。」
「その先に、あなたの知りたい真実があります。」
神崎は一歩も動かない。
「罠だ。」
「そう思うなら、帰っても構いません。」
教祖は背を向ける。
「ですが、二度と真実には辿り着けないでしょう。」
そう言うと、ゆっくり地下へ降りていった。
信者たちも無言で続く。
礼拝堂には神崎だけが残された。
数秒後。
神崎は拳銃を握り直し、階段へ足を踏み入れた。
「……逃がすか。」
⸻
地下は病院とは思えない空間だった。
石造りの通路。
壁一面に刻まれた翼の紋章。
無数の蝋燭が青白く燃えている。
その先には巨大な地下祭壇があった。
天井は高く、中央には円形の床。
床には複雑な模様が描かれている。
そして周囲には十三本の石柱。
その一本一本に、人の名前が刻まれていた。
神崎は懐中電灯を向ける。
第一候補。
第二候補。
第三候補。
……
第十二候補。
最後の一本だけ、まだ何も刻まれていない。
教祖は空白の石柱を見つめた。
「ここが、あなたの場所です。」
神崎は怒鳴る。
「ふざけるな!」
その瞬間。
バンッ!
銃声が響いた。
神崎が撃った弾は教祖へ向かう。
しかし。
教祖の体をすり抜け、石柱に命中した。
「……!?」
教祖は傷一つ負っていない。
「そんな……。」
「見えているものだけが現実とは限りません。」
神崎の額に汗が流れる。
幻覚か。
照明の仕掛けか。
理解できない。
⸻
その時だった。
地下全体が揺れ始める。
ゴゴゴゴ……
石柱がゆっくり回転する。
床の紋様が赤く光り始めた。
信者たちが一斉に祈り始める。
「門を開け。」
「魂を導け。」
「第十三候補を迎えよ。」
神崎は周囲を見回す。
すると祭壇の奥に、一人の少女が鎖で拘束されていた。
制服姿。
まだ高校生くらい。
口には布が巻かれている。
「……!」
神崎は目を見開く。
昨日の新聞。
飛び込み自殺したと報じられた女子高生だった。
「馬鹿な……。」
死亡したはずだ。
しかし彼女は生きている。
少女は涙を流しながら必死に首を横へ振る。
「んー! んー!」
助けを求めている。
神崎は駆け出した。
「待ってろ!」
だが途中で教祖が立ち塞がる。
「近づいてはいけません。」
「どけ!」
神崎は教祖を突き飛ばそうとする。
その瞬間。
教祖は静かに言った。
「彼女は、自分の意思でここへ来たのです。」
神崎の動きが止まる。
「……何?」
「彼女は救いを望みました。」
「だから私たちは門を開く。」
「嘘だ!」
神崎は少女を見る。
少女は必死に首を振っている。
違う。
そう訴えていた。
教祖はゆっくり仮面へ手を伸ばす。
「あなたは、私の顔を知る資格があります。」
神崎は息を呑む。
ついに黒幕の正体。
仮面が外される。
現れた顔を見た瞬間。
神崎の思考は止まった。
「……そんな。」
そこにいたのは。
鏡を見ているような。
神崎悠真、その人だった。
教祖は静かに微笑む。
「初めまして。」
「……いや。」
「十三回目ですね。」
地下祭壇に静寂が訪れる。
神崎は自分と同じ顔の男を見つめたまま、言葉を失っていた。
#探偵
橘靖竜
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ロボットの王
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コメント
1件
「十三回目ですね」って……もうそこで震えたわ。鏡写しの自分が教祖やってるの、まず設定が狂ってるし怖すぎる。しかも死んだはずの女子高生が生きてるって、これ、時間とか魂とか、もっと大きな仕掛けがありそうで続きが気になって仕方ない。神崎が撃った弾がすり抜けたのも、幻覚じゃなくて“本当に触れない存在”って可能性もあるよな…。一気に持ってかれた!🔥