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#探偵
橘靖竜
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ロボットの王
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「……俺?」
神崎の声が、地下祭壇に落ちた。
目の前にいる男は、神崎悠真とまったく同じ顔をしていた。
髪型も。
目の形も。
左眉の上にある小さな傷まで同じ。
違うのは、表情だけだった。
目の前の男は、神崎よりずっと落ち着いている。
まるで、神崎がどう反応するのかを最初から知っているように。
「どういうことだ……?」
男は答えない。
神崎は拳銃を向けた。
「名前は?」
「神崎悠真。」
「ふざけるな!」
「あなたと同じです。」
「俺は一人だ!」
「本当に?」
その一言に、神崎の指が止まる。
男は祭壇の中央を指差した。
そこには古びた映写機が置かれていた。
「見れば分かります。」
「何を……」
映写機が勝手に動き出す。
カタカタカタ……
白い壁に映像が映し出された。
最初は何もない。
やがて、映像の中に一人の男が現れた。
神崎だった。
警察の制服を着ている。
今の神崎と同じ顔。
そして、その男は誰かを追っていた。
「……俺だ。」
映像の神崎が叫ぶ。
「待て!」
画面が切り替わる。
次は別の場所。
病院。
映像の神崎が、誰かに向かって拳銃を構えている。
さらに切り替わる。
廃ビル。
地下室。
燃える礼拝堂。
そして。
神崎自身が、同じ地下祭壇に立っている。
「……十三回。」
男が呟く。
「あなたは十三回、この場所へ来た。」
「嘘だ。」
「一回目は、ただの刑事だった。」
映像が変わる。
「二回目は、記者。」
また変わる。
「三回目は、教団の信者。」
さらに。
「四回目は、被害者。」
神崎は映像を見ながら、頭を押さえた。
知らない記憶。
知らないはずの光景。
なのに。
どこかで見たことがある。
胸の奥が、記憶を思い出そうとしている。
「やめろ……。」
映像は止まらない。
八回目。
九回目。
十回目。
十一回目。
十二回目。
そして十三回目。
現在。
神崎は映像の中でも、この地下祭壇に立っていた。
その隣には、今と同じ顔の男。
「……俺が、ここに来た?」
「そうです。」
「じゃあ……お前は何なんだ?」
男は少しだけ笑った。
「あなたが捨てたものです。」
「何を……?」
「記憶です。」
神崎は眉をひそめる。
男は続けた。
「転生とは、肉体が別人になることではありません。」
「……。」
「魂が次の人生へ移る時、前の人生の記憶は消される。」
「それが普通です。」
男は自分の胸を指差した。
「ですが、あなたは違った。」
「何度転生しても、記憶が残った。」
神崎の顔が強張る。
「だから、あなたは記憶を二つに分けた。」
「……そんなことができるわけない。」
「できます。」
男は神崎を指差した。
「今のあなたが、忘れた側。」
そして自分を指差す。
「私が、覚えている側。」
神崎は言葉を失った。
⸻
その時。
祭壇の少女が突然暴れ始めた。
「んー! んんっ!」
神崎が振り向く。
「そうだ!」
彼女を助けなければならない。
神崎は男を無視して少女へ走る。
「待ってろ!」
鎖に手を伸ばす。
しかし。
カチッ。
何かが作動した。
地下祭壇の壁に赤い文字が浮かび上がる。
第十三候補、認証完了。
神崎は固まった。
「認証……?」
床の円形模様が光る。
少女の足元。
そして神崎の足元。
二つの場所が同時に光り始める。
男が初めて焦った表情を見せた。
「まずい。」
「何が?」
「あなたは、ここへ来るのが早すぎた。」
「どういう意味だ!」
男は神崎に駆け寄る。
その瞬間。
地下全体が大きく揺れた。
ドンッ!!
天井から大量の砂埃が落ちる。
信者たちが悲鳴を上げる。
そして。
少女の鎖が、ひとりでに外れた。
「……!」
少女はその場に倒れ込む。
神崎が駆け寄り、抱き起こした。
「大丈夫か!」
少女は震えながら神崎を見つめる。
そして。
布を外された口から、最初に出た言葉。
「……神崎さん。」
「俺を知ってるのか?」
少女は頷く。
「私……あなたに会ったことがあります。」
「いつ?」
少女の目に涙が浮かぶ。
「昨日じゃない。」
神崎の背筋が凍る。
「三年前です。」
「三年前……?」
「私がまだ小学生だった頃。」
少女は神崎の顔を見つめる。
「その時も、あなたは私を助けてくれました。」
神崎には何の記憶もない。
少女は震える声で続けた。
「でも……。」
「何だ?」
「あなたは、その時に死にました。」
神崎の表情が凍る。
「……俺が?」
「はい。」
少女は地下祭壇の奥を指差した。
「そして、そのあと……。」
「あなたは、別の人として生まれ変わりました。」
神崎は振り返る。
もう一人の神崎は、何も言わない。
ただ、静かに目を閉じていた。
その反応を見て、神崎は確信する。
こいつは知っている。
すべてを。
「お前が言っていたことは、本当なのか?」
もう一人の神崎は答えない。
神崎が銃口を向ける。
「答えろ!」
ようやく男が口を開いた。
「……あなたは、まだ知らない。」
「何を?」
「自分がなぜ、十三回も転生しているのか。」
その瞬間。
地下祭壇の奥から、低い機械音が響いた。
ゴゴゴゴゴ……
壁が左右に開いていく。
その先に現れたのは、巨大な黒い扉。
中央には翼の紋章。
そして扉には、こう刻まれていた。
「第十三回目の転生者のみ、開くことができる。」
神崎は扉を見る。
もう一人の神崎が呟く。
「……始まった。」
「何が?」
男は答えた。
「十四回目の人生です。」
その瞬間。
神崎のスマートフォンが鳴った。
画面に表示された名前を見て、神崎は凍りつく。
着信:神崎悠真
自分の番号だった。
コメント
1件
いやあああ第7話マジでやばかった……!!😭💕 もう一人の神崎とかいう設定、脳みそぶっ飛ぶかと思った!!同じ顔で別の人格ってだけでもう尊すぎるでしょ…しかも「覚えてる側」と「忘れた側」って…そんな切ない分け方ある?!😭✨ それにラストの着信「神崎悠真」からの自分の番号って…震えたわ。ホラーよりホラーじゃんそれ!! でも三年前に助けた少女が「あなたはその時死にました」って言うところ、めっちゃエモくて泣きそうになった…。転生×記憶の伏線、これからどう回収されるんだろう、続きが気になって夜しか寝れない!!📖💫