※この物語はフィクションです。
実在の人物及び団体、事件などとは一切関係ありません。
〈File20:作戦失敗〉
「はあ……」
一旦は胸を温めた浮つく気持ちが、感傷となって溜め息と共にこぼれた。
ここ数日を振り返るたび、まるで空気を抜かれて萎んだ風船のような心持ちだった。
3日前のこと。
珍しく笑い声をあげる彼女――佐伯カグヤを見た時、俺は浮かれていた。
地面から30センチくらい浮いていたかもしれないくらいに。
彼女はよく笑顔を浮かべるが、それは仕事用の隙のない顔であることがほとんどだった。
当たり障りなく、自分の気持ちを切り離した笑顔だ。
それが長い髪を揺らし、頬は朱を垂らしたようにして、溌溂と笑った。
しかも、そうせているのが俺自身だという。
浮かれずにはいられない。
心臓が肋骨を突き破ってしまいそうだった。
だが……。 ************
**********
*****************************
***************************
***************************
********************
************
*****************************
コメント
1件