「大変です!リユージ様!」「結界が!」
「どうした?」
「侵入者ですッ!!!」
「?!外か?」
「はい、破壊されています… !」
俺はその言葉に返答するより早く背中から翼を出し窓から飛び出した。
「リュージ!勝手に…」
「お前は城のみんなに緊急召集かけてろ!」
風圧でカグヤがよろけながら、カグヤは翼を有してないので俺を追いかける事はできず、上空を諦め瞬時に地上に降りていった。
結界が割れたことも大問題だが、外にいたカグヤが結界が割れてもしばらく気がつかないってことはかなりヤバい。
この国を脅かそうとする何者かが、足音も立たずに侵入してしまっている。一体どこに!?
「くっ……!」
結界防衛は俺の管轄だ。みんなで一緒に支えながらこの結界は維持できているんだ。これ以上の破壊は絶対に許されない。
下がざわめき、騎士団員や護衛メイドに囲まれて父様や母様が城から出てきた。
「何事だ。」
父様、母様…ホントにごめん…
どこだ、どこにいる。
不安そうな母様を見ると、怒りがわなわなと込み上げてくる。
「あははっあはははは!!よわ!もっろー!!!!」
声は地上から聞こえた。
「げっ…アレって……」
俺より大きい血色の悪い真紅の翼と、胸元やヘソだけ広々と露出しエナメル質で派手なスウェットスカートと、金銀装飾をジャラジャラつけた、二メートル半近い女がゲラゲラと城門で下品に笑っていた。
お尻の辺りまである絹なようになめらかな光沢のある赤髪と、形も美しい豊満な胸と、誰もが振り向くほど妖艶な香り。
ボンキュッボン!って単語そのまんまの絶世の美女が、酒の入った一升瓶を片手にガバガバと飲酒しながら片手ではしたなく口元を擦って小汚い言葉を吐きながらボアジャーキーを噛んでいる……。
どう言う状況だ、これ。
笑っているわりに、その瞳の水晶体から冷酷な光と強力なプレッシャーを放っている。無防備にもたくさんの人たちの前にスタスタと歩き出した。
集まってきていた多種多様な一般市民たちはあまりにも巨大な彼女を見て足をすくめて、尻もちをついてしまった。
間違いなかった。
「よわっちぃみなさーーーん♡こんばんわん♡ヴァルヴレッドちゃんでぇぇす♪」
「ヴァル…って…」
「嘘……でしょ…冥龍の?」
一般市民は散って逃げていた。皆、家の中へ走って帰っていく。
「キャーー!!」
「早く、とにかく避難だ!」
街は大混乱に陥っている。城門前はポツンと俺とヴァルヴレッド、門を挟んで城関係者だけになってしまった。
世界最強と言われる龍神族、冥界龍アルテマのヴァルヴレッド……。
350歳は超えてるハズだが、平均死期400年と言われている純血ドラグナーが、この見た目や若さは異常すぎる。
歴史の書物にもホントか嘘かアビリティの数は3つ以上と噂されているし、昔話にさえ登場して諸悪の根源みたいな描かれ方してる、悪い意味で最強の純血の古龍ドラグナー。
「はぁ〜。ご安心くださいなぁ。我は攻撃をしにきたのではありませぇん。そもそもこんな弱食王国ぅ〜?潰したところで我になーんの利益もありませぇーん。」
なんかムカつくな。
「今日はー、取引をしにき」
ドカッ
その瞬間、背後から飛んできたカグヤがヴァルヴレッドの正面に回り込み、おもいっきり空中から顔面をを蹴り付けた。
「!!??」
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