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「うほおぉ! 又でござる! 又、なんか来たでござるよぉ!」
ボシェット城の入り口で、小躍りするように喜ぶ善悪。
オルクスが確認するように聞いた。
「キタノ? ドヒュン、ガ?」
「うむ、そうでござるよ、アフラ・マズダにドヒュッと来て、全身に魔力が行き渡るので、ござるっ!」
純白の念珠を高らかに突き上げ、ポーズを取る善悪に、モラクスが語りかけた。
「アフラ・マズダに入ったという事は、枢要徳(すうようとく)、今は七大徳でしょうか? なぜこのタイミングで力を貸してきたのでしょう?」
魔力のチャージで余程ご機嫌だったのだろう、調子に乗った感じで善悪が言った。
「それはアレでござろ? さっき拙者が亡者化してピンチに陥ったのを、放って於(お)けなかったのではなかろうか? ほら僕ちん善悪って名前だけど、中身的には善善というか、最善とかって感じでござろ? 七大徳とか味方っぽいのではござらぬか? ん? んん?」
そんな善悪の言葉にその他のメンバーはそれぞれ意見を述べる。
「おお、流石(さすが)は善悪様です! 人の信仰の象徴、枢要徳まで従えるとは、素晴らしい、このパズス感動しましたぞ!」
「ええ、兄様、善悪様の徳が、いいえ超徳が愚かな人間達にも届いたんですわ!」
「我等兄弟を従えしコユキ様、善悪さまに従うはスピリチュアルな存在である限り、至って当然、アスタロトめにも思い知らせてくれましょうぞ!」
「しかし、七大徳とは名ばかり、人間共を罪へと誘う罠の如き綺麗事というべき戒律、下らぬ企みの類で無ければよいが……」
「くはははっ! シヴァの兄貴! そんな時は俺達が暴れてやれば良いでは無いか、心配要らぬ、この賢弟(けんてい)に任せて置くがよい! クッハハハハ!」
まぁ、一言で言えばおべんちゃらが大多数であったが、一部心配性と自信過剰の声もいつも通りと言えた。
「ねえ? コーフク、皆呆れかえって帰っちゃったんだけど、ユー(複数形)大丈夫なの?」
キャサリンの言葉通り、先程の善悪の逆切れ発言を聞いた世界中から集まった聖女と聖戦士達は、アメリカからきたキャスとウィルを除いて、早くも撤収していたのであった。
少し心配そうな、キャシーの声に善悪が答える。
「ん? 大丈夫であろ? 何しろ小生たちは、『真なる聖女と超イケてる聖魔騎士 with スプラタマンユの魔王たち feat.地獄の魔狼トリオ ver.七大徳 2020夏』でござるであろ? なんだったら、キャシーも故郷のオレゴンに帰っていても良いでござるよ?」
「ユタのソルトレイクよ、全く、でもアタシはコユキを待つわ、だって親友ナンダもの! あんたも良いわね? ウィリアム!」
先程、善悪に対してとんでもないアジアンヘイト『サル野郎!』発言をしたウィリアム・スミスがニヤニヤしながら答えた、眉毛は何故だろうか? 無駄に上がっていた。
「OK! My baby~♪」
おい! ウィル! やめれ! (日本語で言え!)
話しのキリだと判断したのか、オルトロスのチロがクンクン小声でパズスに話しをしていたが、それを聞いた飼い主パズスが善悪に対して口を開いた。
「あの、善悪様、チロとマロとピロが、善悪様にお願いがあるという事だそうで、聞いて頂いても、良い? ですかね?」
見分けはつかなかったようだが、チロ以外の呼称を覚える気皆無で有る辺り、中々に良い飼い主っぽいパズスであった。
「ああ、勿論でござるよ、んでテロとフロとジョロ、なんでござるか?」
コイツもコイツで大概だな……
近付いて来ようとした魔狼三匹が一斉に足を止めて、ジトッとした目を向けていた。
「じ、冗談でござるよ、オルトロスのチロちゃん、ケルベロスのクロちゃん、フェンリルのシロちゃんでござろ? 心配しなくても覚えて居るでござる! んで、なんか用?」
オドオドとした感じでオルトロスが代表で口を開いた。
「あの、俺達も、その、幸福寺ですか? そこで暮らしちゃ駄目ですかね? さっきアジ・ダハーカさんに馬鹿予防の方法聞いたんですけど…… どう、ですか?」
「ん? 地上に来たいって事でござるか? まぁ、家の寺だったらスペースは余ってるでござるが…… 来たいの?」
「「「わんっ!」」」
声を揃えて答えた、いや吠えた。
「んじゃ、来てくれれば良いでござるよ、宜しくでござる、チロ、クロ、そしてシロ」
善悪の快諾を受けて三匹の魔狼は尻尾をブンブン振り回して喜びを表現している、見た目は兎も角、まあ、可愛い。