コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ひとり暮らしの私の部屋に、低層階なこともあってか猫が一匹ベランダへ迷い込んできた。
ペット禁止のアパートでは飼うわけにもいかず、私は少しの間だけ預かることを条件に大家さんに許可をもらって、
「迷い猫 預かってます」
すると元の飼い主さんは、すぐに見つかった。
「ずっと、探してたんです!」
電話でそう連絡が入り、特徴なども一致したことから、猫を引き渡すことになった。
引き渡しの場に猫をつれていくと、現われたのはひとりの少年だった。
「こんにちわ!」
と、声をかけられて、電話で話した相手だとわかった。
「あなたが、この猫の飼い主さん?」
「そうです! よかった~全然見つからなくて、とっても心配してたから」
そう言って、にっこりと笑う顔は、ふわふわと柔らかそうな薄茶色の髪と丸く大きな瞳が愛らしくて、まるで天使のようだった。
猫をうれしそうに受け取る少年に、
「よかったね…」
と、思わず私も顔がほころばせた。
「じゃあ、もう行きますね……」
行きかけるのを、後ろから少年に呼び止められた。
「あ、ちょっと待って! ねぇ、お礼に僕に何かおごらせてくれませんか?」
「そんなのは、いいから」と断ったが、少年はどうしてもおごらせてほしいと聞かず、私は「少しだけなら」と付き合うことに同意した。